米倉涼子、松本穂香が『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で共演!心を打たれた国際霊柩送還士の仕事とは?

米倉涼子主演のAmazon Originalドラマ『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』が、3月17日(金)よりPrime Videoで世界同時に独占配信されます。本作で国際霊柩送還士という難役に挑んだ米倉さんと、共演の松本穂香さんにインタビュー。

  • 国際霊柩送還士役に大門未知子役の経験が活かされた!

  • 「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」はPrime Videoで独占配信中

    国際霊柩送還士とは、海外で亡くなった人の遺体を国境を越えて遺族に送り届けるスペシャリストのこと。原作は佐々涼子の同名ノンフィクション小説で、脚本は「コンフィデンスマン JP」シリーズや、大河ドラマ「どうする家康」などの古沢良太と、「ドクターX ~外科医・大門未知子~」シリーズなどの香坂隆史が担当しましたが、1話目から琴線と涙腺を刺激される重厚な人間ドラマが展開されます。

    本作で米倉さんは、男まさりで情に厚い主人公・伊沢那美役を、松本さんは那美が社長を務めるエンジェルハース社の新人社員・高木凛子役を熱演。国際霊柩送還士という聞き慣れない職業の舞台裏を描く本作は、衝撃的なのに繊細かつ感動的で、演じた米倉さんや松本さんも、熱い想いを胸に、自身の役と向き合ったようです。

――本作のオファーを受けた際に、どんな点に惹かれましたか?

撮影/五十嵐美弥

米倉「私はもともと原作ものや本当にあった話を描く作品に惹かれます。今回は、たまたま以前に原作を読んでいましたが、その時に衝撃的なお話だなと思いつつ、過酷な状況に立ち向かっている勇気のある女性がいるんだなと感心したのを憶えています。

なぜ亡くなったのか?どういう事故や災難だったのか?いわば国際霊柩送還士は、普通ではない死と向き合うことが多い職業で、なかなか自分からやろうと手を挙げられないような仕事です。また、人から『すごいね』と口に出して言われるような職業でもなさそうに思えますが、私自身はその何百倍もすばらしい仕事だなと思いました」

松本「私はこの国際霊柩送還士という職業を知らなくて、まったく未知の領域でした。今までお医者さんの役を演じたことはありましたが、今作のように死と向き合うような役はなかったので、私の経験にはない物語だなというのが第一印象でした」

――国際霊柩送還士役には、どんなふうにアプローチをしていったのですか?

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』はPrime Videoで独占配信中

米倉「実際に腐敗したご遺体と向き合ったら、普通ならどうしていいのか分からないと思うのですが、実在するモデルの方にお話を聞いたり、海外の症例やご遺体の写真を見せてもらったりして、国際霊柩送還士のお仕事を学んでいきました。私はたまたまお医者さんの役を長く演じてきたので、そういったことに免疫がある方だと思います。今はもうクローズされましたが、昔は、役作りのためにリアルな映像を見ることができましたし、いろんな症例も見てきたので、意外と平気です。私は体というか、生命体そのものに興味があるので」

――外科医・大門未知子役の経験が活かされたということですね。

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』はPrime Videoで独占配信中

米倉「そうかもしれないです。この前、知り合いの医者がニューヨークで、たまたま急に肝臓移植手術をやることになり、なかなか症例がないということで伺ってきました。素人なりに、見ていていろんなことを思いましたが、とにかくきれいなオペでした。ただ、国際霊柩送還士の場合は、どんなに傷ついたご遺体が搬送されて来るのかもわからないし、心の中でいろんな覚悟をしなきゃいけないと思いました」

  • 米倉涼子と松本穂香が演じる社長と社員の掛け合いに注目

――那美がご遺体をとても大切に扱っていて「ものじゃないんだよ。ご遺体は」という台詞も心に刺さりました。実際に役を通して、国際霊柩送還士役を疑似体験されてみて、どんなことを感じましたか?

松本「劇中では、突然の死が描かれるので、ご遺族は何の心構えもないまま、そしていろんな後悔を残したまま、お別れをしていくことが多いのですが、それって現実でもたくさん起こっていることなのかなと。だから自分も家族がいる中で、後悔のないように接したいと思ったし、すごく当たり前のことですが、日々を大事に生きなければとも思いました。死から学ぶことはとても多かったです」

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』はPrime Videoで独占配信中

米倉「そうですね。生きることの大切さもそうですが、国際霊柩送還士の役を通して、自分が今やっているお仕事や向き合っていること対して誇りを持ち、いかにして悔いのないようにやり遂げるかということも考えました。やはり、人に喜ばれたり、感謝されたりすることが、生きる意味になるので。そして、第1話で『自分の居場所なんてどこにもないんだ』という台詞が出てきますが、そうやって一生懸命に生きて、世間から認めてもらうことで、やっと存在意義が生まれていくのかなと思ったりもしました」

――那美と凛子は社長と新入社員という関係性ですが、おふたりで演じてみていかがでしたか?

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』はPrime Videoで独占配信中

米倉「チグハグしている感じがちょうど良かったです(笑)。凛子はほわっとしていて、あまり自己主張をしなさそうだけど、言う時は言うんだなという印象でした」

松本「凛子はだんだん反抗していきますよね。遠藤憲一さん演じる会長に対しても『それはセクハラです』とかちゃんと言えるし、自己主張があるところとないところがあるのも若者ならではかなと。私たち世代もそうですが、存在意義の主張をするというか、そういう2人の掛け合いや化学反応が面白く見えるのかなと思いました」

――確かに凛子が那美に対して強気に出るところが面白かったです。

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』はPrime Videoで独占配信中

松本「たぶん凛子が今まで生きてきた中で、社長のように熱量が高くて、何事に対しても一生懸命な人とふれ合うことがなかったから、きっと社長からとても影響を受けたんじゃないかなと思います」

――では、女優として、松本さんは米倉さんからどんな影響を受けましたか?

