熱中症、食中毒、あせもに虫刺され…夏の健康に備えて知っておきたい基礎知識【小児科専門医監修】

夏によくみられる病気や皮膚トラブル、食中毒や熱中症などから子どもを守るには、おうちの方が正しい知識を身につけておくことが大切です。普段から予防を心がけ、いざというときには落ち着いて対処できるように、知っておくとよいことを小児科の先生に教えていただきました。

肌を清潔に保ち規則正しい生活を

夏は暑くて疲れやすいだけでなく、日が長いために夜型になりがちな大人の生活サイクルに巻き込まれ、子どもも生活ペースが乱れがちです。夜更かしが続いたり、甘いものを食べすぎてきちんとした食事がとれなくなったりすると、自律神経のバランスが乱れて体調を崩す原因に。抵抗力を高めるためにも、規則正しい生活を送ることが大切です。汗をかく時期でもあるので、こまめにシャワーで汗を流すなどして肌を清潔に保つことも心がけましょう。

旅行先には常備薬と保険証を持参して

旅行や帰省の際は子どもの体調を第一に考え、無理のない計画を立てて休憩をこまめにとることをおすすめします。飛行機に乗る場合は、子どもむけのサービスを事前に確認しておきましょう。長袖の上着を用意しておくと、冷房が効いた室内で過ごすときや、野外で日差しや虫から肌を守りたいときに役立ちます。急な発熱などに備え、旅行先には解熱剤などの常備薬と保険証を持参し、夜間に受診できる救急病院の場所も調べておきましょう。

食中毒

高温多湿の夏は、細菌による胃腸炎が多く見られます。予防のため、調理前やおむつ交換の後は手洗いを。感染してしまったときのおう吐・下痢は、体内から悪いものを出そうとする反応なので無理に止める必要はありませんが、少量ずつこまめな水分補給を心がけ、乳製品や果物、油っぽいものなど胃腸に負担のかかる食べ物は控えましょう。

予防のポイント

加熱は75℃以上で1分以上

肉や魚は中心部まで十分に火を通し、野菜もできれば加熱して食べると安心です。カレーは空気にふれていない部分で細菌が増えやすいので、鍋底に空気を送りながらよくかきまぜ、加熱しましょう。

生ものに使った箸での取り分けはNG

生ものに使った箸とできあがった料理を取り分ける箸は、必ず別々のものを使います。まな板を使うときは、生のまま食べるものを切ってから、肉や魚を切るようにしましょう。

冷蔵庫を過信しない

冷蔵庫は細菌が繁殖するスピードを遅くすることはできますが、繁殖を完全に防げるわけではありません。ドアの開閉は手早く行い、保管したものは早めに食べ切ることが大切です。

皮膚トラブル

あせも

皮膚にある汗を出す穴がつまって起こる炎症で、赤いブツブツができます。入浴時には洗浄料をよく泡立てて、汗や雑菌をしっかりと洗い流しましょう。細菌に感染して膿をもった「あせものより」になった場合は、抗菌薬による治療が必要です。「あせもだから」と放置せず、医師に相談しましょう。ひどくかゆがって機嫌が悪い場合も早めの受診を。

夏のスキンケアのポイント

汗をかいたらシャワーを

皮膚を清潔な状態に保つため、汗をかいたらこまめにシャワーを。ただし、必要な皮脂まで洗い流さないよう、洗浄料の使用は1日1回までに留めます。外出時は、ぬれタオルでふきましょう。

乾燥肌の子は保湿ケアも

乾燥肌の場合、夏はローションタイプの保湿剤を入浴後に塗るとよいでしょう。肌質には個人差があるため、その子に合ったスキンケアの方法をかかりつけ医に相談することをおすすめします。

 

衣類は肌を覆う部分が広いほど、汗をしっかり吸い取るため、あせもができにくくなります。肌着は汗をよく吸う綿素材のものを選びましょう。

虫さされ

体質や虫の種類により腫れが大きくなることがあり、さされてから1~2日後に赤み・かゆみが生じることも。かきむしると傷口が化膿して「とびひ」になるおそれがあるので、早めに市販のかゆみ止めを塗り、かゆみが続くときは受診しましょう。外出時は虫よけ薬を使い、キャンプや花火大会では肌を露出させない服装を。

爪が伸びていると、かいたときに傷ができ、細菌が侵入してとびひになってしまうことも。日頃から爪は短く切っておきましょう。

虫よけ薬の使い方

はじめに少量を腕の内側につけ、かぶれないかを確認してから使いましょう。ウェットティッシュタイプのものは持ち運びにも便利です。スプレータイプのものは、肌にまんべんなくつけられるように、一旦おうちの方の手のひらにスプレーしたものを塗るようにするとよいでしょう。

