「上の子は中学受験、下の子は公立」は不公平じゃない!子どもの適性に応じた進路選びの正解は?【教育系インフルエンサー東田高志さんに聞いた】

同じ親から生まれ同じ環境で育った兄弟姉妹でも、ひとりひとりの個性は千差万別。性格や好き嫌い、得意・不得意なことなど、子どもごとの特性に向き合いつつ、兄弟姉妹間で不公平感がない子育てを模索したいところですが、現実的にはなかなか難しい面も多々あります。その一例として挙げられるのは、“中学受験させるかどうか”問題。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんが中学受験したから、弟妹も同じ学校を目指すべき?」「上の子は公立だけど、下の子は中学受験ってあり?」…兄弟姉妹のいる家庭での進路にかかわるお悩みに、Xで5万人以上のフォロワーをもつ教育系インフルエンサーの“東京高校受験主義”こと東田高志さんに、答えていただきました。

上の子は中学受験、下の子は公立中学…これってありorなし?

――長子が中学受験を経て進学したら、下の子も同じ学校をめざす家庭が多いような気がしますが、実際のところどうなんでしょうか?

東田さん そうですね。お兄ちゃん、お姉ちゃんが楽しくスクールライフを送る姿に憧れて、弟妹も同じ学校をめざすのは自然な流れだと思います。それに、親としても子どもたちが同じ学校に通ってくれたほうが何かと安心でラクですよね(笑)。保護者会ひとつとっても、学校ごとに雰囲気もルールも異なりますから。

――以前の東田さんのお話で、中学受験するかしないかは、子どもの心身の成熟度や競争心の強さなど適性を見極めて判断したほうがいい、という内容がありました。上の子に適性があっても、下の子に適性があるとは限りませんよね。その場合、どうすればいいのでしょうか?

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東田さん 兄弟姉妹で無理に進路を合わせようとするよりも、子どもの適性に応じた選択のほうが望ましいでしょう。実際、中学受験業界の著名な方で、長子は中学受験をさせたけれど、下の子はあえて公立ルートをとったという方もいらっしゃいます。中学受験の実情を誰よりもよく知るプロフェッショナルだからこそ、子どもの適性を冷静に見極めて判断されたようです。

――上の子は中学受験させて、下の子はさせないのは不公平感はありませんか?

東田さん たしかに中学受験にはお金がかかるので、金銭的な面ではアンフェアかもしれませんね。その不公平感を解消するには、中学受験をしない分、下の子は習い事にお金をかけてあげるなどしてバランスをとるのがよいかと思います。

兄弟姉妹の進路を無理に合わせるほうがかわいそう?

――中学受験は塾の送迎や宿題のチェックなど親の労力も相当なものなので、中学受験しないほうの子が「親はお兄ちゃん(お姉ちゃん)の応援ばかりして、自分は構ってもらっていない」などと感じることもありそうですが…。

東田さん 私の知る限りではそのおそれはないように感じます。たしかに、「上の子は中学受験させて、下の子にはさせないのはかわいそう」というご相談を受けることもあるのですが、むしろ精神的な面では“兄弟姉妹で同じ進路”に親がこだわるほうがよほどかわいそうです。

というのも、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)が中学受験したから」という理由で、適性のない弟妹に挑戦させるケースでは、どうしても親が兄弟姉妹の比較をしてしまいがちなんですね。

例えば、弟が算数のテストで前回は40点だったのが今回は60点だったとします。本来は20点伸びたことを「よく頑張ったね!」と認めてあげるべきなのに、親は「お兄ちゃんは小6のこの時期にはもっとできたのに!」などと不満に思ってしまう…。たとえ口にしなくてもそうした親のガッカリ感は態度ににじみ出て、子どもの劣等感を刺激し自己肯定感を損なうおそれがあります

令和の高校受験は多様な進路選択が可能に!

