こんにちは、小1男子の母でWebライターのエム子です。お金も金運もなく、投資の知識経験ほとんどゼロの新参モノですが、ずっと気になっていた「新NISA」、思い切ってはじめてみることにしました!
金津久利エム子(かねつくり・えむこ)
某地方都市でゆる~く活動している37歳のWebライター。お金も金運もないため株や投資には一切かかわってこなかったが、小1の息子の大学費用のため友人に勧められた「新NISA」をはじめることに。ちなみに、夫は同い年で地元の市役所に勤める地方公務員。
人生初の金活始動!
「お試しで月1万円ずつ、貯金みたいにNISAでつみたててたら、なんだかちょっと増えてたのよ~!」
そんな友人の言葉に唆されて「新NISA」に興味を持つようになったのは、去年の暮れのこと。定期預金の金利がずっと1%未満というこのご時世に、そんなおいしい話があるの? 等々、疑いながらも気になって。息子の大学費用のこともあるし、やったら増えるならやってみたい…と、あれこれ調べるところから、私の金活ははじまりました。
ちなみにNISAとは、投資で儲かった利益が非課税、つまり税金が0円になる制度。今年1月から、投資枠や非課税期間などが大幅に見直され、「新NISA」として新たなスタートを切っています。
「新NISA」をはじめるには、口座開設の申請等いろいろやることがありますが、それよりもまず、確認しておきたいのが失敗しないやり方や心構え。本やパンフレットだけじゃわからないことも多く、事前にプロのアドバイスも聞いておきたいと、「キッズ・マネーステーション」のファイナンシャルプランナー・八木陽子さんにお話をうかがってきました。
HugKum世代が「新NISA」をはじめる意味
初めての投資はつみたてでゆっくりコツコツ
Q1.はじめまして、エム子と申します。さっそくですが、私、投資の知識も経験もないんですけれども、小1の息子が大学に行くときに備えて少しでも学費を貯めておきたくて。いま「新NISA」を考えているのですが、どう思われますか?
八木陽子さん(以下、敬称略):お子さんが7歳なら大学までは10年くらいありますね。だったら、「新NISA」はぜひはじめるべきだと思います。
「新NISA」には、株式なども購入できる「成長投資枠」もあるのですが、最初は、金融庁がリスクを抑えやすいと認めた投資信託を利用して積み立てができる「つみたて投資枠」からはじめるのがいいと思いますよ。
Q2.「投資なんて怖いし、必要ない」って意見もあると思うのですが、私たちHugKum世代が「新NISA」をはじめる意味ってあるんでしょうか?
八木:そうですね。お金の世界ではよく「時間を味方にする」という言い方をしますが、特に「新NISA」のつみたて投資で扱っているような投資信託は、5年10年と時間をかけながら、毎月コツコツ積み上げていくのが鉄板の成功法なんですね。そうすることで、リスクを軽減する効果があり、じわじわ値上がりする可能性が増えるんです。
そういう意味では、お子さんがまだ小さいHugKum世代のパパママさんたちは、大学費用のためのつみたても早くから取り組めますから。時間を味方にした堅実で安定的な資産運用ができるという点でもメリットはあるので、やってみる価値はあるんじゃないでしょうか?
投資でお金を守るという考え方
Q3. そもそも「新NISA」ってどれくらいお得なんですか? 私の友人のように、貯金感覚でつみたて投資するという考え方はアリでしょうか?
八木:通常の投資信託や株取引で使われる一般口座は、課税口座なので利益に対して20.315%の税金がかかります。でも、新NISA口座なら非課税。同じ投資なら新NISAでやったほうがいい方が多いですよね。
あとは長期・積立・分散でリスクを抑えながら、手数料の安い投資信託をコツコツやっていけば利益も出やすいので、お友達のように貯金感覚で積み上げていくと、5年か10年後には銀行に置いておくよりいい結果になる可能性があるのではと。
特に最近は、物価が上がりお金の価値が下がってきてますから、生活レベルを維持していくために、新NISA口座で資産運用してお金を守り少しずつでも増やしていくという考え方も大事かなと思いますね。
Q4.とはいえ投資にはリスクがつきもの、なんですよね?
