二人目不妊はなぜ起こる?
一人目は自然に授かったのに、二人目がなかなかできない――そんな悩みを抱える夫婦は少なくありません。神奈川レディースクリニックの小林淳一先生によると、「当クリニックでは、2人目不妊の患者さんは全体の30%ほどいらっしゃいます。2人目不妊は珍しくなく、3人目、4人目が欲しいと受診される方もいますね」と話します。では、なぜ二人目不妊は起こるのでしょうか。
見逃せない、年齢による影響
最も大きな要因のひとつは年齢です。三軒茶屋Artクリニックの坂口健一朗先生は「2人目不妊の大きな原因として考えられることの1つ目は、年齢です」と指摘します。「平均初婚年齢は年々上昇を続けています。初婚年齢が上がると第一子、第二子の平均出産年齢も上がるため、女性の場合は卵子の質が低下していきます。男性の場合も精子の運動率が悪くなったり奇形率が高くなるほか、DNAの損傷も多くなって、妊娠に悪影響を与えます」。
小林先生も「1人目のときとは条件が変わっているんです」と強調します。「卵子が老化すると受精しても流産しやすくなり、35歳で2割、40歳では4割が流産するというデータが出ています。さらに加齢によって子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどができやすくなり、着床の妨げになることもあります」。

生活習慣とストレスにも注意を
坂口先生は、年齢以外にも「生活習慣やストレス」が影響すると話します。「共働きが増えて仕事と育児の両立で忙しい中では、睡眠不足や運動不足、不規則な食生活になりがちです。また、“2人目はまだ?”など周囲の不用意な言葉に傷つくなど、ストレスも多いもの。それらがホルモンバランスに影響して、妊娠しにくくなることがあります」。

出産後の体の変化も
さらに、前回の出産による体の変化も見逃せません。「例えば、出産時に癒着胎盤といって胎盤がはがれにくかった場合は子宮内が癒着したり、感染を起こして卵管にまで及んだ場合は卵管が詰まったりします。その場合、受精卵がスムーズに着床できない、受精卵を子宮に運べないなどの可能性があります」と小林先生。
不育症が隠れていることもある
二人目不妊の背景には、不育症が隠れている場合もあります。立川ARTレディースクリニックの右島富士男先生は「不育症とは妊娠はするけれども、自然流産を繰り返して生児を得ることが困難な状態をいいます」と説明します。検査は「子宮形態検査、免疫学的検査、凝固系検査、内分泌学的検査、感染症検査、染色体検査」の6つを行い、原因に応じた治療を進めます。原因不明の場合も「未知の原因を想定に入れて治療を進めていく治療方針をとっています」と話します。

妊娠しやすい体づくりに必要なのは
右島先生は「30歳を過ぎたら1年に1度は卵巣年齢のチェックをして、自分の卵巣の状態を知ってみてください」と呼びかけます。また、食事改善も重要です。「高タンパクで糖質を抑えた食事は体外受精の受精率を向上させる」と米国産科婦人科学会の報告を紹介し、適正体重を保つために「肉や魚、大豆食品や卵などのタンパク質を十分に摂り、炭水化物を減らす」ことを勧めています。
受診の目安

では、どのくらい妊娠しなかったら受診すべきでしょうか?小林先生は「35歳以上の方は半年間妊娠しなかったら積極的に受診しましょうとお伝えしていますが、30歳前後の方は1~2年ぐらい様子を見てもいいのでは?」と説明します。
二人目不妊は珍しいことではなく、年齢、生活習慣、体の変化など複数の要因が絡み合っています。まずは「自分の体を知ること」、そして「早めに専門医に相談すること」が、希望する家族計画への第一歩です。
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