「もうすぐ小学生なんだから」は言っちゃダメ?モンテッソーリ流・6歳児の自立を促す親子の会話のOK例・NG例を紹介

ママやパパのお悩みに寄り添った連載「モンテッソーリ教師あきえの子育てROOM」。ここのところ、子どもの年齢別のお悩みをピックアップしてお届けしています。今回は、小学校入学間近となった6歳児について。自身も1歳と7歳の娘さんのママでもあるあきえ先生の回答は?

6歳児子育て中のお悩み、モンテッソーリ流に解決します!

6歳というと年長さんであり、幼稚園や保育園の中でも最高学年。来春に小学校に入学を控えていることもあり、「お兄さん・お姉さんになったなぁ」と感じることも増えてくるのではないでしょうか? そんな年齢の子どもとのかかわり方のコツや注意したい3つのポイントをあきえ先生にお話いただきました。

ポイント① 未来ではなく「今」の子どもにフォーカスする

年長さんになってすぐの頃は、「来年は小学生なんだなぁ」と漠然と考えていたものが、この時期になると「もうすぐ入学!」と、大人の方が意識してしまい、期待よりも不安な気持ちが上回ってしまうなんてことがありますよね。しかし、本来子どもは小学生になることに対して、ポジティブなイメージしか持っていません。もしかしたら、無意識のうちに下記のような声かけをしていることはありませんか?

「もうすぐ小学生なんだから、しっかりしないと」

「これができないと、小学生にはなれないんだよ」

「こんなことで泣く小学生はいないよ」

道を歩く小学生を見て「小学生ってかっこいいね。〇〇くんも、あんなお兄さんになれるかな?」

このような声かけから「小学生になるのって大変そう」と思ってしまう子もいるかもしれません。発達段階としても0~6歳を乳児期、6~12歳を児童期と呼んでいるので、次の発達段階に移ることにはなるのですが、これから迎える児童期にばかりフォーカスしてしまい、乳児期の終わり段階であるということが薄れてしまいがちです。入学をする4月に向けてではなく、子どもの「今」に目を向けてあげるようにしましょう。子どもにはそれぞれの成長やペース、らしさを持っています。すべての子どもが同じスタートラインに立たなくてはいけないわけではありません。今現在の子どもをしっかり見て、認めてあげることが子どもの意識をポジティブに転換していくことになります。

ポイント②自分で考えて選び、行動をする経験を積む

1~2歳くらいで自我が出てきて、俗に言う「イヤイヤ期」を経て、成長を重ねている6歳児。自分で考えて選択し、行動をすることにより、さらなる自立を遂げていきます。その際、やりたいことをなんでもやっていいわけではなく、規則やルールも必要。子どもの考えを聞いた上で、規則やルールを説明し、その上で意見を聞いて「あなたはそうしたいんだね」と、認めてもらうことで子どもは自信をつけます。具体的にはどういうことか、親子の会話で見ていきましょう。

NG例

「〇〇公園(自宅から遠い)に行きたい!」

「今日は幼稚園があるから〇〇公園は行けないよ。△△公園でいいでしょ」

「……」

OK例

「〇〇公園(自宅から遠い)に行きたい!」

「〇〇公園は遠いから、幼稚園のあとに行くのは難しいんだけど、△△公園か××公園なら行くことができるよ。公園で何をしたい?」

「ブランコがしたいから、△△と××には行かない」

「ブランコがしたかったのね。じゃあ、☆☆公園はどう?」

「いいよ!」

子どもから「私はこうしたい!」と自分の意志が出てくるのは、わがままではなく、立派な意見しかし、受け入れるのが難しい状況もあるので、可能な範囲で子どもの意志を受け入れて、叶えてあげるようにしましょう。受け入れないことが続くと「私が意見を言っても意味がない」と感じ、考えることをしなくなってしまいます。「今日の夕食はハンバーグと生姜焼き、どっちが食べたい?」「新しいTシャツは赤と青、どっちを買う?」など、大人に無理のない範囲で子どもに選択肢を与え、子どもの選択を尊重してあげるようにしましょう。その経験を積むことで、自分の意見を持つことの大切さを覚えていきます。

ポイント③ 子どもが興味関心を持ったことを追求できる環境を作る

児童期になると、より知識に対して貪欲になってきます。この世で起こっているさまざまなことに興味関心を持ち、「なんで?」「どうして?」と聞いてくることも増えると思います。

大人が持っている知識は惜しみなく提供

「子どもだから難しくてわからないだろう」と思わずに、知っていることはすべて教えてあげるといいでしょう。それを聞くことで、また別の方向のことに興味を持つきっかけになるかもしれません。

図鑑や動画などを使って一緒に調べる

聞かれたことでわからなかったことがあれば、図鑑や動画などのツールを使って一緒に調べてみましょう。ここで大切なのは、「一緒に」ということです。この「調べる」というスモールステップの次は、それをノートにまとめる、分解できるものなら分解してみる、博物館に見に行くなど、興味関心を発展させていくことができます。

プロフェッショナルに会う機会を持つ

例えば、子どもが動物に興味を持ったとします。そうしたら、動物園の飼育員さんに話を聞いてみたり、牧場に行って実際にお世話をしているところを見せてあげたりしてみましょう。子どもが興味を持ったことに関連する職業の人が自分の友人などにいれば、二人を繋いであげて、実際にその世界に触れる機会を作ってあげることもおすすめです。

発達はグラデーション。残された幼児期を楽しんで♪

6歳児は乳児期から児童期の過渡期にありますが、児童期に入ることで、何かがブチッと切れるたり変わったりするわけではありません。グラデーションの色が変わる部分にいて、その濃さは変わり、連続性のあるものなので、急にかかわり方を変える必要はありません。

長ければ0歳児から、年少の3歳からであれば3年間お世話になった保育園や幼稚園。卒園に向けて、思い出や感謝の気持ちなどを子どもと共有して、ポジティブな振り返りができるといいですね。そして、卒園する主役は子ども達。卒園式の服装を選ぶ、提出物を出すなど、卒園に向けてすることがあれば、当事者である子どもと一緒に進めるのもおすすめです。

子どもは今が満たされていれば、それが必ず未来の姿になって現れます。今まで6年間子どもの育ちを一生懸命助けてきたママやパパなら大丈夫! 自信を持って、子どもの成長を見守ってあげてくださいね。

あきえ先生のモンテッソーリ教育の連載はこちら

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記事監修

国際モンテッソーリ教師(AMI)
モンテッソーリ教師あきえ

幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。2021年1月に初著書「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)、2022年3月に「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を出版。

モンテッソーリ教師あきえHP

あきえ先生主宰オンラインスクールMontessori Parents

取材/本間綾

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