広瀬すず、櫻井翔、江口洋介らチーム「ネメシス」が再集結!
天才的なひらめきで事件の真相に導く探偵助手の美神アンナ(広瀬すず)と、ポンコツなのに人望に厚い“自称”天才探偵の風真尚希(櫻井翔)がタッグを組んだ人気探偵ドラマ「ネメシス」。劇場版は、2021年4月期に放送されたドラマの最終話から2年後の世界が描かれますが、観ている者が度肝を抜かれるようなトリッキーな展開の娯楽大作に仕上がっています。
メガホンをとったのは、連ドラで総監督を務め、サスペンス映画『22年目の告白―私が殺人犯です―』(17)、『AI崩壊』(20)など数々のヒット作を手掛けた入江悠監督。一筋縄ではいかない好評な脚本を手掛けたのは、「アンフェア」シリーズの原作者である秦建日子です。
映画版でアンナや風真たちが挑むのは、テレビでは描くことができなかった巨大な謎。しかも謎が謎を呼び、観ている者を迷宮へと誘うような展開で、気がつけばどんどん物語にのめり込んでしまいそう。
また、広瀬さん、櫻井さんのほか、社長の栗田一秋役の江口洋介をはじめとするドラマから続投の愉快な個性派メンバーたちの“全部のせ”に加え、最強の敵役に佐藤浩市、魔裟斗ら豪華キャスト陣も参戦した本作。それぞれが繰り広げるアンサンブル演技が最高ですが、かなりシリアスかつ非常にエモーショナルなドラマが展開されるので覚悟して。
謎を解くたび、誰かが死ぬ!という予断を許さないストーリー
最近、経営難に陥り、小さな事務所に移転した探偵事務所「ネメシス」に、ある日、超高額の依頼が舞い込みます。そのミッションとは、誘拐されたペットの犬を取り戻すこと。そう聞けば「楽勝!」と思いきや、そうは問屋が卸さない。アンナと風真は早速調査に乗り出しますが、なぜかアンナは毎晩、仲間たちが次々と悲惨な死を遂げるという壮絶な悪夢を見るようになります。
やがて、アンナの前に、毎晩夢に登場する“窓”と名乗る男(佐藤浩市)が現れ、「私たちが握手をしなければ、夢は1つずつ現実になっていく」と告げます。果たして窓の目的とは?そして、アンナが知ってはならない真相とは……?
夢の中の予言どおり、神奈川県警メンバーの千曲(勝地涼)、四万十(中村蒼)、小山川(富田望生)たちをはじめ、仲間たちが次から次へと不幸に見舞われていき、アンナ自身も精神的に追い詰められていきます。またアンナ、風真、栗田(江口洋介)の命を狙うプロの殺し屋、ジッポ男(魔裟斗)も登場。さらに、囚われの身となったアンナと栗田の前に、風真が颯爽と現れるというまさかの展開に!
裏切り者は一体誰なのか?と探りながら観ていきますが、毎夜アンナが見る悪夢と現実が入り乱れていく展開に混乱し、「!?」の連続でアドレナリンが噴出。超難解といえるトリックにも驚嘆すること間違いなしです。
広瀬さんや櫻井さんたちキャスト陣は、会見や舞台挨拶で口を揃えて、難解な脚本を読み解く苦労を語りつつも、物語の斬新さを称賛していました。確かに本作は、新鮮なアプローチをしたミステリーの野心作となっています。
ドラマとはかなりテイストの異なる映画となっていますが、入江監督も秦建日子から上がってきた脚本を読んだ印象について「秦さんからの挑戦状を受け取ったような気もして、モチベーションがガンと上がりました」と語ったとか。
入江監督も優れたストーリーテラーで、自身の映画で秀逸な脚本を手掛けてきただけに、この感想はこれ以上ない褒め言葉だったなと思います。
広瀬すずと魔裟斗のバトルシーンに大興奮!
もともと身体能力の優れている広瀬さんですが、本作ではキレキレのアクションを披露しています。しかも、今回の相手は、元キックボクサーの魔裟斗さん。広瀬さんもまた日頃からキックボクシングのジムへ通い、鍛えあげているそうで、両者とも気合十分のバトルシーンとなりました。
また、他にもスクリーンで観るに値するダイナミックなアクションシーンが満載の本作。公道を封鎖しての大掛かりなカークラッシュのシーンや、最新CGを駆使したクライマックスでのアクションシーンなどは、本作のハイライトといえそうです。
前述のとおり、キャストやスタッフ陣は、入り組んだ脚本を読んだ段階では仕上がりが想像しづらい内容だったと語っていましたが、実際に完成した映画を観たあとも「これまで観たことのないような映画になった」といった興奮めいた感想が飛び交っていました。確かに、脚本を含め、いろんなチャレンジを試みている本作を観ると、キャストやスタッフ陣たちが「新しいものを作りたい」と前のめりに臨んだ気概を感じ、熱いものがこみ上げてきます。
ドラマファンはもとより、映画単体で観ても、存分に「ネメシス」ワールドに没入できるエンターテイメント作品になっているので、ぜひ映画館でご覧ください。
文/山崎伸子
©2023映画「ネメシス」製作委員会