準備はしっかりと
ポスターを描く紙はしっかりとしたものを!
ポスターはコンクールによって用紙の指定サイズが異なり、学校で配布されるのではなくご家庭でご用意することが多いようです。
画用紙のサイズは、上の写真では青い丸で囲ったように「八つ切」や「四つ切」と日常生活で使うコピー用紙とは異なるサイズ体系になっています。また、サイズを間違えると素敵な作品ができてもコンテストに応募できなくなってしまいます。可能な限りポスターの作成要項を持参の上で街の文具店や画材店に足を運ぶと間違いありません。
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はっとり先生からのPoint!
特にコンクールで入賞を目指すのであれば、しっかりと厚みのある画用紙を専門店で購入しましょう。
どの画材で描く?
普段、学校の図工の時間などに使っていて、長期休みのために持ち帰ってきた画材や家にある画材で十分作品が作れます。
パス(写真左上下)
パス(代表的なのが、サクラクレパスの「クレパス」)とクレヨンは似た画材ですが、描くときの柔らかさに違いがあるだけでコンテスト要項に指定がなければポスター作りにはどちらを使っても構いません。お子さんが好きなもの、もしくは使いやすい方を選んでください。
写真の上はかくがた。角が使いやすくて、手につきにくいメリットがあります。また、下の丸いタイプは一般的に使われていることが多いもので、学校の教材として使っているお子さんも多いかもしれません。
水彩絵の具(写真右下)
水彩絵の具も学校で使っているもので十分です。この時に不足している絵の具や道具がないかチェックしておくと、授業が再開になった時にも困りませんね。
パッケージはこちら
今回使ったものと同じものを使う場合には、このパッケージを目印に探してみてください。
上からクレパスの丸いもの(サクラクレパス)、クレパスのかくがた(サクラ ニュークレパス かくがた)、水彩絵具(サクラ マット水彩マルチ)です。
描きたい!でもちょっと待って!
なんでもスタートが肝心!絵にも準備があります
「よし!作るぞ!」と思ってもいきなり絵を描くわけではありません。例えば冒険ゲームをする時には、最初にどこに何があるか、何を探しにいくのかを知るために「地図」を見ることはありませんか?
まずはイメージをふくらませて「下がき」
まずはノートやコピー用紙などお子さんの描きやすいもので構いません。どんな絵を描きたいか、どうしたらメッセージを伝えられるのか、親子でイメージをふくらませながら何枚か作成をしてみます(これを「ラフスケッチ」や「エスキース」と呼びます)。低学年のうちは、イメージをふくらませるのが難しい場合も。ぜひ親子で考えてみてください。
描くものが決まったら画用紙に描こう
「これをポスターにする!」というものが決まったら、画用紙に下がきをしていきます。
この時におすすめなのは、白か黄色のチョークかパスで描くこと。パスは使い方に慣れているというメリットはありますが、絵の具で色付けを行う際には絵の具を弾いてしまうので、チョークの方が跡がのこりにくいです。どちらがいいかは使用する画材によって決めてもいいですね。
黄色のチョークは最近では100円ショップでも手に入るようです。(チョークを使うメリットは後の工程を経ると、下書きが目立たなくなることです。)
色覚障がいをお持ちのお子さんの場合は黄色が見づらい場合もあります。実際に、はっとり先生が教える支援級で選んでもらうと、一人一人違う色が見やすいと感じたのだそうです。黄色の代わりにはピンクや水色のチョークがおすすめです。
できあがり線を描いていこう
この工程はチョークの線をなぞっていくだけなので、お子さんも安心してしっかりと描くことができます。
チョークの線はいずれの色も、この時点で目立たなくなり始めました。
標語は太く!