 

水いぼ

ウイルス感染により直径1~2㎜ほどの円形のいぼができ、プールのビート板や浮き輪などを介して人にうつることもあります。免疫ができれば半年から2年程度で自然に治りますが、かきむしると次々と増えていきます。ピンセットでの除去を希望する場合は数が少ないうちに皮膚科の受診を。

とびひ

あせもや虫さされをかきむしったところから細菌が侵入すると、とびひになります。また、鼻の入り口には細菌がいるため、鼻を触る癖があると鼻の周囲からとびひが始まり、その手であせもや虫さされなどをかくことで症状が広がります。抗菌薬の塗布

・内服による治療が必要な場合もあるので早めに受診し、傷が乾くまでは浴槽やプールに入るのは控えましょう。

日焼け

皮膚がヒリヒリするときは薄いタオルで包んだ保冷剤などで冷やして、ワセリンかローションで保湿し、痛みが強くなる場合は受診を。日焼け止めは日常生活ならSPF15~20、PA+~++、野外のレジャーではSPF20~40、PA++~++++を目安に、低刺激で紫外線吸収剤を含まないものを選びましょう。7㎝以上のツバがある帽子をかぶるのも日焼け防止に効果的です。

感染症

ヘルパンギーナ

高熱が出て、のどの周りや口の中に小さな水疱ができます。熱は2~3日で下がりますが、のどや口の痛みはしばらく続くことが多く、ウイルスには複数の型があるため何度もかかることもあります。ウイルスは便からも排出されるので、おむつ交換のあとは手洗いを忘れずに。一度受診した後も、熱が5日以上続く場合は再び受診を。

咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルスが原因で、39~40℃の高熱、のどの腫れや痛み、目の充血や目やになどの症状が見られます。熱は5日程度続くことが多いので、こまめな水分補給を。感染力が強く、解熱後もしばらくは目やにや唾液、便からウイルスが排出されます。おうちの方やきょうだいにうつらないようにタオルや食器の共用は避けましょう。

手足口病

手のひらや足の裏、口の中、ひじ、ひざ、おしりなどに水疱ができます。熱は微熱程度のことが多いですが、下痢や腹痛を伴うこともあり、口の中に水疱ができると飲食を嫌がることも。熱が下がれば登園は可能ですが、便からは4週間以上ウイルスが排出されるため、症状がなくなっても手洗いの徹底を。

ホームケアのポイント

熱が高いときは

熱の出はじめで寒気がするときは体を温めてかまいませんが、熱が上がり切ったら薄着にして、太い血管が通っている首・わきの下・もものつけ根を冷たいペットボトルなどで冷やしましょう。解熱剤は、本人がつらそうな場合のみ、原則として小児科で処方されたものを6~8時間あけて1日3回までを目安に使います。元気がないときは入浴を控え、お湯でぬらしたタオルで体をふきましょう。

 

のどが痛くて食べる
のを嫌がるときは

プリンやゼリー、冷ましたうどんやそうめんなど、のどごしのよいものを少しずつ与えましょう。冷たいスープや冷ましたみそ汁などもおすすめです。柑橘系の果物とそれらのジュースなどは、のどにしみるので控えます。食欲がないときは無理に食べさせなくてもかまいませんが、水や麦茶での水分補給はこまめに行いましょう。飲み物はストローを使うと飲みやすくなることもあります。

熱中症

高温多湿の環境で長時間すごすことで、顔が赤くほてる、大量の汗をかくといった症状が出ます。おしっこが半日以上出ない、体が熱いのに汗をかかない、水分がとれない、ぐったりしているという場合はすぐに受診を。湿度が高い、風が弱い、急に暑くなった日も注意が必要です。

予防のポイント

水分補給は少しずつ

子どもがのどの渇きを訴える前に、水や麦茶を少量ずつこまめに飲ませましょう。大量の汗をかいた後には、経口補水液で塩分も補えるとよいでしょう。

炎天下の外出はなるべく避ける

日差しが強い10~14時の外出はできるだけ控え、外遊びでは日陰を選びましょう。地面に近いベビーカーの中は高温になりやすいので注意が必要です。

室内でも適切な冷房を

蒸し暑い場所や閉め切った部屋の中では、室内でも熱中症になるおそれがあります。24~28℃を目安に冷房を活用し、直射日光はカーテンなどで遮りましょう。

 

お話をうかがったのは

 

三日市 薫先生

さくらんぼこどもクリニック院長。小児科専門医。東京大学医学部附属病院、日本赤十字社医療センターなどを経て現職。3児の母。

 

 

『ベビーブック』2019年8月号 イラスト/熊本奈津子 デザイン/平野 晶 文/安永 美穂 構成/童夢

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