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小学校に入学すると、環境、人、ルール、持ち物、時間の流れが大きく変わります

春休みは、小学校入学に向けた大切な準備期間です。
特に、発達障害の子にとっては、初めてのことが増える時期になりハードルが一気に上がることになります。
小学校に入学すると、環境、人、ルール、持ち物、時間の流れが大きく変わります。子どもにとってはそれが強い不安や混乱につながることがあります。
できるだけ春休みの間に、「学校で起こることを、家で少し先に経験しておく」ことが役立つ場合があります。特に不安の強い子の場合、事前にリハーサルをしておくことで安心材料が増える場合があります。
今回は春休みに家庭でやるおすすめチェックポイントを4つ紹介します。
•入学式の服装への慣れ
•通学路の確認
•給食の準備
•持ち物の区別
先に「知っておく」「やってみる」ことで、安心につなげていけます。入学までの時間に、親子で無理のない範囲で、ひとつずつ準備しておくことがおすすめです。
1. 入学式の服を着て、半日過ごしてみる

入学式は親にとっても子どもの晴れ舞台ですが、学校指定の制服がある場合は制服の練習が必要です。ハレの舞台だからと言って普段着慣れないような正装の場合、見た目は整っていても、子どもにとっては感覚がまったく違うことがあります。
・襟元が苦しい
・タグがチクチクする
・締め付けが強い
・靴がかたい
・靴下がずれて気になる
・伸縮性が弱い
こうした違和感は、子どもの集中力を奪い、不安を募らせます。特に、感覚統合不全の特性がある場合、服が気になってじっとしていることが難しい場合があります。
入学式に着用する服を着て過ごす時間をつくりましょう
せっかくのハレの日の洋服を汚すことのないよう、食事やおやつの時間をはずして、入学式用の服から靴まで、一式を着て過ごすことを半日ほどやってみてください。
座ることはもちろん、歩く、トイレに行ってみるという動作もするといいでしょう。
このときのチェックポイントは2つ。先手を打つことができて当日のトラブルを減らせます。
・気になるところはないか(不自然な動きになっていないか)
・苦しがる部分はないか
2. ランドセルを背負って、学校まで歩いてみましょう

ランドセルは、思った以上に身体を拘束し、動きの負担があります。自宅から学校までの距離がある場合、大きな荷物を背負い長時間歩くということを経験していないと、意外と疲弊します。
発達障害の子の場合、不器用さや重心の不安定さもあり、身体の保持(歩きながら周囲の刺激を処理する)で思いのほか疲弊するものです。
さらに、環境によっては「車の音がわずらわしい」「コンビニなど刺激のあるものが多い」など気になることがたくさんでてきて、その情報処理にも苦戦するため「学校に行くのは疲れる」という印象が先についてしまう場合があります。
実際に荷物を入れて、ランドセルを背負って通学路を歩いてみましょう
お子さんと一緒にランドセルを背負った状態で通学路を歩いておく経験をしておきましょう。その際、音や、安全のための案内の人がいるいない、など、時間によって環境がもたらす情報もかわるので、登校時間に近い時間帯に歩くことをおすすめします。
信号、横断歩道、曲がり角、交通量を一緒に確認
「ここで止まる」「ここを右に曲がる」など、言葉だけでなく見える目印で伝えると理解しやすい子がいます。通学路にどんな刺激があるかを親子で確認しておくことは、安全確認だけでなく、子どもの不安を減らすことにもつながります。
3. 給食の準備をしてみましょう

