自学ノートは真ん中に絵を描くのがコツ! 【審査員特別賞】東京都の小学4年生山中真希さんの自学ノートは身近なマンホールを深掘り!

当時小学4年生だった東京都・山中真希さんが取り組んだ自学ノート「知ってた!?そうなの!マンホールのえがら」。昨年「小学館の図鑑NEO」と「HugKum」が開催した「小学生の図鑑・自由研究コンクール」で、審査員特別賞を受賞しました。マンホールの絵柄をテーマに、自分が気になることを中心に調べ、丁寧にまとめた力作です。今回は真希さんに自学ノートを進めるコツ、そしてお母さんにもお話を聞きました。

自学ノートは「新しく知ることがあるのが楽しいし、まとめて書くのも好き」

自由度が高い分、何をテーマにしてどう書けばいいのか迷ってしまう「自学ノート」。山中真希さんの自学ノートは、お姉さんとの会話をきっかけにマンホールの絵柄を調べてみることに。調べるうちに、絵柄は市民のためにあると知り、とても勉強になったそうです。中央の迫力のあるマンホールの絵や、周囲の枠で囲んだレイアウトが、読みやすくて見事。最後まで粘り強く取り組んだことがわかる、ぎっしりと並んだ文字にも目を奪われる自学ノートです。

――今回、お姉さんにテーマのアドバイスをもらったそうですね。

真希さん 自学ノートのテーマに悩んでいたときに、今中学2年生のお姉ちゃんが「マンホールについて調べたら」とアドバイスをくれて、やることにしました。

真希さんのお母さん 当時の担任の先生が、”自学ノートをやらせると書きが進む”と、自学ノートにとても熱心でした。お姉ちゃんもその先生が担任だったことがあり、同じように自学ノートに取り組んでいたので相談しやすかったのだと思います。

――自学ノートで調べる以前は、マンホールに注目したことはありましたか。

真希さん あまり深く考えたこととかはなかったです。これをきっかけに絵柄が違うことを知って、見るようになりました。

――自学ノートはどんな構成にするかを自分で考えると思います。今回の作品は、真ん中に大きい絵が描いてあるのが印象的ですが、これは真希さんのアイデアですか?

真希さん いつも、こんな風に真ん中に絵を描いています。

真ん中に絵を描くことと、見出しをわかりやすくすること、枠で囲むことといったコツを先生が教えてくれていたからです。後は、調べる前と調べた後の感想を入れることを教えてもらいました。

――そうだったんですね。「こういう絵柄はいつ作られた」とか「人気のマンホール」など、いろいろな項目がありますが、これは自分で考えましたか?

真希さん はい。知りたいことをどんどん調べて、見出しをつけてまとめています。人気のマンホールは、パソコンで「人気のマンホール」と調べました。

現在は小学5年生になった、山中真希さん。

――今回調べてみて、新しい発見はありましたか?

真希さん 絵が描いてあるのは、水道のイメージアップが理由だと知りました。今回調べて描いたマンホールは、八王子市に伝承されている人形劇「車人形」です。

――絵も忠実に丁寧に仕上げていますが、このページのなかで大変だったのは絵を描くところでしたか?

真希さん そうです。最初は鉛筆で書いて、その後色鉛筆で書きました。

――細部までこだわってたくさん書き込んでいますが、めんどうに思わず、楽しく進められますか?

はい。自学ノートは好きです。調べることで、新しく知ることがあるのが楽しいし、まとめて書くのも好きです。

――今回の自学ノートを見て、周りの先生とかお友達から何か感想はもらえましたか。

真希さん 友達からは「すごいインパクトがあるね」って言われました。

調べてわかりやすくまとめるのが得意! 学校では賞をもらうことも

――まとめるのが好きだそうですが、これまでにどんな学習をしてきましたか?

真希さん 授業で東京都について調べることになって、遠足で訪れた浅草について、あとはそれぞれの区の特色についてまとめました。このときは学校で「まとめ上手賞」と「レイアウト賞」をもらいました。

真希さん 下は、5年生になってから宿題でやった自学ノートです。ジンベイザメについて調べてまとめました。

絵が上手で、ノートの至るところにさりげなく描くイラストもセンスが光ります。下の写真のような見出しの飾り文字もかわいい! 細かい作業がなんでも上手で、赤い折り紙の花や、「まき」という文字は段ボールに書いて作ったもの。

――これから、自学ノートでやってみたいテーマはありますか?

真希さん 今年の夏休み、自学ノートか自由研究のどちらかをやるという宿題が出ているので、今回は自学ノートをやろうと思っています。でもテーマはまだ悩み中です。

――そうなんですね。最後に、最近好きなことやハマってることとか、頑張っている習い事があれば教えてください。

真希さん ピアノの発表会がもう少しなので、今、練習をすごく頑張っています。ピアノは年長のときから続けています。

――何かをコツコツ続けるのが得意なのですね、ありがとうございました!

毎回テーマを決めるのは大変! でも自分自身で決められるようになってほしい

何をテーマにしようか、どんな風にまとめてどう書こうか、悩んでしまうポイントが多い自学ノートを「楽しい」と、前向きに取り組んでいる真希さん。普段はどんなお子さんで、お母さんはどんな風に向き合っているのか、お母さんにもお話を聞きました。

――真希さんは普段どんなお子さんですか?

真希さんのお母さん 自学ノートは「これをやろう」ってすぐに進むのではなく、自分であれがいいかなこれがいいかなと考えながら、いろんな人と相談しながら少しずつ結論を出して頑張ります。

手を動かすことは好きで、いったん手を動かすと手が真っ黒になるほど書いていますね。

真希さんとお母さん

――お母さんは何かサポートをしましたか。「もっとこうしたらいいよ」など、アドバイスすることはありますか?

