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子どもが「お笑い」を学べる放課後クラブ
「よしもと放課後クラブ」は、子どもたちがエンターテインメントに触れながら学べる放課後プログラムです。お笑いのほか、K-POPダンスなどのクラスもあり、現在は東京・大阪・沖縄に校舎があります。

よしもと放課後クラブを立ちあげた上田泰三さんによると、お笑いの授業を取り入れたのは、子どもたちが小さい頃からお笑いに触れられる場を作りたいという思いから。
「これまで、お笑いを子ども向けに学べる場はあまり多くありませんでした。小さい頃からこうした表現に触れることで、将来の夢につながるきっかけになればいいなと思っています」と上田さんは語ります。
もう一つ大切にしているのが、子どもたちの「放課後の居場所」であること。仕事をしている保護者も多い中、安心して過ごせる場所として、ここに来るのを楽しみにしてくれる子どもが増えているそうです。
また、月ごとにテーマを決めてネタ作りに取り組み、発表に向けて授業が進んでいくのも特徴です。ネタ作りや発表を通して、人前で自分の考えを伝える経験を重ねることで、子どもたちは表現する力や自信を少しずつ身につけていきます。
ミニゲームからネタ作りへ。笑い声あふれる授業

この日の授業は、ジェスチャーゲームで場を温めるところからスタートしました。教室には元気な声が飛び交い、観覧している保護者もまるでライブを見ているような感覚で楽しんでいます。
その後はコンビを決めてネタ作りへ。基本は2人組ですが、1人で挑戦する子や、3人組・4人組になることもあり、子どもたちの希望に合わせて進められていきます。

ネタ作りが始まると、教室の雰囲気は一変。それぞれが顔を寄せ合いながら、「この設定どう?」「こっちのほうが面白いかも」とアイデアを出し合い、真剣にネタを考えていました。講師に相談しながらネタをブラッシュアップする姿も見られます。舞台に上がって動きや“間”を確認する様子は、まるでプロのようです。
初心者向けには穴埋め式の台本も用意されていますが、慣れてきた子どもたちはオリジナルのネタ作りにも挑戦。この日も、自分たちでテーマを決めてネタを考える姿が見られました。授業前はにぎやかだった子どもたちが、ネタ作りが始まると驚くほど集中する様子も印象的でした。
芸人が講師に! 子どもの発想を引き出す「お笑い授業」

よしもとお笑いクラブの講師を務めるのは、プロの芸人です。この日は、お笑いコンビ「イシバシハザマ」のハザマ陽平さんと、ピン芸人の江崎ばもんさんが授業を担当しました。
アシスタントとして参加しているスタッフも芸人で、子どもたちのネタ作りをサポート。授業では、子どもたちの発想を大切にしながら、それぞれのアイデアを引き出していきます。
子どもの発想を大切にする講師のサポート
授業を見ていて印象的だったのが、講師の関わり方です。子どもたちに細かく指示を出すのではなく、発想を引き出しながらさりげなくサポートしていました。
「学校では注意されるようなことでも、実はそれが面白さにつながることもあるんです。ちょっとはみ出した発想も、僕らはできるだけ拾ってあげたいと思っています」とハザマさん。

ネタ作りのアドバイスでも、まずは子どもたちの話をしっかり聞くことを大切にしているそうです。
「子どもたちの発想を邪魔したくないので、まずは思っていることを全部話してもらいます。その中で面白い部分を一緒に見つけていくようにしています」と話すのは江崎さん。
講師は、ネタの完成度よりも子どもたち自身が考える過程を大切にしているのだとか。
また、授業の中では子どもたちの行動をすぐに注意するのではなく、まずは見守る姿勢も印象的でした。例えば、最初の頃はマイクを奪い合ったり、場を乱したりするような行動が見られることもあったといいます。しかし、そこで注意をすることはありません。
ハザマさんいわく、「そういうときも、まずは子どもたちの様子を見ています。すると、“あれ、これあまり面白くないかも”と子どもたち自身が気づいていくことが多い」とのこと。子ども同士で気づき合う経験も、お笑いの授業の中で大切にしていることの一つだそうです。
引っ込み思案な子にもスポットライトを
講師がとくに意識しているのが、引っ込み思案な子への関わり方です。授業では、ゲームの中で自然に発言できる場面を作ったり、話しやすい雰囲気を整えたりしながら、少しずつ前に出られるようサポートしています。