給食の時間にもたくさんの「初めて」がありますが、自治体によって給食のルールは異なります。箸箱が必要な地域もあれば、ランチョンマットを敷いて食べる地域もあります。
発達特性のある子にとって準備や片づけは難しいことが多いのです。
「向きが分からない」
「動作の順番が分からない」
「不器用さがあってうまく運べない」
「人に見られながら急かされると焦ってしまう」
など、不安になることがたくさんあります。
事前に学校や入学説明資料を確認し、実際に近い形で練習しておくことがおすすめです。準備や片づけの手順でつまずく子は結構多くいます。
例えば、ランチョンマットについては、ランチョンマットを広げる向きが分からない、たたみ方が分からない、など様々なハードルがあると、給食の時間そのものが苦手になることもあります。以下の手順を家でもやっておくといいでしょう。
実際に使う予定の箸箱、スプーン、ランチョンマットを使って、「出す→食べる→しまう」までを一連の流れで練習しましょう。
1 ランチョンマットを敷く箸箱やスプーンケースを開ける
2 食べ終わったあとに元の場所へしまう
3 ランチョンマットをたたんで袋に入れるトレーを安定して持つ
あらかじめ、向きの解りやすい絵柄のランチョンマットにする、箸箱は、開閉、落しても壊れないシリコン素材に替えるなどの配慮も必要です。練習をしてみて、子どもがどこでつまづきそうなのかをチェックして先生に伝えることも有効です。
4. 教科書・ワークブック・ノートの違いが分かる工夫をしておきましょう

教科書が配布されると、子どもの前には似たような冊子がいくつも並びます。お子さんによっては、教科書・ワークブック・ノートの違いが分からないことがあります。
私たちが無意識に系統立てて、判別することも障害のある子にとっては難しいことなのです。区別がつかない理由は以下のようなことがあります。
・大きさが似ている
・表紙の言葉の意味が分からない
・「どれに書くのか」が曖昧(教科書、ワークブックに書き込むものもある)
先生が「ノートを出してください」と言っても、ワークブックを出してしまい、ページが解らず、あたふたしてしまう。何度指示を出されても、本人は区別がついていないので、叱られている理由が分からないのです。こうしたことが続くと、「自分はできない」と感じやすくなります。
区別しやすい工夫をしておきましょう
文字だけでは区別しにくい子には、色やマークで見分ける工夫がおすすめです。
たとえば、
・青い○シール=ノート
・赤い○シール=ワークブック
・黄色い☆シール=連絡帳
など、一目で分かる目印をつけます。
家でも、ノートを置く場所に青い○、ワークブックを入れる場所に赤い○など、同じルールでそろえると、さらに理解しやすくなります。
「学校に置いておくもの」と「持って帰るもの」の区別を助ける工夫を
最近は、教科書を毎日持ち帰らず、学校に置いておく場合もあります。
ですが、発達障害のある子にとっては、「今日は持ち帰る」「今日は置いておく」のように日々ルールが変わることが、とても混乱しやすいのです。
昨日は置いておいてよかったのに、今日は持って帰る。
こうした変化にうまく対応できず、必要なものを持ち帰ることができなかったり、逆に置いてくるものを持って帰り、次のときに持って行くのを忘れてしまい、しまいにはどこにあるのかわからなくなってしまうということがあります。
それが忘れ物や注意につながると、子どもの不安はどんどん大きくなります。その不安が積み重なると、
「また間違えるかもしれない」「学校に行きたくない」という気持ちになってしまいがち。
先生には子どもの特性を伝え、子どもにとってわかりやすい方法を一緒に考えてもらいましょう。
以前、教科書を2セット用意し、教科書は全て学校に置いていたご家庭もありました。
この部分は合理的に配慮してもらえる範疇のことです。
大切なのは「見通しを持てるようにする」こと

入学準備で大切なのは、「何が起こるのか分かる」「やったことがある」という経験を少しずつ増やしていくことです。何も分からないまま新しい環境に入ると、それだけで疲れ切ってしまう子もいます。見通しが持てるだけで、子どもの不安は減ります。
小学校生活をスムーズに始めるために、春休みの期間に学校生活の流れを少しでも体験しておきましょう。
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記事監修

保育士、公認心理師。発達障害の女の子の性教育や身だしなみ教育を行う放課後等デイサービスLuce(ルーチェ)を2022年まで運営。現在は障害のあるお子さんと保護者が一緒に通うことができる脱毛サロンLuceを運営(施術中に療育相談に対応可)、子育てや療育相談、事業所での性教育のやり方、職員研修やコンサル、講演等を行う。著書に『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』、『発達障害の男の子のお母さんが早めに知っておいてよかったこと70』(エッセンシャル出版社)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること』(PHP研究所)がある。
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