【中学受験】日本の受験は不毛?港区ママが「大学附属校」にこだわった理由

遊ぶのも我慢して、ひたすら勉強している小学生を見ると、「中学受験なんて、かわいそう」と思う人もいるかもしれません。でも本当にそうなのでしょうか。HugKumでは、中学受験に取り組んだ親子6組にインタビュー。本音の体験談をお届けします。
今回は、東京都港区で中学受験を経験し、私立大学附属男子校に通うKくん(中2/男子/仮名)。なかなか本気になれず、明らかに勉強への姿勢が変わったのは小6の11月だったといいます。塾や志望校の決め方、パパとの関わり方など受験生活のリアルを、母(Oさん)にうかがいました。

 「受験勉強は不毛」と考えて大学附属校を志望

帰国子女の父親は「日本の受験は不毛」という考えも

―中学受験を決めたきっかけは何でしたか?

 もともと中学受験はさせてもいいかな、と思っていて。というのも、私自身が中学受験を経験しているんですよね。ただ、地方なので1校だけ。結局、落ちて地元の公立中学へ進んだのですが、それをきっかけに勉強へのやる気が湧き、高校・大学受験もがんばれたと思っています。

やっぱり何もせずにいきなり勉強を始めるのは大変だし、結局、人生どこかのタイミングでがんばらないといけないなら、早いほうが勉強の基礎力も身についていいんじゃないかと思ったんです。

―お父さんはどんな考えでしたか?

 夫は小学校時代を海外で過ごした帰国子女。帰国後は地元の中学・高校へ通い、推薦で大学に進学したので、多分あまり苦労していないはず。そのせいか「日本の受験なんて不毛だ」と考えているところがあって。スポーツ好きということもあり、体力があって遊びも運動も打ち込める子ども時代に、勉強に長時間を費やすのはもったいないという考え方。とはいえ、日本にいる限り受験は避けては通れないので、それなら大学の附属校にして中学受験の1回で済ませるのがよいのでは?と思っていたようです。

クラスの約半数が受験組、塾通いも自然にスタート

―息子さん本人はどう考えていましたか?

 私が住む東京都港区は、クラスの約半分が受験するエリア。小3までは普通の学習塾に通っていたのですが、小4からはほとんどの子が受験専門の塾へ移っていました。息子も当たり前のように、自分も受験するものだと思っていたようで、自分から「オレはどこの塾へ行くの?」と聞いてきました。

そうそう、小3のとき通っていた学習塾で、「地方出身なので東京の受験はよくわからないんです」と言ったら、「お母さん、ここは港区ですよ」とピシャリと言われて。地方のように公立が一番ではないし、中高一貫校は高校から入るほうが難しいことも多い。つまり中学受験をしないことが子どもの選択肢を狭めることもあると。そう言われたことで、中学受験をさせてもいいかなという気持ちがまた強くなりました。

―塾はどうやって選びましたか?

 息子の性格的に、個別より集団塾が合っていました。物おじせずに発言できるし、成績の上下でクラスが入れ替わることもモチベーションに変えられるタイプ。加えて、息子が目指す中堅校に強いこと、駅から近く通いやすいこと、料金などを比較して総合的に判断しました。

ちなみに現在小4の弟も塾に通い始めたのですが、兄とは別の少人数制の塾に通っています。弟はある程度、目をかけてもらったほうが伸びるタイプ。「わからない」と気軽に聞くことができて丁寧に教えてもらえる塾にしました。それから極度の方向音痴なので、兄以上に家からの近さは重視しました(笑)。

―お兄ちゃんの塾選びは正解でしたか。

 そうですね。大手塾だったので、過去の膨大なデータをもとに志望校決めから実際の受験スケジュール決めまで、伴走してくれて助かりました。塾通いで大変だったのは、塾弁(塾で食べるお弁当)。私は時短勤務だったので、帰宅後に作っていましたが、弟がいるので塾がある日の夜はちょっとカオス。16時過ぎに帰宅して塾弁を作り、19時には弟に夕食を食べさせて、21時頃に帰ってきた兄にまた軽く余りの夕食を食べさせて……と塾がある日は食事の準備ばかりしていた気がします。

活発な息子の希望で男子校に

通学をイメージして実際に学校へ行ってみた

―志望校はどうやって決めましたか?

