【中学受験】親子で決めた1000問チャレンジで成績上昇!難関校合格をつかんだ夏休みの過ごし方

HugKumでは、中学受験に取り組んだ親子にインタビューし、本音の体験談をお届けしています。
難関私立校に合格し、楽しく通っているちはやさん(中3/私立共学校/仮名)が経験したのは、「成績が徐々にダウン。しかし長期の休みを徹底的に利用して巻き返した合格ストーリー」でした。これから迎える夏休みの過ごし方にも参考になる中学受験のエピソードについて、ほがらかで明るいお母さんKさん(東京都在住)が話してくれました。

4年生から塾通いをスタート

ただ通わせていただけという状態だった4年生の塾生活

―中学受験をしたきっかけを教えてください。

 2歳違いの兄が受験する姿を見ていたので、自然に自分も受験するものだと思っていたようです。親としては、娘に押し付けることはしたくなかったので「お兄ちゃんは受験するけど、あなたはどうする? 受験してもいいし、しなくてもいいよ」と娘の気持ちを聞きました。3年生の秋~冬の頃です。娘は「受験する」と言いました。

―その時はまだ、お兄さんの受験は終わっていない時期ですよね?

 兄が5年生の終わり頃ですから、これから本格的に受験に突入という時期でした。当然、結果は出ていません。それでも、娘は「私も、やる!」と。ただし、成績のよいお兄ちゃんと比べられるのが嫌だったらしく、「同じ塾はイヤ」という希望でした。いくつか他の塾の体験授業も受けた結果、本人の希望で別の集団授業の塾に決めました。

―塾にはすぐに慣れましたか?

 塾の先生は、やはり教えた方がうまいらしく、楽しいようでした。違う小学校の友達といろいろ情報交換できるのも刺激になったようで、塾に行くのは嫌がりませんでした。結果的に、最後まで転塾はしなかったので、娘にとっても良い塾だったのだと思います。

―宿題や勉強のサポートはどのようにされましたか?

 それが、当時は全くしていなかったのです。なにしろ、娘が4年生のときは、兄が6年生でそっちに寄り添わなければならなかったので、どうしても母の目が届かず、塾に行かせていただけという毎日でした。

 成績は下降の一途。子どもと向き合い方針を話し合った

兄の受験で、妹の成績低迷は後回しに…

―塾にも慣れ、塾生活は順調でしたね。

 それが、気が付いたらとんでもないことになっていたんです! 兄の受験が終わり、私は「ふう~、終わった!」と、しばらく脱力していて、娘の成績をきちんと把握できていなかったのです。ようやく妹の番だと目を向けたときには、成績はすでに低下の一途をたどっていました。

―得意な教科、苦手な教科はありましたか?

 国語は得意でしたが、算数が苦手。理科は先生がよかったのか、まずまずの成績でした。でも、社会はコツコツ覚えるのが苦手で、嫌いな教科。特に、算数は点数も悪く、偏差値もどんどん下がっていました。

―娘さんの反応はどうでしたか?

 クラス落ちをして本人も気持ちが沈んでいるものの、「何とかして戻らなきゃ」と思っていたみたいです。泣きはしないまでも、なんとなく落ち込んでいる感じでした。母としては、「次、がんばろう」と声をかけました。

―成績低下に関しては、つい叱ってしまう親も多いようですが……

 うちでは叱りはしませんでした。もともと、夫は中学受験にそれほど賛成だったわけではないし、何よりも、どんな理由であれ子どもを追い詰めることには、断固反対の意見を持っていました。それで、娘の成績低下に私が不安を抱えて動揺したり、暗い顔をしたりしていると、「ママがそんなふうに顔色が冴えないのは、何も良いことはないから」と、冷静に声をかけてくれました。

―叱らずに、どんな対処をしたのですか?

 娘と一緒に話し合いました。「このままでいいの?」と言うと、「良くない」と娘。「じゃあ、どうしたらいいと思う?」「塾の宿題はやらなきゃいけないと思う」。そんな感じで娘と話しているうちに、なんと、それまで塾の宿題もやったりやらなかったり、テスト直しもほとんどやっていなかったことが判明したんです! 「まさか! そんなはずでは…」とビックリとしましたが、「そりゃ、成績が悪くなるよね」と原因がわかって納得した部分もあります(笑)。

―原因がわかったら、対処の仕方も考えられます。

 その通りです。「じゃあ、塾の宿題は、いつやる?」と一緒にスケジュールを立てるところから、伴走が始まりました。

―スケジュールづくりのコツはありますか?

 ホワイトボード&マグネットを利用しました。兄のときも使っていましたが、予定やるべきことを「見える化」することで、本人も取り組みやすくなったようです。「この日は塾があるね、宿題はいつやる?」「じゃあ、前日」など、娘と一緒に宿題に取り組む日を具体的に決めました。

 一学期から夏休みの勉強で成績はⅤ字回復!