八木:そうですね。例えば、下のグラフのように海外インデックス型と呼ばれる投資信託ですと、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスという株価指数に連動して、赤い線のような値動きをします。
見て分かる通り、途中リーマンショックなどで急激に下がったりもしていますが、長期になるほど徐々に右肩上がりで増えていって、10年目ぐらいからタンス預金で貯めた場合の金額(青い線)を超えてくるんですね。
だから、最初は怖いんですけど長い目で見て、下がってもうろたえずにコツコツ続けることが肝心なんです。
“分散”の観点から「新NISA」以外も検討
Q5.ちなみに学資保険と新NISAだったら、どっちがメリットありますか?
八木:学資保険についてはよく聞かれますが、たとえば、振込額199万だとして、15年後に1万円増えて受取額200万円という感じ。なぜなら、保険はお金を増やすのではなく、あくまで「何かあったときの保障」のための金融商品ですから。親の死亡時に子どもがお金をすぐ受け取れるとか、そういう保証はありますし。
教育費を全額投資で貯めるのは、ちょっと抵抗があると思うので、堅実に確保しておきたいお金は学資保険で、残りは値上がりが期待できる新NISAでと併用されてもいいかもしれません。
Q6.子どもと一緒に投資を体験することって、できるんでしょうか?
八木:以前あったジュニアNISAがなくなってしまったので、現在、新NISAの対象年齢は18歳以上になっています。でも、銀行と同じで一般の課税口座なら未成年でも赤ちゃんでも開けますから、子ども名義の口座で100円ずつつみたてるとか、そういう方法で一緒に投資を体験することは可能だと思いますね。
ただし一般口座での投資は税金がかかるので、教育費として貯める分は親名義の新NISA口座でやるとか、使い分けはしたほうがいいでしょう。
Q7.いろいろうかがって、少し心が軽くなりました(笑)。要は「新NISA」だったら、初めてでも怖がらずに、とりあえず気軽にはじめていいってことでいいですか?
そう思います。最初は怖いと思うんですけど、やっぱりやってみなくてはわからないですから。
ここだけは押さえたい!〈そもそも編〉のまとめ
その他もろもろ、お金のプロに聞いた「新NISA」で押さえておきたいポイントと心得を下にまとめると・・・。
■ NISA口座開設のポイント
・NISA口座は一度に1人1口座しか開けない。事前にどこの金融機関でつくるかを決めてから、口座開設の申し込みをすること。
・金融機関ごとに扱っている商品の種類や数は違う。手数料もそれぞれ異なるので、金融機関を選ぶ際にはしっかり確認を。
■ 投資の心得&心構え
・3年以内に使う予定があるお金は投資には回さない。
・無理な投資はしない。月々の投資額は、100円単位の少額からでも全然OK。
・ゆっくりコツコツのつみたて投資なら、株価などに関係なく好きなタイミングではじめられる。逆に値が下がったときも焦って売ったりせず、長期戦の構えで取り組むこと。
・「新NISA」でのつみたて投資は、“長期・積立・分散”が基本。「明日までに倍になる」といった甘い儲け話には絶対に期待しないこと!
上の内容ついては、次回「口座開設編」でも詳しく紹介する予定ですので、どうぞお楽しみに!
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キッズ・マネー・ステーション主宰
八木 陽子さん
ファイナンシャルプランナー。キッズ・マネー・ステーション代表。上智大学外国語学部卒後、編集者を経て2001年ファイナンシャルプランナーを取得。海外でファイナンシャルリテラシー教育を視察した経験を活かし、子供向けマネー教育の普及に努める 。TV、新聞、雑誌、セミナーや講演などで活躍。著書に『6歳からのお金入門(ダイヤモンド社)』『お金は子どもに預けなさい(経済界)』などがある。
記事監修
「見えないお金」が増えている現代社会の子供たち。物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立。全国に約160名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2018年までに1100件以上の講座実績を持つ。
構成/増田ひとみ