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大好きなキャラ「のびねこ」を目指して、オリジナルキャラ「ハニゴウコ」を考案

各地の名所・名産・その土地ならではの物を調べてまとめただけでなく、「ハニゴウコ」というオリジナルキャラクターを取り入れたことで、楽しく読み進められる水野豪太さん作の「ハニゴウコの地図帳」。豪太さんならではのユニークな世界観で、その土地の良さを引き出しています。
審査員を務めたタカラトミーの長島元さんも「名産を愛着ある可愛いキャラクターにデザインされ、楽しく知識が身に付く編集が素晴らしかったです!」絶賛しました。
――自由研究に出てくる「ハニゴウコ」について教えてください。
豪太さん もともと「のびねこ」というキャラクター(※有限会社カワチ作成の”のびシリーズ”)、特にご当地ものが好きで、図工でハニワを作るときに、のびねこみたいなご当地キャラを作りたくて思いついたオリジナルキャラクターです。ハニゴウコの“ゴウ”は僕の名前が由来です。
――「のびねこ」というキャラクターが好きなんですね。
豪太さんのお母さん 2年ほど前に軽井沢に行ったとき、お土産屋さんに売っていた1つを買ったことからハマってしまい、全国のご当地のびねこを集めているんです。

――では、今回題材を「ハニゴウコの地図帳」にしたのはなぜですか?
豪太さん お絵描きアプリの「アイビスペイント」で、ハニゴウコを描いていたら、お母さんが「これを地図にすれば自由研究になるんじゃない?」とアドバイスをしてくれて、そうすることにしました。
都道府県を普通に紹介するだけだと見た人の頭に入りにくいから、キャラクターにした方がわかりやすいなとも思って。自分もそのほうがやっていて楽しいです。
豪太さんのお母さん 自分で「これがやりたい」というのがなかったなか、ハニゴウコはコツコツ描いていたし、ちょうど地理の勉強をしていたので、ご当地ハニゴウコで地図帳を作れば勉強にもなると思ったんです。
このクオリティでひとつの県にかかる時間はたったの10分!
――たくさんのキャラクターが登場していますが、ひとつの県を描くのにどのくらいの時間がかかりますか?
豪太さん 線画を描いてから色を塗って10分ちょっとです。なにかを参考にしたというより、頭のなかで考えたものを形にしました。

――えー! それははやい。では47都道府県分はどのくらいかかりましたか?
豪太さん 夏休み前から描き始めて4か月くらいです。
――ページを作る上で工夫したことはどんなことですか。
豪太さん どこの県のことなのか、もっとわかりやすくするにはどうすればいいか考えて、途中から背景に県境を描きました。
――特にお気に入りのページはどれですか?
豪太さん 和歌山県です。いろんなキャラがいるし、海がある県だからと思いついた、海パンをはいてる「海パンゴウコ」が好きです。あとは福井県の「東尋坊火サスゴウコ」、富山県の「ゴウコの薬売り」も。

――福井の東尋坊では『火曜サスペンス劇場』のシーンも取り入れるなど、いろいろなアイデアが詰まっていますね。どんな資料を参考にしましたか?
豪太さんのお母さん 地図帳や社会の教科書とか、ネットで各地の特産品とか名所を調べて、有名なものや絵を描けそうなものをピックアップしました。

――大変なことはなかったですか。苦労したことはありましたか?
豪太さん 途中からちょっとめんどくさくなった。
――これだけあったらそうですよね(笑)。何枚ぐらいでちょっとめんどくさくなりましたか?
豪太さん 17、8枚ぐらいです。でも休みながらコツコツ描き進めました。
同じ物がいくつかの県で名産になっているということに気付いた!
――今回すべての都道府県を調べてみて、新しい発見やここに行ってみたいな、これを食べてみたいなというものは見つかりましたか?
豪太さん その県で有名な物が他の県でも有名だったりすること気付いて、それが意外でした。例えば、栃木で有名ないちごは福岡や千葉でも特産だったりして、同じ物がいくつかの県で名産になっているということに気付きました。
あとは富山の黒部ダムの大きくて水が流れているところに興味を持って、行ってみたいと思いました。食べてみたいのはます寿司。

――今年の自由研究はなににしようと思っていますか?
豪太さん “ハニ万博”を開催しようと考えています。その中でハニゴウコグッズショップをオープンして、Tシャツ、トートバッグ、キーホルダー、ぬいぐるみとかを作って、仕入値、売価を計算して、来客予測を立てたいです。商品はどのくらい作ったらいいかを考えたりしたいと思っています。
――すごい! グレードアップしていますね。今年の自由研究も楽しみです!