――たしかに、上の子の中学受験がうまくいっていたらなおさら、比べてしまいそうです。

東田さん 兄弟姉妹はあくまで別人格ですから、上の子は上の子、下の子は下の子の向き不向きがありそれに応じた人生があるというのを親は認めてあげてほしいです。

令和の今、偏差値の高い学校に行くことだけが必ずしも将来の幸せを約束してくれるものではありません。学力だけで子どもを測ろうとする旧来の価値観をアップデートして、子どもの活躍するフィールドを見付けてあげるのが親の役割ではないかと思います。

ひとつ私が素敵だな、と思ったケースとして、上の子は全国トップクラスに学力が高く、下の子はあまり勉強が得意でないご家庭で、親が「下の子には勉強以外の様々な経験を積ませてあげたい」と海外に留学させたという事例があります。こちらはかなり裕福な家庭だったので、海外留学という選択肢でしたが、一般的な家庭であっても、親が頭を柔軟にすれば子どもの個性を伸ばすことは十分可能です。

東田さん というのも、かつて高校受験といえば、地元の偏差値に合った学校に行くというのが主流でしたが、今は様々な特色を打ち立てた学校が増えつつあり、多様な進路選択が可能になっています。農業、工業、商業、情報、海洋、芸術、科学技術、家庭、福祉などに特化した学校で専門性を磨きつつ、推薦で大学進学を狙うというルートもありますし、離島留学などのユニークな選択肢などもあります。

中学受験ばかりにとらわれると、かえって子どもの適性に本当に合うルートを見落としてしまうかもしれません。

逆に「上の子公立中学、下の子中学受験」パターンではここに気を付けたい!

――ここまで“上の子が中学受験、下の子が公立高校受験”というルートについてお聞きしてきましたが、逆パターン、つまり上の子は公立中学に進学したけれど、下の子は中学受験させてみようか…というのは?

東田さん 下の子が適性もやる気もあって、親のバックアップ体制も問題ないのであれば、それもありだと思います。ただ、小学生よりも中学生・高校生のほうがお金の動きには敏感ですので、兄弟姉妹間で経済的なアンフェア感が出ないように、より一層の配慮が必要です。

実際に、高校生のある生徒さんから「うちは妹が中学受験でお金がかかるので、私は国公立の大学しかダメなんです」と深刻な顔で打ち明けられたことがあります。その家庭は家計がそこまで厳しかったわけではなく、親御さんに話を聞いてみてもそんな我慢させているつもりはなかったことが判明したのですが、どうやらその生徒さんが親がてんてこまいになっている姿を見て、気を回してしまったみたいなんですね。

――親孝行で優しいお子さんなんですね。ただひとりで抱え込んでちょっとかわいそうな気が…。

東田さん そうですよね。だから、“上の子公立中学、下の子中学受験”のケースでは、親が上の子に家庭の懐事情をオープンにしてしまってもいいんじゃないか、と思います。

「大学の費用は年間いくらまでなら出せるよ」とか「奨学金を借りたら私立の一人暮らしでも大丈夫そう」とか「弟(妹)は今、中学受験に挑戦中でこれくらいお金がかかっているけど、そのぶん、あなたのやりたいことも金銭的にサポートするよ」とか、きちんと率直に話して、上の子を納得・安心させてあげてほしいですね。

――親が子どもにお金の話をするのはタブー視されることが多いですが、兄弟姉妹がそれぞれ自分らしい人生を送るためには、子どもと対等に話し合うことも必要かもしれませんね。

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兄弟姉妹のなかで、中学受験する子としない子がいるのは不公平でかわいそう…。そんな筆者の思い込みは、東田さんからお話を伺ううちに払拭されました。「~~しなければならない」「きっと~~のはずだ」という親の価値観を押しつけることなく、「あなたのやりたいことは?」「あなたの好きなことは?」と子どもひとりひとりの適性を探りながら、その子が輝ける進路をサポートしていきたいものです。

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お話を聞いたのは…

東田高志さん(東京高校受験主義) 教育系インフルエンサー

Xで5万人超のフォロワーのいる教育系インフルエンサー。首都圏の受験情報を毎日配信している。実生活では、20年以上のキャリアを持つ塾講師。学校と塾の変化を見続け、現場を知り尽くし、小学生~中学生の指導に従事。著書に『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと』(Gakken)がある。

取材・文/中田綾美

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