【発達障害】3歳までは家庭では気づかないことも多い「グレーゾーン」。どう判断されるの?どこに相談したらいい?

発達障害の認知に伴い、近年「グレーゾーン」という言葉がよく使われるようになりました。診察した時は診断のレベルには満たないけど発達障害の傾向がある場合に使われる俗称で、診断名ではありません。このようなお子さんの中には幼い時は診断が下りなかったが、後になって診断が下りる場合も少なくありません。そんな「グレーゾーン」といわれるお子さんはどのようなお子さんなのでしょうか?なぜ見逃されてしまうのか?発達障害を持つ⼩学校1年⽣から⾼校3年⽣を対象とした放課後等デイサービスを運営している、藤原美保さんに教えていただきました。

3歳までは親よりも第三者の指摘がきっかけ。

3歳ごろまでは、保育園に通っている場合は保育士さんや保健師さんから指摘を受け、医療機関にかかり診断を受ける場合がほとんどです。この場合はほぼ発達障害と診断されます。

保護者が自ら気が付く場合は、自分の周囲に発達障害の人がいるなど、ある程度、発達障害についてわかっているか、もしくは子どもの障害の程度が中度以上の場合が多いです。

 幼いころは本人の個性なのか?それとも障害のゆえの特性なのか保護者はとても分かりづらいものです。1歳半検診などでポイントとされるのは「言葉の遅れ」や「目が合わない」などです。

検診時に特性が見られない時は、見逃されることも

しかし、この「言葉の遅れ」と「目が合わない」については、検診で見逃されてしまうこともあります。なぜなら、検診時に特性が見られない場合、保健師は保護者からの聞き取りから判断することになるからです。ですから、「普段は出来ている」と保護者が思っている場合は、見逃されてしまうことがあるのです。

 1歳半検診でチェックされるポイントは「言葉の遅れ」と「目が合わない」

言葉:欲求を一方的に伝える。相手が言った言葉を繰り返す

子どもが一方的に欲求を伝えるだけだったり、エコラリア(相手が言った言葉を繰り返す)でも「言葉が出ている」と多くの保護者は判断しがちです。

更に、こちら側からの簡単な質問に対して、話をすり替えたり、自分の言いたいことを話しだすなどする子がいますが、実は理解できていない場合があります。特に女の子は言葉が出ている子が多いので保護者は会話が成立していると思いがちなのです。

 目が合わない

目が合わないと保健師さんから言われた場合、保護者は「目を合わせられるのになぜだろう?」と疑問に思う方がいらっしゃいます。

実はこれは検査項目にある指差しの「応答(可逆)」のことです。

例えば、子どもが猫をみつけ、指をさして「ママ猫だよ!」と母親を見て、母親と「そうね、猫だね」と目を合わせる(共同注視)という一連の流れができているか、ということです。

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保護者が「うちの子発達障害?」と疑うきっかけとなる子どもの行動とは

保護者が、わが子の発達障害を疑い自ら医療機関へ行くきっかけとなるのは、以下のような、出先などで気づく親が困る子どもの行動です。

・母子分離ができない

・他の子どもが寄ってくると逃げる

・ほかの子と遊べない

・すぐどこかに行ってしまう(スーパーなどでどこかにいってしまう)

・感覚探求が激しい(ぐるぐる回る、手をひらひらさせる)

母子分離ができない子は不安が強いお子さんに多いです。他の子どもの動きや音などの外部の刺激に対し、不安や脅威を感じることがあります。逆に転導性の激しい子(気が散りやすい)は、すぐどこかに行ってしまうなど保護者が目を離せないなどがあげられます。感覚探求が繰り返される場合は保護者自身が見ていて不快なことが多く、医療機関に出向くため診断が早くつきやすいのですが、グレーゾーンの場合、特に幼いうちは周囲の大人が気がつきにくいのです。

ある程度理解力があるグレーゾーンの子は、「その場面の行動だけ」では判断できないことも

そして3歳以降になりだんだん対人面や社会性に特徴があらわれ、発達障害と診断をされることになるのですが、グレーゾーンの子の中には周囲のほかの子の行動をまねるため気が付かれない場合があります。つまり、グレーゾーンの子は模倣が上手い子が多いのです。

例えば「ごっこあそび」の中で一人がお店の人の役をやり、グレーゾーンの子がお客役でエビフライを頼んだとします。次に、グレーゾーンの子がお店の人をやる役柄に交代した時に、お客さん役の子にも「エビフライ」を強要して注文を決めてしまいます。

