【話題のドラマ「私の家政夫ナギサさん」】「理想の結婚相手は、今の自分の生活を1ミリも変えなくていい人」。

多部未華子さんが製薬会社の営業(MR)・メイを演じる人気ドラマ「私の家政夫ナギサさん」(TBS)。メイは仕事ができるしっかり者ですが、家事は壊滅的にできません。その生活をおじさん家政夫のナギサ(大森南朋)がサポートするという、これまでになかったギャップのある男女関係と、とびきりキュートだけれど親近感の持てるメイのキャラクターが魅力的です。

疑似家族のようなメイと“おじさん家政夫”ナギサの関係にほっこり

ライバル会社と競いながら病院の医師相手に薬品の営業をする、それが製薬会社のMR(医薬情報担当者)。日々、ハードに働いているメイは、28歳になり、婚活に熱心な同僚・薫(高橋メアリージュン)の影響もあって、結婚を意識しだします。しかし、一人暮らしのマンションの部屋を片付けられず生活はメチャクチャだったところに、妹が派遣してくれた家政夫のナギサ(大森南朋)が現われ、家事を代行してもらうことに。ナギサはメイの部屋(広めの1LDK)で掃除をしたり夕食を作ったりしつつ、仕事や恋愛の相談にも乗る。「私はお母さんになりたかったんです」と言うナギサさんですが、まさに母親のようにメイを見守りサポートし、疑似家族のようになっていくメイとナギサさんの関係にほっこりします。

視聴者の共感を呼んでいるのは、なんと言っても主人公メイのキャラクターです。仕事では勉強熱心な努力家なのに、料理も掃除もできない致命的な家事オンチ。かわいらしい外見でファッションセンスもあるけれど、男ウケはあまり考えず、若い男の後輩にはもろに怖い顔も見せる。弱点や欠点もあるところが最大の魅力ではないでしょうか。ドラマでは正しすぎる主人公にはなかなか親近感を抱けないものですが、メイは「私はできる女なんだから!」と思い込んだ直後に、家事を少しやっただけで部屋をめちゃくちゃにしてしまい、ダウンして「人間ってしんどい…」と弱音を吐きます。仕事や育児などに追われて家事がめんどくさい女性視聴者にとっては、そんなところが共感MAXなのです。

外で働く女性をサポートしてくれるナギサは理想の結婚相手!?

一方、ナギサは50歳で老眼鏡を使い、髪には白いものも交じる、まごうことなき“おじさん”。その外見から抱くイメージに反し、掃除も料理もパーフェクトで、メイの「ジャンクだけれどヘルシーなものが食べたい」という無茶ぶりなリクエストにも200kcalのメニューで応えるなど、かなりのハイレベル。最初は不信感を抱いていたメイもすっかりナギサを頼りにするようになります。さらにナギサは「差し出がましいようですが…」と言いながらも、メイの家族の問題にも介入。娘への期待が強すぎる母(草刈民代)とも打ち解け、父親(光石研)の還暦祝いのホームパーティーで、母と3年間会っていなかった妹の唯(趣里)を和解させました。もはや家政夫の域を超え、まるで夫の家で姑と同居している“よくできた”嫁のようです。

そう、男女が逆ならば、これはよくあるパターン。料理上手で相手の健康面もケアし、清潔な部屋とふわふわに仕上げた洗濯物で相手のクオリティ・オブ・ライフを向上させてあげられるナギサは、残業続きのメイにとって“理想の嫁”だと言えるでしょう。メイはもともと恋愛に夢を抱くタイプではないらしく、会社の飲み会で「結婚相手に求めることは?」と質問されたときも、「見た目、性格、ステータス」などの条件を聞かれたのに「今の自分の生活を1ミリも変えなくていい人!」と答えます。

その条件なら、家事をやってくれるナギサは「理想の結婚相手」と言えるのかもしれません。ナギサには謎めいたところもありましたが、元会社員で結婚はしてないとだんだんプロフィールがわかってきて、第5話で初めて、前職はメイと同じ製薬会社のMRということが判明しました。どうりでメイにする仕事面でのアドバイスも的確だったわけですね。家事をやってくれて、仕事のこともよく理解してくれる。これはますます結婚相手としてのナギサのポイントがアップしています。

ドラマ後半は波乱の恋模様に。メイが選ぶのはナギサか田所か?

8/11(火)放送の第6話以降は、ラブコメの本領発揮。波乱の恋模様が展開しそうです。メイがナギサを男性として意識しだし、なんとナギサを尾行。そして、ナギサの過去に関わる美女の存在を知ってしまいます。ラブコメにありがちな、嫉妬が恋心に火を付けるパターンに!? これまでも部屋で転びそうになったメイをナギサが抱きとめたり、2人きりなのにお互いの耳に手を当ててヒソヒソ話をしたりと、恋人っぽい場面はありましたが、本当にメイは親ほど年齢の離れたナギサと付き合うことになるのか? 既に原作コミックを読んでいる人には想像がつきますが、ドラマ独自の存在として、メイを女性としてかなり意識しているライバル会社の営業・田所(瀬戸康史)がいるので、田所ルートも考えられます。しかし、どうやら田所は、仕事はできるが家事はできないメイと同じ片付けられない系男子のよう。年齢はメイと同じくらいでバランスが良いけれど、結婚したら部屋の中はえらいことになってしまいそうです。

 

男女の役割が逆になった画期的な恋愛ドラマということでも注目されている本作。果たしてどんな結末になるのか? 今後も注目です。

 

『私の家政夫ナギサさん』 TBS系列 火曜夜10時から放送

 

文/小田慶子

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