【発達障害を知る本】発達障害の子どものサポートから、大人の発達障害について書かれた本まで

発達障害のお子さんの保護者の方向けに、また、近年、増加中の「大人の発達障害」について、発達障害を持つ⼩学校1年⽣から⾼校3年⽣を対象とした放課後等デイサービスを運営している、藤原美保さんに、発達障害への理解を深め、対処を考えるための「おすすめ本」を教えていただきました。今日からの子育てに、将来の見通しに参考にしてください。

発達障害と一口に言っても成長の仕方でそれぞれ違います

発達障害とは、生まれつきの脳の機能障害であり、はっきりとした知的な遅れはないものの、発達のかたよりや変わった特性があります。それを非定型発達といいます。非定型発達があると、コミュニケーションの障害や、行為機能(表出行動)の障害、認知機能の偏りやゆがみがあらわれやすくなります。その結果、いわゆる「気になる行動」や「困った行動」が増えてしまいます。

発達障害と一口に言っても成長の仕方もそれぞれ違うため、実はこれが「典型的な発達障害の子ども」という見本的なものはありません。

・典型的に発達する「部分」

・典型的よりゆっくり発達する「部分」

・典型的より早く発達する「部分」

・発達しない「部分」

が混在しており、それぞれの部分についても「ある」「ない」があり、「ある」部分についても程度も割合も違い、感覚もその中に含まれ過敏さや鈍麻さ等も持ち合わせています。そのため周囲の環境を誤って認知したり、偏った情報の取り方をしたりと様々な影響があるのです。

つまり発達障害とは典型的な発達のグラデーションがあるとすると、そのグラデーションが様々でばらつきがある一人一人違った「子ども」だということなのです。

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発達障害の子どもたちをサポートする本

「わが子が発達障害と診断されたら」

佐々木正美  (), 諏訪利明 (), 日戸由刈 ()   すばる舎

我が子が発達障害と診断されたときにまず読んで頂きたい1冊です。

どんなに善意からでも、愛情からでも障害を「修正しよう」「治してやろう」と思っている間は子どもは伸びない。と言う筆者の言葉はその通りだと思います。

 

「発達障害の女の子お母さんが早めに知っておきたい47のルール」

藤原美保(著)エッセンシャル出版

発達障害の中でも女の子は少ないためどうしても男の子の内容が多いですが、幼い頃から家庭で身に着けたい内容が具体的に書かれています。それを教える事が将来どんな事に繋がっていくのか?習慣づける事の大切さなど発達障害児の女の子を支援するための内容です。

 

当事者である子どもに「発達障害」をどう伝えるか

「自閉症・アスペルガー症候群「自分のこと」のおしえ方診断説明・告知マニュアル」

吉田友子(著) 学研プラス

子どもに発達障害を告知する時周囲の大人はどう伝えたらよいのか迷います。実は家族や本人へ障害告知をする場合には、ドクターや専門家でもどう伝えるのが良いか迷うのです。自分の特性をプラスにも捉えられるように解りやすく伝えるための手順が書かれています。

大人の発達障害は、子どもの頃に見逃されてしまったケースも

最近よく聞かれる「大人の発達障害」ですが、大人になってから発達障害になったのではなく、発達障害の子どもが成長し、大人になったということです。

 その中には子どもの頃から発達障害傾向があったものの(グレーゾーン)見逃されてきてしまったケースもあります。幼いうちは家族や周囲のフォローで何とか補えていたことが仕事となると自分だけで判断しなくてはならない責任が伴うことなども多くあり、様々な壁にぶつかります。

 例えば社会人としての高いコミュニケーションスキルやマルチタスクは当然のように求められるため、自分の苦手さに直面させられる機会が増え、自己肯定感が下がり鬱や不安障害になるなど二次障害として精神疾患を発症し、受診したとろころ発達障害が根底にあったという場合も少なくありません。

 それでも本人が自ら気づく事で診断に至る場合には前向きに治療に取り組むことが出来、社会復帰できる人も多いのですが、発達障害を認めない場合は時間が必要になります。

大人になってから自身の発達障害と向き合うのは勇気がいることを理解して

ある程度人格形成が出来てしまった大人が発達障害の診断を病院でとる事は、自分の苦手さに向き合うことになるため、ある意味勇気がいる事だということを周囲は理解する必要があります。

 更にはそれまでの本人の成育歴の中で障害に対してマイナスなイメージを定着させている場合は自己受容が難しくなり、家族や周囲の人間もつらい思いをする事が少なくありません。

 周囲の人間は受診してほしいと思っていても、極力避けて頂きたいのは拒否する本人を騙して受診させることです。

家族や医療機関に対して不信感を抱かせてしまうと薬を使う事を拒否したり、症状が悪化したり、引きこもってしまうなど、孤立させてしまう事になりかねません。

 診断から薬等を使う事で生活が楽になる事もあるので、できるだけ本人が治療に前向きに取り組める形が望ましいです。自己受容は生きづらさを解消する第一歩だと考えられるような支援が必要となります。

受診へのハードルを下げるために本を活用して

本人に気づいてもらうために直接伝え説得するのも必要ではありますが、自己理解が難しい場合には第三者をはさんだりすることも必要な場合がありますが、子どもと違い支援機関もなかなか見つからない場合があります。そういった時は、本を読んでもらい、受診へのハードルを下げ検査を促すのも一つの方法です。

大人の発達障害を知る本

「あたし研究」

小道モコ (著) クリエイツかもがわ

イラストも線が多すぎず、色使いも優しいタッチで非常に読みやすいです。読んでいて一般の方でも「あ~あるある」と思わず頷いてしまう発達障害のあんなことこんなことが描かれていて、発達障害に対する抵抗感を和らげてくれる1冊です。

「大人の発達障害サポートブック」

小野 和哉 () ナツメ社

日常生活の困りごとの対応策などが具体的に書かれています。定型発達の人には社会で生活していく上での暗黙のルールが発達障害の人には分からないのです。

イラストも入り、サラッと読める1冊です。発達障害の人がおこしやすいトラブルが書かれ、自分と重ね合わせる事で自己受容が進むかもしれません。

 

「ちょっとしたことで上手く行く発達障害の人が上手に働くための本」

 對馬 陽一郎() 翔泳社

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大人の発達障害の人にありがちな職場での対応を考える指標になる1冊です。自分の困り感を仕事で補うために使えるツールなども多く書かれています。メモを取る時のフォーマットや電子機器、アプリなどおそらく一般のビジネスマンだったら普通に使っているwebツールですが、「どうゆう困り感にどんなツールをどのように使うとこんなことを補えますよ」という具体的なアイデアが書かれています。

本人が苦労している部分を解説した本を示すことで受診のきっかけを

ここで紹介した以外にも、最近は発達障害について、わかりやすい本が色々出版されています。仕事や職場の困りごと等についての書籍も出ています。イラストも入診断を受けた場合に職場など周囲の人に理解してもらうためにも利用できると思います。時間はかかるかもしれませんが、本人が苦労している部分を提示してあげる事で受診につなげられる事もあります。

 

教えていただいたのは

藤原美保さん

健康運動指導士、介護福祉士、保育士。株式会社スプレンドーレ代表。

放課後等デイサービスLuceを運営。発達障害の女の子のサポートを行っており、性教育に力を入れている。著書に『発達障害の女の子のお母さんが、早めにしっておきたい47のルール』(エッセンシャル出版)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること』(PHP研究所)がある。

5月より、YouTubeで「子どもの対応おたすけチャンネルMamma mia」を主宰。

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