この場合、お客さんは「エビフライ」を注文するものだというパターンで記憶している、あるいは、相手がお店の⼈からお客さんに役が変わっても「メニューを決めるのはお客さん」ということが理解できていない場合このような場面が見られます

大人のとのやり取りだと、大人は「はいはい、エビフライなのね」と譲ってしまいますが、子ども同士だと遊びが成立しにくいのです。ただ、一緒に遊んでいる相手が消極的な子の場合、変だと思っていても言い出せないで遊びが成立してしまうことがあるので、どのように遊びが成り立っているかが観察ポイントの一つです。

特に保護者や大人と遊ぶ場合は、大人側が子どもに合わせて遊ぶことができるため一見遊びが成立しているように見えてしまいます。

おおよそ年中後半から年長ぐらいになると子ども同士役割を交代しながら遊べるようになりますが、発達障害の傾向のあるお子さんはこの役割の変更が上手くできない子がいます。

園でグレーゾーンが発覚する集団遊びの例

園の先生方もあまり気が付いていなかったのですが、年長のお子さんの中でこんなお子さんがいました。

 「じゃんけんに勝った子が負けた子を追いかけて捕まえる」という遊びの中での出来事です。グレーゾーンのB君はこのゲームではなかなか逃げ切ることが出来ず、捕まる事が多い子です。その日はA君とB君がペアを組みました。

じゃんけんをし、A君が勝ったので追いかける役のはずですが、A君は間違えて逃げてしまいました。本当ならB君は自分が負けたので、逃げなくてはいけないのですが、B君はA君を追いかけてしまいました。A君は途中で自分がじゃんけんに勝ったのは僕で、追いかけて捕まえる役だということに気が付き、自分の方に向かってきたB君を捕まえたところ、B君が怒り出したのです。

この場面を見た大人は「捕まったことに対して怒っているB君」と判断しますが、B君はルールを理解して行動しているのではなく、A君の行動を見て「追いかけた」ので、A君が「逃げないで追いかけてきたこと」に対して意味が解らず怒ったのです。

発達障害傾向のある子の中には、ターゲットになる対象の子(その子の真似をすれば間違わないであろうという子)がその場面ごとに存在し、そのターゲットの子を見て行動している場合があります。そのため周囲からは理解して行動しているように見えてしまうのです。

グレーゾーンの子の場合、その多くは、単純なルールは理解できます。

この事例の場合

・じゃんけんの勝ち負けはわかる。

・逃げる(追いかけられたら)のを追いかける(逃げる)事はわかる。

しかし、じゃんけんで勝った、負けたで判断して逃げる、追いかけるが決まるというルールは理解できていなかった、ということになります。日頃、このゲームでB君が捕まりやすいのは、、ターゲットである子の行動を見て逃げるか追いかけるかの判断をするため、タイムラグが生じ、逃げ遅れるからでしょう。

よく自閉症の子が突然パニックを起こす事は知られていますが、グレーゾーンの子の中には比較的、理解力も高い子が多い為、外ではそこまではっきりとしたパニックになりません。ですからこの場合も、保育者からは「捕まったから怒ってるんだ」もしくは「負けず嫌いだな」で片付けられてしまっていました。B君は、その後小学校に入ってから発達障害の診断がついたそうです。

このように、グレーのお子さんが周囲の人からみて気が付かれにくいのは、「その場面の行動だけ」ではわかりづらいからです。しっかり理解して行動しているのか、周囲の子を手掛かりに行動しているのかをよく観察する必要があるのです。

そして、発達障害は診断基準のひとつに「現在の症状が幼少時から現れていた」という項目があるため、幼い頃に見逃されていると診断に結びつかないケースもあります。

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グレーゾーンでは?という指摘を受けたり、感じたりしたら

 もし、グレーゾーンだと言われたり感じたりしたら、子どもが幼いうちは「母子通所」の利用をお勧めします。自治体によりますが、診断がなくても通える児童発達支援事業所や療育センターなど母子通所を行っているところがあります。

お子さんの行動の理解や支援につなげるためにも、幼いうちは預かり型ではなく一緒に通うことでお子さんの観察のポイントや対応の仕方を教えてもらえるところに通うことがお勧めです。

地方自治体に問い合わせてみてください。

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教えていただいたのは

藤原美保さん

健康運動指導士、介護福祉士、保育士。株式会社スプレンドーレ代表。

放課後等デイサービスLuceを運営。発達障害の女の子のサポートを行っており、性教育に力を入れている。著書に『発達障害の女の子のお母さんが、早めにしっておきたい47のルール』(エッセンシャル出版)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること』(PHP研究所)がある。

イラスト/海谷泰水

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