米倉「やめてもらっていいですか(笑)」

撮影/五十嵐美弥

松本「私は後輩なので、面と向かっては言いづらい感じですが(苦笑)。こういう役と台本というものがあったとして、そこにちゃんと自分の色が出せる米倉さんは、さすがだなと思いました。米倉さんの前だから偉そうに聞こえるかもしれませんが、すごく説得力があります」

米倉「いやいや。恥ずかしいです。怖い!ドキドキします(笑)」

――国際霊柩送還士という特殊な役柄ですが、やったことのない職業を演じる上で心がけていることがあれば聞かせてください。

撮影/五十嵐美弥

米倉「今回に関しては、台本がすごくしっかり書かれているので、あまり作りこむ必要がなかったのですが、エンバーミング(遺体保存技術)というか、ご遺体にお化粧をしたり、傷があったら可能な限り修復したりと、一連の準備をするシーンでは、いかにしてプロフェッショナルらしく流れるようにやれるかということに注力しました。だから練習などが必要なことに関しては、一生懸命やります。これって、本当にその職業に従事している人なの!?と見てくださる方に思われてしまうようではダメかなと。とはいえ、プロじゃないので、なるべく違和感を与えないようにするというか、そこまでのレベルに持っていくのが私たちの仕事だと思っています」

――松本さんはいかがですか?

松本「凛子役に関しては、国際霊柩送還士の新人ということもあり、ご遺体の修復みたいな作業シーンまではやっていなくて。体の水分を拭き取ったり、お化粧をしたりするシーンはあったので、お話を伺いに行きました。凛子の内面に関しては想像するしかなくて、台本からいろんなことを読み取ろうとしました」

  • ご遺体を通して残された家族の物語も描かれる

  • 撮影/五十嵐美弥

――このドラマでは、ご遺体を通して、残された人たちの物語も描かれますが、どんなことを意識されましたか?

米倉「人によって故人との思い出の深さや絆、その死の乗り越え方、もっと言えば死との向き合い方や取り組み方は、全部違うと思います。1話では、訳あって絶縁していた親子が出てきますが、故人と遺族が最後のお別れをするときにやっぱり帰ってきてくれてありがとうと思ってもらえるためには、彼女たちの力が必要だったのかなと。亡くなった方が生まれてきた証を、ご遺族に残してあげることは、すごく大切だなと思いました。きっと国際霊柩送還士のみんなも、そこをすごく大切にしていて、仕事として誇りを持ってやっています。そういう意味では、死を扱っているけど、死が生になるというか、死をきっかけに、残された人々の生の物語がまた始まるんだなと私は感じました」

――松本さんはいかがですか?

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』はPrime Videoで独占配信中

松本「そのとおりだと思います。いろんな死の現実があって、いろんな故人とご遺族の関係性があると思います。人は悲しみを抱えて生きていかなければいけないけど、その中で彼女たちがいたことで、どこか前向きになれるというか。なかなか難しいことですが……。

 米倉さんがおっしゃったように、たぶん亡くなった人を思い出す時、最後の姿がきっと一番印象に残ってしまうような気がします。私の場合、おばあちゃんがガリガリになっちゃっていたことが、ポンと思い浮かんじゃったりしますが、だからこそ、最後の姿はきれいにしてあげたいなと思いました」

米倉「エンジェルハースの社員たちは、世間から見るときっとはみ出し者かもしれませんが、亡くなった人を通して、ご遺族を通して、彼らが生きている存在意義を作れていて、職場でもひとりぼっちだった人たちがつながっていき、そこで1つの社会が出来上がっていくというのもすてきだなと思いました」

――本作は海外でも視聴可能なPrime Videoで配信されますが、そこの意義をどう捉えていますか?

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』はPrime Videoで独占配信中

米倉「ウクライナの軍事侵攻など、世界で起こっている戦争も含め、最近はすごく世界が近く感じます。国際霊柩送還士の方々には地道に積み上げていかれた広いネットワークがあるそうで、今回演じてみて、自分自身に何かが起こった時に、彼女たちにお願いできたらいいなと、私自身も考えてしまいました。また、自分ももしかしたら、何かの形で誰かの力になれるかもしれないと感じられたし、俳優業はそういう小さなことから、世界につながっていける仕事だとも思いました」


松本「戦争もそうですが、今はいろんなもののあり方が大きく変わりつつあると言われていますが、結局11人はあまり変わっていないような気もします。作品は届かない人には届かないのかもしれないけど、少しでも誰かの何かが変わるきっかけになればといいなと。物事が大きく変わる今、、11人が変わっていけばいいなと思います」

米倉「地球は小さい、世界は1つという言葉もありますが、本当にそうだなと思います。少し勇気を持てば、海外へ行って友達ができたり、国境を越えてどんどんつながっていけるような気がします。また、本作は世界に配信されるので、いろいろな国の方々に観ていただきたいです」

取材・文/山崎伸子

『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』は3月17日(金)よりPrime Videoで独占配信
原作:佐々涼子「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」(集英社文庫刊
監督:堀切園健太郎 脚本:古沢良太、香坂隆史
出演:米倉涼子、松本穂香、城田優、矢本悠馬、野呂佳代、織山尚大(少年忍者/ジャニーズJr.)鎌田英怜奈、徳井優、草刈民代、向井理、遠藤憲一…ほか
作品ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0B66GL9PH

編集部おすすめ

関連記事