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ダウン症の子にも、通常級の子にもランドセルは使いにくい!
「ほんとうはランドセルを背負わせたかった」
和久田麻衣さんのママ友のひとことが、「ことゆくラック」を開発するきっかけとなりました。
ママ友の子どもはダウン症です。特別支援学校に通学することになりましたが、荷物が多くてランドセルに入りません。仕方なく大きなリュックにしたものの「使い勝手が悪い」とこぼすママ友。この話を聞いて和久田さんは驚いたといいます。
「ランドセルは、どの子も使えるものだと思っていました」(和久田さん)「使えるものが、ないなら 作ってみよう!」とランドセルの開発を思い立ちました。2016年のことです。
同じ年に入学した和久田さんの娘さんからは、「ランドセルが使いにくくて、つらい」という不満の声も聞き、ますますランドセルへの疑問がふくらみました。
支援学校、支援級のママたちに聞いてわかったこと。
ランドセル開発にあたり、和久田さんは通常級に通う子どもだけでなく、積極的に特別支援学校や支援学級に子どもを通わせているママたちへの聞き取り調査もおこないました。調査・試作には2年かかりました。そして聞き取った声を次のように反映させていきました。
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体力がない子も背負える軽さにしてほしい。
ナイロン素材を使用。760gに、Lサイズでも890g
手先が器用でなくても開け閉めしやすいように。
新たな声を反映した2024年版は、ここが進化!
感覚過敏の子にも配慮した肩ベルト&背中
タブレットひとり一台の時代に合わせた仕様
ランドセルは飾るものではなく、使うもの。
高価なランドセルが競うように百貨店の売り場に並ぶ風景は、もはや風物詩でもあります。この現象について和久田さんは、次のように語ります。
ランドセル選びの傾向も大きく変わってきたそうです。
気づけば、“女の子は赤”、“男の子は黒”の時代は終わっていたのです。
ママ世代よりも、子どもたちのほうがとっくに先をいき、文字通り未来を軽々と背負っているわけです。
失敗しないランドセル選びのポイント
いざ、ランドセルを選ぼうと売り場にいくと、種類の多さに圧倒されます。いったい何を基準に選んだらよいのでしょうか。失敗しないランドセル選びのポイントを和久田さんに聞いてみました。
「必ず背負ってみてください。肩や背面、底面の角が背中やお尻にあたったりしないかのチェックを」。
底面の角は意外な盲点かもしれません。背負っている空の状態でさえ気になるようなら、たくさんの荷物を入れて毎日歩くとなると、もっと気になってしまうそうです。
「入学式から2、3日後に買い替えてしまうお子さんもいます」とのこと。
「ことゆくラック」は、サンプル品を1週間試すことができる無料貸し出しサービスを実施しています。まずは背負ってみて「子どもに聞いて決める」という和久田さんの思いからです。
障害のある子にとって使いやすいランドセルは、みんなに使いやすい
今年で6年目を迎えることゆく社。特別支援学校や支援学級の子も使えるランドセルを、と作り続けてきた和久田さんですが、「支援級の子、そうでない子」を分けて考える必要はまったくないと感じています。
「障害のある子にとって使いやすいランドセルは、みんなに使いやすことがわかりました」と和久田さん。
会社名の「ことゆく」とは、「子どもとゆく」からきている名前。子どもの声を聞き、子どもとともに作ってきたからこそいえることです。
最近は、ことゆくラックを背負っている大人を見かけるようにもなったといいます。
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取材・構成/平野佳代子(tobiraco)