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親が勉強を見てあげられるのは9歳(小3)が限界です
なぜ、この記事のタイトルを「9歳まで…」としたのかと言うと、中学受験では10歳(小学校4年生)からの学習内容は難度が高く、保護者が教えらることができないからです。
受験する場合は4年から塾に通うことが多いようですが、各教科、特に算数はとても難しいです。また、「私は数学が得意だから大丈夫」という保護者がおられるかもしれませんが、塾には塾独自の解法があり、家庭で違うやり方を教えられると子どもが混乱します。
ですから、家庭で親が見てあげて9歳までの内容を完璧にしてから塾に通い、受験に臨むのが最も効果的な方法です。
入学前までは3年(0~3歳、3~6歳)を1タームとして考える
では、生まれてから9歳までには何をしたらいいでしょう。
私はまず小学校入学前と後で区切って、生まれてから小学校入学までの6年をさらに2つに分け、3年を1タームと分けて考えていました。
0歳~3歳、3歳~6歳です。なぜ3年を1時期とするかは、3歳になるとできることが格段に多くなりますし、それに義務教育の学制を「6・3制」と言うなど3の倍数には何らかの意味があるのではないかと思ったからです。
また、3年間というスパンで考えたら「そのうちできるようになるでしょう」「わが子はこれができない」「あれもしなくちゃ」と焦ることなく、「入学までにできればいい」とゆとりをもって育てられるのも理由でした。
3歳までは耳からインプットを大切に
生まれてから3歳までは、読んだり書いたりはできないので、耳から言葉や音楽をインプットする「耳学問」を大切にしました。
絵本を読み聞かせしたり、童謡を聞いたり、大人が歌ってあげたりします。音楽はBGMとして流して聞かせるのではなく、意識的に聞くことが大事なのでBGMとして流していてもその中の1曲でも歌ってあげて、耳を育てるといいと思います。
耳を育てるというのは聴く力を育てるということです。最近英語でリスニングが重視されていますが、「大学共通学力テスト」でリスニングに苦労する受験生は、英語が苦手というよりは聴くことが苦手、聴く力が育っていないのではないでしょうか。耳のいい人は語学の上達が早いと言いますが、小さいときから耳を鍛えておくと、大学受験のときもリスニングでの高得点が期待できるのではないかと考えています。
6歳までにしておきたいこととは?
子どもに十分にしゃべらせる
子どもが親とおしゃべりできるようになったら、話をよく聞くようにしていました。耳学問というインプットと同様にしゃべるというアウトプットも大事で、人はインプットとアウトプットを繰り返して知識や技能を身につけていくのです。
子どもがおしゃべりする上で一番大事なのことは何でしょうか。それは、話相手への信頼感だと思います。最初に話す相手は親だと思いますが、子どもは「聴いてくれる」「何でも話せる」と思うと何でも話しますが、そこで親が発言を否定したり、「忙しいから後でね」と言われ続けると「話してもしょうがないや」と不満が積もっていき、何も話さなくなります。(ちなみにこの不満は思春期に爆発して壮絶な親子断絶になることもあるそうなのでご用心!)
よく、「どうしたら国語の読解力がつきますか」とお母さんたちから相談されることが多いのですが、このインプットとアウトプットの繰り返しは読解力の高さにもつながると私は思っています。
読み・書き・そろばん(計算)
3歳ぐらいからひらがなを読むことから始め、ひらがなを書いたり、数字を読んだり書いたり、1けたのたし算ができるなど、小学校入学を見据えて進めていきます。江戸時代に寺子屋で習っていたのは「読み・書き・そろばん」と言われていますが、今も変わらず勉強の基礎は「読み・書き・そろばん(計算)」です。
と言うのは簡単ですが、実際には、特に最初の子どもの場合、生活に〝学習〟という要素を組み込んでいくのは大変なことで時間も手間もかかります。
私は長男が鉛筆が持てるようになったころ、1枚のプリントをそろ~っと何気なくテーブルに置きました。鉛筆で紙にぐるぐる書きをするプリントです。長男は全然興味を示さなかったので、まず、私がやってみせました。毎日少しずつやってみせるとしばらく経ったら長男も真似して始めました。そのスタート地点から「読み・書き・そろばん(計算)」まで行くのはかなりの時間がかかりましたが、何もしないでいると何も始まらないものです。
この時期はお母さんは特に「○○ちゃんはできるのにうちの子は」「〇歳ならこれができていなくちゃいけないのに」と焦りがちですが、私は「入学までにできればよくない?」とゆったり構えていました。
焦らずに目の前にあることをする…その積み重ねが目標達成への近道だと思います。
ちなみに次男は長男がすることを何でもやりたがりましたので「僕もやりたい」「早くちょうだい」といった感じでラクでした。学習習慣は最初のお子さんのときが一番大変です。
小学校1年生から3年生まではどうするか
小学校に入学後はどう考えたらいいでしょうか。
就学後、3年間を1タームとして考えるのは間違いです。就学後は、1年ごとに学年が進み、内容もどんどん難しくなりますから、1学年を1タームのつもりで学習内容を習得することにしました。勉強(特に算数)は積み重ねが大事です。たとえば、2年で九九が覚えられていないなら3年のかけ算のひっ算、分数、小数は理解できません。
国語の漢字を習得できないなら文章題を解くのも難しいでしょう。習ったことを完璧にマスターして使いこなせるようにして、小4を迎え中学受験に備えたいものです。
この時期も基本は「読み・書き・そろばん(計算)」です。1けた+1けたのたし算がすべての基礎ということは前にお話ししました。
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あるお母さんから「佐藤さんのお話には『結局』という言葉がよく出てきますね」と言われました。意識していませんでしたが、確かに『結局』は多いかもしれませんね(笑)。今回もいろいろとお話をしましたが、結局(笑)、基本は「読み・書き・そろばん(計算)」で、結局(笑)、これらを習得して先に進むしかないと思っています。結局、実行するしかないんです。
不合格の最大の理由は「学力の積み重ねが間に合わなかった」こと
今回は中学受験の準備としてお話しましたが、受験を予定していないご家庭もその時期ごとに大切なことは変わりありません。中学受験をしなくても高校受験は間近ですし、今後受験制度が変化したとしても18歳で大学受験は必ずやってきます。
受験して不合格になる第一の理由は「勉強をしたけれど、合格点に達するレベルまで学力を積み重ねるのには間に合わなかった」というものです。せっかく勉強したのに「間に合わなかった」というのは残念で悔しいもの。子どもたちがそんな思いをしないように時期ごとに保護者の方が見てあげるといいと思います。
こちらの記事では、佐藤ママが我が子の読解力を上げるためにやっていたことをお話ししています。
教えてくれたのは
大分県生まれ。津田塾大学英文科卒業後、高校で英語教師に。結婚後、3男1女を育て、全員が東京大学理科Ⅲ類から医学部医学科を卒業する。母親ならではのきめ細かい学習サポート法が注目されている。進学塾「浜学園」でアドバイザーとして活動するほか、様々なメディアで発信している。著書に『3男1女東大理Ⅲ合格百発百中 算数 国語 絶対やるべき勉強法』『3男1女全員東大卒医師に!一点集中ムダ取り勉強法』(幻冬舎)などがある。
構成/今津朋子 写真/岡本尚樹(佐藤さん)