 先ほど話したとおり、受験は1回で済ませたかったので、大学の附属中学に絞っていました。あとは塾との面談で、模試の成績から「この辺りが狙えます」といくつか伝えられるので、その中から通えそうなところへ見学に行きました。通学時間は、家から1時間以内を目安にしました。

学校のカラーも重視しました。息子の性格的には、静かで真面目な子が多い学校より、ちょっと元気なやんちゃ系のほうが合っていそうだなと。男子校にしたのも本人の希望です。「オレは男とつるんでるほうがいい」って。男子校かつ附属校で通える範囲で、かつ偏差値も一定の範囲内となると、選択肢はそう多くなく、自然に3校に絞ることができました。

週末の学校見学はパパも一緒に

―お父さんはどんなふうに関わりましたか?

 説明会やオープンキャンパス以外に、予定のない週末に家族みんなでランチがてら学校まで行って、周辺の雰囲気や通いやすさを確認しました。夫も息子も運動好きなので、グラウンドの大きさや施設、部活の雰囲気なんかをとくに念入りにチェックしていましたね。

弟の面倒をみるのも夫でした。長男が小6のとき、次男は小2。週末も一緒に遊べなくなり、ヒマになったので弟は少年野球を始めたのですが、それに連れていくのは夫が担当してくれました。

勉強に関しては、基本的に夫はノータッチ。私がいつも「勉強しなさい」としつこく言っていたので、二人で追い込むのはやめようと。ただ、やっぱり毎日言っていると、効果が薄まるんですよね。それで、どうしてもというときだけ、私が言いたいことを夫から言ってもらうように裏で頼んでいました。言うといっても、弟とでかける前に「それ先に終わらせな」と言う程度なんですが、効果はてきめん。普段何も言わない分、息子は父親が怖いんですよ。私がいくら「やりなさい」と言ってもきかないのに、父親がすっと部屋に入るだけで急に勉強を始めたりしていました(笑)。

本人が本気になったのは小611

―やはり「勉強しなさい」と言わないと、なかなか勉強してくれなかったのでしょうか。

 周りに流されるように始めた受験勉強だったので、そこまで勉強意欲が強かったわけではないんですよね。小5までは勉強をさぼって、こそこそマンガを読んだり、弟とテレビを見たりしていることも多かったですね。

勉強の計画を立てるのも難しかったようなので、最初のうちは私が勉強のスケジュールをエクセルで作っていました。「この日は塾だから前日に塾の宿題をやる」とか「漢字テストの前日に漢字の勉強を入れる」とかざっくりした計画ですが、「今日は何やろう?」と悩まずに済んで、勉強を進めやすかったようです。

本人が本気になったのは小611月。遅いですよね。それまではいくら私が「やりなさい」と言っても、「やってるよ」という返事。でも、本人が「やってる」というわりに成績は上がっていない。親としては内心、「本気でやっているなら、もっと上がるだろう」と思うものの、もし本当にやった結果なら努力を認めてあげることも大事だから、言い方が難しいですよね。成績が悪いこと自体を怒ったことはありませんが、本当にやったのかどうかを巡っては、よく言い合いになりました。

―なぜ小6の11月に本気になれたのでしょう?

 小6になって過去問をひたすらやるようになると、自分の実力を実感できるので、受験も近づき、「さすがにヤバイかも」と焦ってきたのだと思います。

―本気になったのはどこでわかりましたか?

 今まで私が何度となく注意してきたことを自発的にやっていたんです。とくに繰り返し言っていたのが、テストで間違えた問題のやり直し。○×だけ見てほったらかしにしたりしていたので、よく怒っていたのですが、あるとき私が何も言わなくても黙々と解き直していて……。驚きましたね。それまで「100万回言えばやるなら、100万回でも言うから」と、しつこいくらいに伝えていたのですが、諦めずに言い続けてきてよかったなと思いました。

スイーツ男子、息抜きのおやつで体重増加も

スイーツ好きの息子にとっては、甘いものが勉強の息抜きに

―勉強の息抜きはしていましたか?

 はい。我が家は野球を始めた弟とのキャッチボールが気晴らしになっていました。やっぱり勉強オンリーで追い込みすぎるのは小学生には辛いと思うので、運動でも習い事でもできるだけ続けたらいいと思いますね。習い事の水泳も、小6の夏まで続けていました。

それから息子はスイーツ男子なので、お気に入りのスイーツを買っておいたり、たまに「タピオカ買いに行く?」なんて誘ったりしていました。受験前にはスイーツの食べ過ぎで少し太りましたね。でも中学で部活を始めたら引き締まったのでよかったです。

気分転換にバッティングセンターに行ったことも

諦めずに言い続けていれば、いつか子どもの心に届くことも多いもの。受験生の親としては、子どもがやる気になるのを信じて待つことも大事なのかもしれません。後編では、Kくんの実際の受験本番を振り返ってもらいました。

後半へ続く>>

文・構成/古屋江美子

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