子育ては日々悩みの連続ですね。保育者歴47年、常に子どもに寄り添い、ママたちからの信頼も厚い自主幼稚園「りんごの木」の柴田愛子さんが、豊富な経験を元に、悩めるお母さんにアドバイス。
子どもを厳しく叱れないなら付き合えない、と言われてしまいました
息子はやんちゃタイプ。私は、できるだけのびのび育てたい派で、子どもはさまざまなトラブルを通して成長していくと考えています。息子が2歳半のとき、下の子が生まれました。でも下の子が生まれてから、友だちに手を出すことが多くなってしまって…。先日、息子がママ友のAさんの赤ちゃんのお腹を叩いたことがあったのですが、私から見ると軽く叩いた感じだったので「お腹は大事だから、叩いちゃダメよ」と優しく注意したのですが、Aさんは怒り心頭。うちの息子のことを叩いて怒りました。Aさんには以前も、子ども同士のトラブルで「〇〇さん(私のこと)が怒らないなら、私が叱るから!」と言われたことがあります。Aさんには「子どもを厳しく叱れないなら、もう付き合えない」とも言われ、結局、Aさんとは疎遠になってしまって…。私のしつけが甘いのでしょうか。(3歳の男の子のママ)
3歳なら、ちょっとしたことで手を出したりするのは当たり前。考え方の違うママとは距離をとっておきましょう。
手を出すタイプの子ほど、否定せずに共感してあげて
2歳や3歳では、ちょっとしたことで手を出したりするのが当たり前です。友だちに手を出すことが多くなったのは、下の子のせいばかりではないと思います。自分の意志が強くなった、いわゆるイヤイヤ期のせいではないでしょうか? 意志は強くなったけれど、言葉で伝えられるほどの言語力がないからです。
「りんごの木」にも、あなたと同じような悩みを抱えて入ってきた親がたくさんいます。私は、わんぱくで、すぐ手を出すタイプの子ほど、何かあったときは否定せずに共感してあげるようにしています。「僕の気持ちをわかってくれる」と思うと、だんだん友だちに手を出さなくなります。しまいには、友だちのためにガマンできるようにもなります。
子育ての考え方は十人十色。考え方が違う親とは距離をとるのが無難です
お母さんは「私のしつけが甘いのでしょうか」と悩んでいますが、けして甘いとは思いません。子ども同士のトラブルを避けるために親が先手を打ってばかりいると、コミュニケーションの力が育たなくなります。
しかし、子育ての考え方は十人十色。わんぱくな子と、いつもやられてしまう子の親では考え方が違って当然。話し合っても平行線でしょうから、考え方が違う親とはなるべく距離をとりしょう。
幼稚園などに入園するときは、今、保育機関は「幼稚園」「こども園」「保育園」「自主保育」「森のようちえん」などがあり多様化しています。ひと口に、幼稚園や保育園といってもそれぞれ個性があるので、親子ともにのびのびできるところを探してください。
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教えてくれたのは
保育者。自主幼稚園「りんごの木」代表。子供の気持ち、保護者の気持ちによりそう保育をつづけて半世紀。小学生ママ向けの講演も人気を博している。ロングセラー絵本『けんかのきもち』(ポプラ社)、『こどものみかた』(福音館書店)、『あなたが自分らしく生きれば、子どもは幸せに育ちます』(小学館)など、多数。親向けの最新刊に『保育歴50年!愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)がある。
イラスト/海谷泰水