【発達障害の子供のコロナウィルス対策】手洗い練習スタンプはおすすめ。マスクをイヤがるなら「匂い」「肌ざわり」が原因かも

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いよいよ7都道府県に緊急事態が発令される運びとなりました。コロナウィルスの感染の広がり方は、飛沫感染と接触感染といわれています。発達障害のお子さんは、もし、感染した場合、慣れない環境での入院や隔離が難しいケースが多く考えられますので、一層の感染予防が必要です。発達障害を持つ⼩学校1年⽣から⾼校3年⽣を対象とした放課後等デイサービス「Luce(ルーチェ)」を運営している、藤原美保さんに、予防への対策や留意点を教えていただきました。

手洗いをルーティン化する工夫におすすめ!手洗い補助ツール『手洗いスタンプ おててポン』

発達障害のお子さんが感染した場合、どうしても発達障害ならではの問題が出てきます。例えば入院や隔離の場合、発達障害のお子さんは安心できる家や家族から隔離される(特に母親から離される)場合、心理面でも大きな打撃を受ける事になります。暴れて治療に支障が出る場合は、薬で落ち着かせ治療にあたるほか今の時点では難しいでしょう。

ですから、感染予防には一層、力を注ぐ必要があります。

私が運営する「Luce」では、日ごろから「身だしなみ」教育の一環としてお子さん達に来所の時にはハンカチとティッシュを持参していただくように保護者様にお願いしています。そして来所時には必ず手洗いを行ってもらっています。

 無意識に指を口や鼻に入れることが多いことを念頭に、手洗いの習慣をルーティン化

発達障害のお子さんの中には無意識に指を口や鼻の穴に入れる子が多く、その手で様々なものを触ってしまいます。ですから手洗いはとても重要です。

発達障害のお子さんの中には手洗いの重要性を理解できない場合もありますが、理解はしているけど行動に結びつける事が難しい場合があります。
特に実行機能障害(計画を立てたり、終わりを見つけるなど)、や中枢統合(スルーすべきこととすべきでない事がわからない)に問題がある場合は(中にはお薬で助けられる子もいますが)単なる「手洗い」を教えるだけでは上手く行かない事があります。

手を洗う事を嫌がるお子さんの場合、「アルコール消毒」で対応する方法もありますが、今はなかなか手に入らない状況です。

自分も周囲にもコロナウィルスに感染しない、させない為にはやはり手洗いを教える必要があります。

まず、手洗いのタイミングを教えましょう!

 

➀外から室内に入るとき

②トイレのあと

③動物や虫を触ったあと

④飲食前

⑤食べ物を触る前

⑥咳やくしゃみをして手で押さえたあと

 『手洗い練習スタンプ おててポン』をルールを決めて活用

絵本を活用するのも一つですが、低学年くらいまでのお子さんに手洗いを教えるときにシャチハタの『手洗い練習スタンプ おててポン』を使うことがあります。

発達障害のお子さんが、手洗いの時に何度もソープのポンプを押して泡で遊んでしまうことをよく聞きます。手にスタンプを押してそれが消えるまで手を洗う補助ツール『手洗い練習スタンプ おててポン』は、スタンプが消える事で「終わり」がわかるので行動が切り替えられない、視覚的に優位な発達障害のお子さんにも使えます。

 

インキは、安全性に配慮した食用色素を使用。約1000回スタンプ可能

しかし、次のように子どもの注意が「スタンプ」に向く場合、手を洗う前にルールが必要になります。

・自分でスタンプを何度も押したがる

・上手く押せなかった場合(スタンプが欠けた、ゆがんだ)パニックを起こす

<スタンプがゆがんだり、欠けたりとうまく押せなかった場合>には、あらかじめ、「もう一度スタンプを押せるが、失敗したら、スタンプは返す」というルールを決めておきましょう。

この場合はスタンプに注意が向く子へのほんの一例ですが、その子に合わせ内容を入れ替える必要があります。そして次の行動を示してあげる事で見通しが立てられ安心することが出来ます。


実行機能に問題ある子にはチャートにすることで、手順を組み立て順序を知り、計画の変化への対応を促すことが出来ます。視覚的にも系統たてる事が解りやすくなります。注意の問題は軽度重度関係無くあります。手を洗う習慣を身に着ける為には個々にあわせた工夫をしながら対応してください。

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咳エチケットに必須な「マスク」。嫌がるのは理由がある場合も

 マスクを嫌がる子の中には肌触りやマスクの匂いが原因になっている事もあります。

肌触りは一般の方々にも理解できる方は多いと思いますが、「匂い」は気が付かない方もいるようです。

匂いがイヤという子には、対策を施した「布マスク」を

発達障害のお子さんの中には感覚統合不全があり、嗅覚に問題がある場合があります。

お子さんによっては次の日の朝までマスクの匂いが取れない。そして、翌朝になると匂いのことを思い出してできない、というお子さんがいます。

マスクを嫌がるお子さんには、洗える布マスクの方がおすすめです。

お子さんの好きなアロマなど自然の匂いをスプレーして使うのも対策の一つです。

お子さんの好きなキャラクターなどの布で作ってあげるのも、マスクをする動機付けが上がるかもしれません。

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どうしてもマスクに慣れない場合は、今の時期、集団に入ることの危険性を鑑み、極力外出を控えなければなりません。

 自分のペースで過ごせることに安心感が生まれている子も

コロナウィルスの影響で都市部では学校が引き続き休校になり、さぞかし保護者は大変だろうと思っていました。報道では食事の世話が大変だとか、子どもが家にいてうるさいなど一般家庭の大変さが紹介されていますが、発達障害のお子さんのいるご家庭では、自分で衛生管理出来る子は少ない為、この時期学校に行かせると余計に不安だという声の方が多く聞かれます。

もともと発達障害の子の多くは学校や集団での行動が「得意ではない子」です。

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この時期、「学校に行かない事についてわざわざ理由を考えなくていい」「誰にも何も言われない」ということで、逆に安心につながっている子も少なくありません。

保護者の方からも、「学校へ行かせられない事に対して後ろめたさを感じなくていい」「子どもに勉強や宿題(毎日の課題)を無理やりやらせなくてもいいのでストレスが減った」等の声の方が多く聞かれるのです。

学校へ行かせることの方が負担が大きいと思っている発達障害のお子さんをお持ちの保護者の方は少なくないようです。

ただ、コロナウィルスとの戦いは長期戦になります。発達障害のお子さんに何かを「やらせる」ことはとても疲れます。自分の健康と安全を守るためにどうしても必要な事にフォーカスし、長期戦に備え疲れすぎないように自ら選択することが必要です。

教えていただいたのは

藤原美保|健康運動指導士、介護福祉士、保育士 株式会社スプレンドーレ代表

発達障害のお子さんの運動指導の担当をきっかけに、彼らの身体使いの不器用さを目の当たりにし、何か手助けができないかと、感覚統合やコーディネーショントレーニングを学ぶ。その後、親の会から姿勢矯正指導を依頼され、定期的にクラスを開催。周囲の助けを受け、放課後等デイサービス施設「ルーチェ」を愛知県名古屋市に立ち上げ現在に至る。著書に『発達障害の女の子のお母さんが、早めにしっておきたい47のルール』(健康ジャーナル社)『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること』(PHP研究所)がある。

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