家族ぐるみで楽しんだ受験勉強
―お父さんは受験に協力的でしたか?
母 夫も子どもと一緒に問題を解いてくれました。私も解きましたよ。
「この問題、もうママ解けたんだけど」と言うと、子どももやる気に。だって、親より自分のほうが勉強ができると思っていますから。それで親が先に解くと、もうそれは真剣に取り組むわけです。逆に、親より先に解けると「まだできないの?」と優越感にひたっていました。全員解き方が違うこともあって、盛り上がることも!
―秋から直前期にかけての勉強はいかがでしたか?
母 過去問が中心になり、日曜特訓の他に志望校別の講座も取りました。娘が志望するB校の講座があるのは、自宅から遠い1校だけ。1時間ほどかけて、迎えに行く生活が始まりました。私は兄のごはんを作ってから、「お迎えに行ってくるね」と出かける日々でした。
―お母さんも大変でしたね。
母 確かに大変だったけど、娘との充実した時間を過ごせたことは間違いないです。塾帰りに、軽食代わりのマックのフライドポテトをつまみながら、一時間ほど夜のドライブを母娘で楽しみました。母娘ともに、ストレス発散のガス抜きになりましたね。娘も、自分だけの話を聞いてくれる時間として、喜んでいたようです。それまでは、お兄ちゃんばかり目が向いていたので。
―母子の充実した時間でしたね。
母 そうそう、車の中で、私がスマホに録音した歴史や地理の問題を流すのも定番でした。娘は、「一問一答、読んでくれ」と言うのですが、さすがに毎回だと「疲れるからイヤ」だと渋っていたんです。そこで、暇を見つけて、スマホのボイスメモに録音しました。その問題と答えを車の中で流したら、娘も(すでに答えを知っている私も)クイズ感覚で楽しみながら勉強できました。私としては、娘の「読んで、読んで」攻撃が辛かったから…なのですが、今振り返ると、「私、結構がんばっていたよね」と思います(笑)。
本命校を含む1月受験の結果は!?
―受験時に気をつけたことはありますか?
母 朝が弱い子だから、学校の近くに前泊しました。練習を兼ねて、模試のときも前泊しました。都内を中心に、母娘でホテルステイをして、いわゆる女子会ですね。私としては、娘を気持ちよく試験に送り込みたいという気持ちでした。
―直前は小学校を休ませましたか?
母 1月は休みました。当時は、コロナ感染が怖かったので。うちは、もともと学校は休ませない方針でしたが、コロナだったので夫も何も言いませんでした。
―体調管理で気をつけたことはなんですか?
母 基本的には「いつも通り」です。みなさんもそうだと思いますが、受験前には生もの禁止ですよね。娘はお鮨が大好きなのですが、食卓には出しませんでした。受験が終わった後に、娘がお気に入りのお店でお鮨を食べたり、小籠包を食べに行ったりしました。
―さて、いよいよ受験です。
母 埼玉の学校を受けて〇をもらいました。さらに、千葉の学校も〇。落ち着いて本命の受験を迎えました。
―本命のB校も、1月校ですね。
母 B校の発表は、2月1日からの入試に向けてみんなが頑張っているさなかでした。娘はあらかじめ塾を抜け出す許可をもらって、トイレに行くと装って、近くで待機していた私の車に乗ってきました。車中で、学校のHPを開き、合格を確認。娘は、塾の先生の指示通り、大喜びして興奮する様子もなく、塾に戻っていきました。
―娘さんは第一志望に合格されたのですね!首都圏では、中学受験熱は高まっています。第一志望に進学するのは、3~4人に1人とも言われる中で、素晴らしい結果ですね。
母 そうなのかもしれません。でも、実は、最後の最後に親のエゴというか見栄が出てしまいました。すでに出願していて、模試の判定も良かったので、御三家のC校を受けさせたのです。お世話になった塾に少しでも合格者数を増やして恩返しをしたいとも思っていました。
―御三家のC校の結果はどうでしたか?
母 ×でした。本人は第一志望校に合格したのに、最後にイヤな思いをさせてしまったのが親としての後悔です。本人的にはあまり気にしていませんでしたが、親としては申し訳ないです。
―敗因はなんだったと思いますか?
母 いくら模試でよい成績を貰っていても、本番は違います。娘が本命校に受かった後、気が抜けた状態で受けたら、それは必死の受験者にはかないません。行きたい気持ちが強くないと合格をつかみ取れないと思います。今となっては、×という結果も、娘にとっては良い経験だったと思います。
中学受験をふりかえって
入学した学校は母の母校
―受験が終わり、晴れて希望の学校へ入学です。
母 「学校が楽しみだね。自分で勝ち取ったのだから、全力で楽しみなさい」と言いました。実は、娘の進学先は私の出身校です。ただし、私は一度も勧めてはいません。娘には娘の考えがあり、人生があると思うから。でも、私が高校のときの友達と今も楽しそうにつきあっているのが、娘にとって魅力だったようです。ずっと長く付き合える友達と出会える良い学校というイメージがあったようです。
私の時代は、新興の共学校でしたから、私はむしろ伝統の女子校に憧れていました(笑)。でも、母校の現在の様子を娘から聞くことができて、とても楽しいです。今、朝が弱い娘なりに学校生活を楽しんでいます。最近、英会話にも興味を持ったみたい。今後の成長が楽しみです。
―最後に、中学受験の感想を教えてください。
母 子どもと濃密な時間を過ごせたと思います。それはかけがえのない時間です。今後、子どもが中学生、高校生と育っていけば、親が関わることも少なくなります。そう思うと、とても大切な時間だと思います。
テキストのコピー、家庭教師の手配など細かなサポートもしつつ、子どもの希望や考えを聞いて常に「子どもに必要な勉強法」を編み出してきたママさん。その細やかなサポートが、子どもたちの未来を豊かにしていく源になるでしょう!
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文・構成/ひだいますみ