オーガニックな食生活は難しくない!バタバタ育児ファミリーにこそ取り入れてほしいワケ

「オーガニック食材=スローライフ=ていねいな暮らし=共働き育児世帯にはムリ!
そんな先入観を持っていませんか?  実は、オーガニック食材を取り入れた暮らしは、共働きの育児世帯にこそ、オススメのライフスタイルなのです。

オーガニックを取り入れた食生活の大切さ、メリット、実践方法などを、東京・渋谷に存在した伝説のオーガニックカフェレストラン『daylight kitchen』のオーナーで、現在はオーガニック社員食堂のプロデュース・運営、在り方ライフデザインweb magazine『arila!』などを手掛ける、塚本サイコさんにお話を伺いました。

いまさら聞けない、オーガニック食材ってなに?

塚本サイコさん

(以下、塚本さん談話)

オーガニック食材とは、「自然由来のもの、ナチュラルな製法で作られたもの」と、広い意味で捉えています。

私がオーガニックということを意識するようになったのは、ヘルシー&ナチュラルをテーマに薬膳スイーツのお店を運営しているときでした。体をより自然に近づけることが「健康」への近道だと考え、そのためには、素材そのものがどのように育ったものなのか、その背景を知る必要がありました。そして、まずは有機栽培の野菜を使うことから始めました。

日本の場合、スーパーなどで売られている「オーガニック(有機)野菜」と商品名に明記されているものは、「有機JAS認定」を受けなければなりません。けれども、それだけがオーガニック食材というわけではないのです。

有機JAS規格を取っていなくても、自然の摂理に沿ったやり方で食材を育てている農家さんはたくさんいます。認定マークは一つの目安にはなりますが、それだけにとらわれることなく、食材の背景にあるストーリーがわかるもの、つまり農家さんたちの思いが込められたものこそ、オーガニックな食材だと私は考えています。

有機栽培/化学肥料や農薬を使用せず、米ぬかや畜糞など自然由来の肥料で土を豊かにする栽培方法。そもそも、organicには「有機体の」という意味があります。

どうして、オーガニックな食生活が子育て世帯にオススメなのですか?

私自身、子どもを産んだことで、食に対する意識が大きく変わり、素材に向き合うきっかけとなりました。純粋に「生まれたての人には、生まれたての自然なものを食べてほしい」と思ったのです。

そこでまず、毎日の食生活の基礎となる「米・味噌・しょう油・塩」を変えました。できるだけ、伝統的でナチュラルな製法で作られたもの、国産の原料、添加物などが入っていないシンプルなものを選ぶようにしました。

結局のところ、自然なもの、オーガニックなものは「おいしい」のです。そのおいしさを子どもは理屈でなく「知って」います。

娘は今、13歳で思春期を迎えました。コンビニやファミレスへ行きジャンクフードも食べますが、すぐに飽きるようです。生まれたときから、自然由来のものを食べているので、一時期、横道に逸れても自分のルーツが呼び覚まされるのではないでしょうか。

そんな娘を見るにつけ、オーガニックな食生活を続けてきてよかったなと実感してしまうので、子育て世代の皆様にこそオススメしたいと思っています。

子育て世代こそ享受したい、オーガニック食材のメリットはなんですか?

まず、先ほどお話しした、基本となる「米・味噌・しょう油・塩」をオーガニックなもの(シンプルな素材で自然に近い製造工程のもの)に変えると、もう、それだけでおいしいご馳走になってしまいます。なので、あれこれと時間や手間のかかる料理をしなくてもOKということ。最高の時短です(笑)。

そして、オーガニック野菜は、丸ごといただけるという利点があります。皮もいただけるし、栄養価も高く、私はアクも抜きません。

確かに、値段は少し高くなりますが、トータル的な長い目で見ると、コストパフォーマンスもいいのです。素材そのものがシンプルな味付けでもおいしいので、余計な調味料などは不必要になりますし、食事の支度にかける時間が節約でき、家族が健康になれば医療費もかからなくなるからです。さらに、地場産のものなら新鮮さが長続きするので、食材のロスを出すことが少なくなります。

何より私の場合は、子どもがそのおいしさを素直に受け取ってくれたので、子どものおすそ分けをもらって、自分自身の味覚を取り戻すことができたのが、大きなメリットになりました。

オーガニック食材を選ぶときのポイント、購入方法、継続させる秘訣などを教えてください

できるだけ、地元や近くで作られたものを選ぶと良いでしょう。都心に暮らしている方の場合は、インターネットなどで検索をして、農家さんから直接購入をするのもオススメです。オーガニックということや生産者さんとのつながりにこだわっている宅配事業のお試しボックスを取り寄せるのも一手です。

大切なのは、無理をしないこと。週に1回でもいいから、日々のサイクルにオーガニックを取り入れてみるなど、少しずつ始めてみてください。「こうあるべき」「こうしなければならない」など難しく考えずに、楽しみながらオーガニックを日常に織り交ぜていくことができるかがポイントです。

オーガニックな食材を取り入れ始めると、自ずとやめられなくなってしまうので、いつの間にか、オーガニックな食生活が“当たり前のこと”になっているはずです。

 お話を伺ったのは…

塚本サイコさん

株式会社el&s/elemental life and society 代表。東京生まれ。国立音楽大学を卒業。音楽活動と並行し1998年、ホームメイドの香港スイーツカフェ「DESSERT COMPANY」を表参道に、その他スイーツ物販で多くの店舗を展開したのち、2006年、教育機関での食の活動にシフト、飲食店のプロデュースなどを行う。出産を経て2010年、オーガニックカフェレストラン「daylight kitchen」を開業。現在は、神奈川県相模原市旧藤野町の陣馬山中に拠点を移し、手つかずの自然の中で洞察と思考を凝らし、arila!やハタサロの運用を行っている。共著に「カフェをはじめたくなる本、カフェをやめたくなる本」(ギャップ出版)がある。
https://riceball.network/arila/

構成・文/神﨑典子 写真提供/塚本サイコ

子どもの食を考えよう!

編集部おすすめ

関連記事