小さい頃から絵を描くのが好き! なるべく美術館や博物館に行き、絵本の読み聞かせも
自分でオリジナルキャラを考案しただけでも驚きですが、それぞれの都道府県の名物・名所を、独自のタッチでキャラクターで表現するのは、簡単なことではないと思います。このような感性はどのように育まれたのか、豪太さんのお母さんにもお話を聞きました。
――豪太さんは普段はどんなお子さんですか。
豪太さんのお母さん お友だちと遊ぶのが大好きな元気な男の子です。なにかにハマるようなタイプではなく、やるときはすごく集中するけど、飽きっぽいところもあります。
――お絵描きアプリは1年前くらいに始めたそうですね。あまりに上手なので、小さい頃から使いこなしていたのかと思いました。
豪太さんのお母さん ある日デジタルで絵を描きたいと言ったので調べて、アイビスペイントをやってみたらとすすめて。絵を描くのは小さい頃から好きでした。にゃんこ大戦争のにゃんことカービィはとても上手に描きます。シンプルなキャラを表情豊かに描きこなせるのはすごいと思います。
――色彩センスが素晴らしいと感じました。例えば美術館に一緒に行ってたとか、絵本をよく見せてたとか、そういうことはありますか?
豪太さんのお母さん 父親が雑貨メーカーで企画デザインなどをしていて、私はミシンや刺繍が好きなこともあり、豪太も一緒にやったりするので、そういったなかで色使いなどが身についたのかもしれません。
絵本は小さいときは毎日読み聞かせをしていて、美術館や博物館はなるべく連れて行っていました。なかでも博物館はよく行っていて、都内近郊の博物館はほとんど行ったと思います。

豪太さんのお母さん 恐竜にハマっていた時期があり、茨城県にあるミュージアムパーク茨城県自然博物館がお気に入りでした。『デザインあ展』とかそういうところも好きでしたね。
――なるほど、そういった経験のなかで感性が培われていったんですね。先ほど、豪太さんが「途中で嫌になっちゃった」と言っていましたが、そんなときはどんなふうに声をかけましたか?
豪太さんのお母さん とにかくやろうって。1日1つでもいいからやらないと終わらないからって。
――サポートされる中で気を付けてたことはありますか。
豪太さんのお母さん 企画、発案、各地の特産などを調べるお手伝いはしました。でもどの特産を使ってキャラを作るのか、どのように描くのかはすべて本人に任せました。
私はあまり絵が描けないので、絵に関しては一切、口を出さないように。調べるのは私がやるから、あとは全部自分で決めてやってって。そのぐらいで抑えていました。
――抑えてたという認識ですか。
豪太さんのお母さん 「ちょっとこうしたほうがいいんじゃない?」と思っても、なるべく言わないようにしていましたね。
さまざまな経験のなかで好きなことややってみたいことを見つけてほしい
――今回の自由研究に限らず、子育てする中で大切にしてることがあれば、ぜひお伺いしたいです。
豪太さんのお母さん できるだけいろんなものを見せて、いろんなところに行って、いろんな人と会ってっていう経験をさせたいなと思っています。そのなかで、自分がこれが好きとか、こういうことがやってみたいとかっていうのを見つけてほしいなと。
今は具体的にすごく好きなものがあるわけではないので、これからいろんな経験をしたなかで見つけていってほしいな、それをサポートをしたいなと思っています。
――アイビスペイントもそうですが、「やってみたい」と言われたら、それは叶えていますか?
豪太さんのお母さん そうですね。行きたいと言う場所にはできるだけ行ってあげるようにしてます。習い事も、やりたいって言えばやらせてみて、嫌だって言えばじゃぁもうやめようという感じです。
習い事に関しては、今は塾があるのでやめてしまいましたが、今までにサッカー、書道、スイミング、空手、あとはドラムを少しやっていました。サッカー、空手、書道は私からやってみたら? と伝えましたが、ドラムは自分でやりたいといって始めましたね。
――軽井沢旅行で「のびねこ」に出合ったそうですが、今まで家族で出かけたなかでお気に入りの場所はありますか?
豪太さんのお母さん 主人の実家が大阪なので、大阪に行くときに立ち寄った京都、奈良ですね。ちょうど歴史を習ってやっていたのもあって、神社仏閣巡りをして、教科書に出てくる場所はだいたい行くことができました。

豪太さんのお母さん 今後はさっき話に出た富山県もそうですが、それ以外だと山口県、島根県に行ってみたいと話しています。山口県にほしいご当地のびねこがあって、買いに行きたくて。やっぱり実際に行って、そのご当地で買いたいんですよね。だから、今はそれをきっかけに、出かけることもあります。なにかにハマるタイプではないと言いましたが、そういえばのびねこにハマっていますね。
家族みんなで子どもの好きを共有する姿が印象的
今回の取材では、お父さん、お母さんと豪太さんの3人で取材場所に来てくださった仲の良い水野さんご家族。豪太さんが好きなのびねこは大阪にあるカワチという会社から販売されているそうで、毎年ここで行われるオープンファクトリーにお父さんと豪太さんの2人で出かけ、限定のびねこを買ってくるのが楽しみなのだそう。
子どもの好きなものを家族みんなで共有し、それを買うことをイベント化してみんなで出かけたり、その好きを生かした自由研究を提案したり。普段から子どもと多くの時間を過ごし、触れ合っているからこそ生まれた自由研究なのだと感じました。
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取材・文/長南真理恵 撮影/HugKum編集部