「発言することって、子どもにとってはすごく勇気がいることなんですよね。だから、話してくれたこと自体がすごいことなんだと伝えるようにしています」(江崎さん)
その空気があるからこそ、最初は恥ずかしがっていた子も、少しずつ自分の言葉を出せるようになっていくのだそうです。
失敗も大切な経験に
お笑いの授業では、うまくいかなかった経験も大切な学びになるといいます。
「発表のときにセリフを忘れてしまうこともあります。でも、そこからどう立て直すかを自分で、あるいはコンビやグループで考えるのも経験なんです。そういう経験を通して、“失敗しても大丈夫なんだ”と思えるようになるのも、お笑いの面白さだと思います」(ハザマさん)
ネタ作りや発表を重ねる中で、子どもたちは自然と表現する力やコミュニケーション力を身につけていきます。
「学校でからかわれても笑いで返せるように。」通って感じた子どもの変化

実際に通っている子どもたちには、どのような変化があるのでしょうか。今回は、クラブに通う小学4年生のスズちゃんと、スズちゃんのママに話を聞きました。
スズちゃんはもともとお笑いが大好き。テレビのお笑い番組を見て、「ここに出たい」と話すこともあったそうです。ママ友からこのクラブを紹介され、体験を経て入会。現在は通い始めて約3年になるといいます。
ママはお笑いを学んだスズちゃんの変化について話してくれました。
「ダンスも習っているのですが、表現力がすごく上がったと思います。顔の表情も豊かになりました。学校でも変化を感じることがあって、男の子にからかわれたりしたときも、漫才みたいに面白く返せるようになったんです。そうすると相手もそれ以上言えなくなって、逆に仲良くなったりすることもあって。お笑いを通して、コミュニケーション力も高くなったと思います」
「舞台に立つのが楽しい!」子どものリアルな声
小学4年生のスズちゃんにも、クラブの好きなところを聞いてみました。
「好きなところはたくさんあります! 私は発表で舞台に立つのが楽しいです。今まででいちばんうれしかったのはパンサーさんがゲストで来てアドバイスをしてくれたことです。クラブには元気な子が多いので、ここに来るとみんなから元気をもらえます」
舞台に立つことやネタ作り、プロの芸人さんとのやり取りなど、様々な楽しさがある中で、仲間と過ごす時間も大きな魅力のようでした。
子どもたちの「居場所」としての放課後クラブ

よしもと放課後クラブには、小学生から高校生まで幅広い学年の子どもたちが参加しています。放課後の時間に集まり、お笑いを通して表現する楽しさやコミュニケーションを学んでいます。
上田さんによると、このクラブでは「お笑いを学ぶこと」と同じくらい、子どもたちが安心して過ごせる居場所になることも大切にしているそうです。
「最近は共働きの家庭も多く、放課後の時間をどう過ごすかという悩みを持つご家庭も少なくありません。ここに来ることを楽しみにしてくれている子どもも多く、子どもたちにとって“放課後の居場所”のような存在になっていると感じています。
ネタ作りでは、自分の考えを言葉にしたり、相手とアイデアを出し合ったりすることが必要になります。コンビで一つのネタを作る過程の中で、自然とコミュニケーション力や発想力が育っていくんです。
最初は人前で話すことに緊張する子も多いのですが、ネタを発表する経験を重ねるうちに、少しずつ自信がついていく姿を見ることができます。お笑いというと特別なものに感じるかもしれませんが、子どもたちが自分を表現するきっかけになればうれしいですね」(上田さん)
お笑いを通して育つのは「面白さ」だけではない

今回の取材を通して感じたのは、よしもとお笑いクラブは単にお笑いを学ぶ場所ではないということです。ネタ作りでは、自分の考えを言葉にする力が必要になります。コンビやグループでアイデアを出し合う中では、相手の意見を聞いたり、協力して一つの形にまとめたりする力も育まれていきます。
さらに、舞台で発表する経験は、子どもたちにとって大きな挑戦です。緊張しながらも人前でネタを披露することで、少しずつ自信や度胸が身に付いていきます。
お笑いというと「面白いことを言う」イメージが強いかもしれません。しかし、その背景には、伝える力やコミュニケーション力、そして失敗してもまた挑戦できる前向きな気持ちを育てる経験が詰まっています。
放課後の時間を、笑いながら学びの時間に変えていく「よしもとお笑いクラブ」。子どもたちにとって、新しい表現の場や居場所の一つになっているようでした。
よしもと放課後クラブ

よしもと放課後クラブでは、お笑い以外にも様々な表現に触れられるクラスが用意されています。東京・大阪・沖縄の各校ではK-POPダンスクラブが開講されており、ダンス初心者から経験者まで、楽しみながら表現力や個性を伸ばすことができます。毎月K-POPの楽曲に合わせて振り付けを学ぶレッスンも行われています。
さらに沖縄校では、イラストやマンガを学べるお絵描きクラブも開講。色鉛筆やマーカー、絵の具など様々な画材を使いながら、自由な発想を大切にした創作活動に取り組むことができます。各コースでは無料体験も実施されているので、気になる方は公式サイトをチェックしてみてください。
公式サイトは>>こちら
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取材・文/やまさきけいこ
