ガーディアンズたちの最後にして最大のお祭り映画なのに泣ける!
ご存知、銀河一の落ちこぼれチームと言われてきた、クセ強めではみ出し者のキャラクターたちで構成された「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)では、アベンジャーズの一員として、世界を救ってくれた頼もしいメンバーです。
まずは、ざっくりと主要メンバー紹介を。元トレジャーハンターでリーダーのピーター・クイル、見かけはキュートなアライグマなのに毒舌なロケット、樹木型ヒューマノイドのグルート、コワモテでガタイがいいのに愛されキャラのドラックス、人の心を読み操るエスパーのマンティス、“こじらせ系”暗殺者のネビュラなど。
ヤツラは、かなりアクが強く、ヒーローというよりは、トラブルメーカーという印象を受けますが、実は家族のように熱い絆で結ばれていて、ここぞという時には、絶妙なチームワークを発揮します!
今回は、この愛すべきガーディアンズが繰り広げる最後にして最大のお祭り映画だと聞いていたので、ノリノリで観始めたところ、冒頭からいきなりおびえたようなアライグマのロケットが登場。その瞳は憂いを帯びていて、庇護欲をかきたてます!それにしても、なんだか様子がおかしい。
そう、本作では、ロケットの知られざる過去が語られていくとともに、ガーディアンズたちと、銀河を完璧な世界に作り替えようとする最凶の敵「ハイ・エボリューショナリー」との熾烈な戦いが繰り広げられていきます。
家族には様々な形があり、それぞれの絆が尊い
本作で、物語のカギを握るロケット。気性が荒く、誰にでも悪態をついてしまう毒舌キャラですが、思い返せば誰よりも仲間想いで、本当は熱いハートの持ち主でした。そして、本作を観ると、ロケットがなぜ、「ガーディアンズ」という“家族”を大切にしてきたのか、その理由がわかります。
メガホンをとったのは、シリーズ1作目から脚本と監督を務めてきたジェームズ・ガン監督。とことん振り切ったコメディと、胸熱のドラマをバランス良く描ける逸材ですが、音楽の使い方も秀逸で、本作はまさにシリーズの集大成となっています。
そんなガン監督が、シリーズを通して描いてきたテーマの1つが、「家族の絆」だったことを、本作を観て、改めてかみしめました。それは血のつながった家族だけではなく、固い友情で結ばれた友や同志、同じ環境で育った仲間たちも含めた関係性のこと。
もちろん、本作では、ピーター・クイルと最愛の恋人ガモーラとの恋もサイドストーリーとして描かれますが、主軸はやはり「家族の絆」でした。少しいびつだけど、かけがえのない絆が、幾重にも描かれつつ、過去に家族だったメンバーも登場したりと、本当にニクイ演出がされています。正直、涙腺トラップだらけでしたが、それぞれのアンサンブル演技がすばらしく、改めてガン監督の才能にうなりました。
がつんと響く「多様性」についてのメッセージ
「落ちこぼれ」という同類項で結ばれたガーディアンズのメンバーたちは、完璧な理想の世界を作ろうとする組織「ハイ・エボリューショナリー」とは、対局の立ち位置かと。本作を観ていると、ポンコツ上等!人と違っていて何が悪い!といったパワフルな圧を感じます。もちろんいい意味で(笑)。すなわち、ありのままを受け入れることの大切さが、いろいろな登場人物を通して語られていきます。
劇中では、ルッキズムについての皮肉も出てくるし、個性を尊重することの豊かさにも触れる台詞も多数登場。種を超えた友情も描かれています。個人的には、ある登場人物が語る「心の底から話せる友だちがいるって、本当にいいわね」という台詞に涙しました。
そして、ネタバレは避けますが、最後のクライマックスが胸熱すぎて、心のなかで拍手をしました。そこでは命の尊さや、「誰にでもやり直すチャンスがある」という、まさに今、世界中のリーダーたちに求められているようなメッセージも入っていたので。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』、最高です!かなりテンション高めのレビューとなりましたが、本当に本作は、家族でぜひ映画館で観ていただきたい秀作ですので、ぜひ週末に観にいっていただきたいです。
監督:ジェームズ・ガン 製作:ケヴィン・ファイギ
出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、カレン・ギラン、デイヴ・バウティスタ、ポム・クレメンティエフ、ブラッドリー・クーパー、ヴィン・ディーゼル…ほか
公式HP:marvel.disney.co.jp/movie/gog-vol3
©Marvel Studios 2023
文/山崎伸子