真希さんのお母さん 私からはないんです。お姉ちゃんが同じように自学ノートを頑張ってきたので、お姉ちゃんに相談しながら進めているようです。

かつて、お姉ちゃんのときはいろいろと聞かれて答えたこともあったんですが、この子に関しては普段から迷うことが多い性格で、これが自分で決める練習になればいいなと。

というのも、洋服1つでもお姉ちゃんの洋服を自動的に着せてきてしまったり、あまり決めさせることをしてこなかったなという想いもあって、あまり口出しはせず、自分で決められるようにしています。

できるだけ、自分で選んで、自分で決めて、自分でやってほしいっていうことがあって。そのぶん時間はかかりますが、じっくりじっくり取り組んでいます。

――今回のこの自学ノートをご覧になったとき、どんな感想を持ちましたか?

真希さんのお母さん すごく丁寧で、真希らしく実直だなと思いました。

自学ノートは、回数を重ねることで、字を書いたり構成したりできるようになっていったと思います。今回のものもうまくいかなくても、最後まであきらめずに仕上げていました。

――絵もそうですけど、字がすごく上手ですね。習字を習っているんですか?

真希さんのお母さん 習ってないんですが、1年生の先生が、とても丁寧に指導してくれて。それで字がすごく上手になりました。

――とにかく丁寧なんでしょうね。

真希さんのお母さん 書く作業、並べる作業、スペースを埋めるのが好きなんだと思います。家族旅行の前に何をするかみんなでプランを練るときも、書記に立候補してくれました。いつもそれはやってくれてますね。

――そうなんですね。最近は手を動かして書くことがどんどん減っていますが、やっぱり大事ですよね。

真希さんのお母さん それは本当に大事だと思うんです。減れば減るほど大事だと感じています。

――この自学ノートを機に、家族でマンホールを探しに歩いたりしましたか?

真希さんのお母さん 今回描いたようなカラフルなものは、実際にはあまり見かけないんです。でも、ベーシックな赤茶色のマンホール色のものはありとあらゆるところにあるので、見かけるたびに「真希のマンホールがあるね!」って家族で話していました。

3人姉妹の真ん中っこの真希さん。お母さんは学校から帰ってきた瞬間を大切に

――真希さんはお姉さんのほか、妹さんもいる3姉妹だそうですね。普段の子育てで大切にしてることがあれば、ぜひ教えてください。

真希さんのお母さん 自分がやりたいことをできるだけやってほしいけど、それを増やさないようにしています。

――大事ですね。増えすぎると子どもは忙しくなっちゃいますよね。

真希さんのお母さん そうなんです。好きなことだけを深めていければと。やりたいことでもあまりに増えすぎると、1つ1つがすさんでいくというか、カスカスになっているような気がするので、あえてそうしています。あとはできるだけ話を聞くことを大切にしています。

――1対1で話をしますか? それとも3姉妹でわいわい話すイメージでしょうか?

真希さんのお母さん 両方あります。ある時期、お姉ちゃんが学校に行けなかったことがあって、それを機に一度仕事を辞めて、現在は復職してテレワークをするようになりました。

そこで思うことが、子どもが話をしたいタイミングは本当にわずかだということでした。

うちの子たちは学校から帰ってきた瞬間が一番しゃべるのですが、「今日は暑くて大変だったよ」「何々をしたよ」「明日、友達とサイゼリヤに行っていい?」とか、どんな些細な話でもそのときに聞くようにしています。

例えばそのとき、ちょうど仕事のメールをしていたりして「ちょっと待っててね」と待たせて、あとで「さっきの話なんだっけ?」って聞くと、子どもは「忘れた」っていうんです。本人はシンプルに忘れてしまっているんですね。

それを経験してから、帰ってきた! と思ったら、手を止めて話を聞いています。そのときは1対1ですね。

――みんなでわいわい話すこともあるんですね。

真希さんのお母さん 平日の夜の食卓は女4人で囲むことが多く、そのときはみんなでしゃべって、にぎやかです。好きなものが一緒なので、女の子同士で喫茶店に行っておしゃべりしているような感覚で、音楽の話などで盛り上がっていますね。好きな歌をハモリながら歌ったりして、楽しい時間を過ごしています。

悩みながらもじっくりと向き合うことで、自学ノートも自分で決める練習に

お母さんからは「自分で決められるようになってほしい」という言葉がありましたが、テーマを決める際も、悩むことが多いそう。それでも、あきらめずにじっくりと考えて決定し、決まったあとは自分が知りたいことを調べてまとめて、一歩一歩丁寧に進めていることがわかる真希さんの自学ノート。色使いやイラストも可愛らしく、「読んでみたい!」と思わせます。この夏休みも自学ノートに取り組むそうで、その作品も楽しみです。

また、鉛筆を持って字を書くことが減っている昨今ですが、やはり気になることはとことん調べて、ここまで書き込んだり、書き加えたりすることができるのはパソコンにはない良さ。自学ノートの魅力も改めて実感しました。

今年も開催! 『自由研究コンクール』

昨年も多くの方にご応募いただいた『自由研究コンクール』を今年も開催いたします! 本コンクールでは、「図鑑部門」「自由研究部門」「自学ノート部門」の3部門で作品を募集します。
優秀作品には豪華賞品も!  応募要項をチェックして、皆さんの作品をぜひご応募ください。

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取材・文/長南真理恵 撮影/五十嵐美弥

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