標語を入れる場合には、そのメッセージが目立つように、下書き線そのものをなぞるのではなく、下書きの線が太くなった時の形を思い浮かべながら書きます。
絵の具を塗ろう
いよいよ、一番楽しい色をつけていく作業です。色塗りは背景から手前のものの順に塗っていきます。
絵の具の硬さを感覚的に!「ジュース」「ソース」「マヨネーズ」
水彩絵の具を使う場合には絵の具に水を入れるときの3つの硬さを覚えておくと便利です。それは「ジュース」「ソース」「マヨネーズ」。
マヨネーズは絵の具をチューブから出し、湿らせた筆で塗るくらいの硬さです。
ソースは絵の具に少量の水を加えて、なめらかになったくらいの硬さです。
ジュースはたくさん水を加えて、さらさらの液体の状態にしたものです。
たっぷり水を入れます。
この3種類の絵の具の硬さは説明に出てくるので覚えておきましょう。
背景から塗る
絵の具をパレットに出していきます。この時に、気をつけるのは色ごとに離して出すことです。近づけすぎると意図しない色が混ざってしまうことがあります。またスペースを作ることで、色と色の真ん中で思い通りの色を混ぜることもできるのです。
今回は背景を黄色の絵の具を塗っていきました。塗るときの硬さはソースかジュースです。黄色の絵の具は色自体が薄いのではみ出てもリカバリーできます。大きな筆を使って大胆に塗っていきましょう。
2色目として絵の具を2色混ぜてオレンジを作りました。これもまずは太い筆で大きく塗ります。
全体を塗ったら次は細い筆を使います。太い筆では小回りが効かなかった境界線などのあたりを丁寧に塗っていきます。
背景に別の色を塗りたい場合、はっとり先生のおすすめは原色のまま使うなら黄緑、白を入れるなら、水色、薄ピンクが使いやすい色と教えてくださいました。ただし、白を入れた色を背景に使う場合は、途中でなくなると全体の統一感がなくなるため、あらかじめたくさん作るようにしてください。
絵を描こう
メインとなる絵を塗っていきます。絵の具の硬さはマヨネーズに少しだけ水を加えた硬い絵の具でしっかりと色付けをします。
地球の絵の緑の部分をまず塗りました。これは絵の具を混ぜずに塗りました。
次は水色で海の部分を塗っていきます。広いところを混ぜた色で塗る場合は、途中で足りなくならないようにたっぷりと絵の具を混ぜておきます(途中で作り直すと、色むらにつながります)。
細かな部分はパスを使って仕上げてもOKです。
絵の具が一通り塗れたら、しっかり乾くまで待ちます。
標語を塗る
背景が乾いているのを確認して、今回はパスで塗っていきます。文字は細かな部分が多いので、小学校低学年のお子さんにとっては絵の具で塗ることが難しい場合も。無理をさせずに描きやすい道具を使ってください。(どうしても絵の具だったら、絵の具だけで描き上げなければいけないのでは?と思ってしまいがちですよね)
文字は目立つ色で塗るのがポイント。今回は赤のクレパスで塗りました。
仕上げ
この段階で、チョークの色はまったく見えなくなっています。
絵の具で描いた部分が乾燥したことを確認したら、パスの濃い色を使って上から線をくっきりとさせていきます。ポスターなので、モチーフや標語を強調することが大切。細かなはみ出しや塗り残しの部分の仕上げもしていきます。
完成
作品はこのように完成しました。
お子さんによっては下書きをせずにいきなり色を塗りたくなったり、仕上げをせずに終わってしまったりなどすることがありますが、今回の記事の写真を例に作業の順番や下書きの大切さ、仕上げで自分の作品がもっと素敵になるということが伝わると嬉しいです。
教えてくれたのは
はっとりさおりさん|アートコミュニケーションクリエイター
東京都小学校図画工作専科として12年勤務。退職後、もっと幅広い人にアートを気軽に体験してもらいたいと思い「絵画造形教室アトリエFilo(フィーロ)」を設立。講師として現在も小学校で教える傍ら、3歳〜90歳まで幅広い年齢の方に向けて指導、講演会等を精力的に行う。
絵画造形教室アトリエFilo(フィーロ)
https://atorie-filo.studio.site
小学校中学年以上向けのポスターの描き方のコツはこちらから
文・構成/ふじいなおみ