子どもに合った勉強方法を探した結果行き着いたオンライン指導

―6年生になったとたん、コロナ生活に。コロナ禍の受験生は、何かと大変でしたね。

 確かに学校も自宅待機、塾も動画配信を視聴するだけになり、生活が大きく変わりました。でも、うちは「よし、追いつくなら今だ!」と思ったんです。昼間の時間をフルに使って、自分に必要な受験勉強ができますから。学校調べについては、5年生までにいろいろな学校に足を運んでいましたから、あまりコロナの影響は感じませんでした。とにかく、この長期の自宅待機の期間は、「自由に家庭で使える勉強タイム」として有効に使おうと決心しました。

―なるほど、逆転の発想ですね。現在はコロナ禍による長期の自宅待機期間はありませんが、長期に家庭で学習する期間という意味では、今年(や今後)の受験生にとって、これから始まる夏休みの過ごし方の参考になりそうです。

 まず、算数の家庭教師を探しました。

―どんな方法で探されましたか?
 SNSです。

―それはまた珍しい探し方ですね。

 私の発信したSNSのつぶやきに返事があり、ご縁があって、家庭教師が決まったんです。夫には「そんな方法で探したの?」と言われるかと思ったんですが、意外にも「ああ、今の時代はそういう方法もあるんだね」と理解を示してくれました。娘との相性も良い感じで、実際に劇的に成績が上がりました。

―家庭教師との勉強では何が良かったのでしょうか。

 家庭教師の先生には、週1か2回、ZOOM上でできなかった問題を中心に答案構成の方法から教えてもらいました。たとえば、余白の使い方です。

―余白の使い方とは?

母 算数では、試験用紙に余白があります。問題の内容を整理したり、計算の過程を記したりするスペースですが、娘は、最初は殴り書きの状態でした。情報が整理されているどころか、「6」が「0」に見えるような乱雑な書き方だったのです。先生には、順序良く、問題を整理して書いていくことや、数字が重ならないように書など、丁寧に指導していただきました。

―毎日のルーティンはありましたか?

 6年生になってからは、毎日、4教科のプリントの束を作って、娘に渡しました。漢字、計算トレーニング、白地図トレーニング、歴史年表、理科の基礎問題です。兄も妹も、テキストを開くのを面倒がるというか、ブックスタイルのものを敬遠するので、私がパソコン連動のコピー機でプリントアウトし、紙の状態で「はい、今日の分」と渡すスタイルにしました。

夏休みの算数1000問チャレンジ。意外な効果が!

夏休みに学力アップをはかった方法とは?

―夏休みに、チャレンジしたことは?

 6年の夏は、苦手を克服するチャンスです。解けなかった問題について、親が同じ系統の問題を集めて確認し、とにかく大量に取り組みました。でも、解けない問題ばかりやらせると、気持ちがめげるんですよね。それで、うまく基礎問題も取り入れながら学力アップを図るように持ち掛けたんです。

―具体的にはどういうアプローチをしたのですか?

 娘に「これから夏休みだね~。せっかくの長期休みだから、有効に使いたいよね」と話していたら、「じゃあ、夏休みの間に算数を100問解く!」と娘が言い出したんです。「いやいや、夏休みは長いから、100問なんてあっという間だよ」と答えると、「じゃあ、1000問にトライする!」というので、算数1000問にチャレンジすることになりました。結果的に1カ月ほどで達成できました。

―モチベーションを保てた理由は何ですか?

 基礎的な計算問題も一問、複雑な思考力を要する大問も一問というルールにしました。本人は、何としても1000問を達成したいわけですから、数を稼ぐために基礎問題をやるようになりました。これが後々に思わぬ効果を発揮。実は、苦手な算数の基礎問題にコツコツ取り組むのが嫌いな娘にとっては、重要な基礎トレーニングになったのです。

―知らず知らずのうちに、基礎力が磨かれたのですね!

 毎日、本人に解いた問題の数をエクセル表に入力させたのも良かったみたいです。具体的にその日の成果と累計数を目にするので、本人のやる気を刺激したみたいでした。そして、1000問解いたことが、その後の自信につながりました。

―夏期講習ついて教えてください。

 講習は、毎日午後1時~6時くらいだったので、午前中に4教科プリントと塾の宿題をこなし、午後から塾に行くという毎日でした。

―勉強以外で、気を付けたことはなんですか?

 生活リズムを整えて体調管理したことです。娘は、朝が弱いタイプなので、できるだけ生活リズムが崩れないよう、就寝時間、起床時間には気を使いました。

―中学受験は、就寝時間がどうしても遅くなるようですが…?

 どんなに遅くても23時、だいたい22時台には寝かせ、起床は7時ごろでした。「勉強が終わらなかったのは、自分のせい。今日は寝なさい」と寝るように声をかけていました。

御三家か共学校か。夏は志望校絞り込みの時期

秋以降の対策のため夏には志望校の絞り込みが必須

―志望校を絞ったのはいつ頃ですか?

 夏休み前です。そろそろ始まる日曜特訓(志望校別対策講座)に向けて、志望校を絞り込む必要があったため、娘と話し合いました。

―お子さんは、共学校か御三家のA校が志望でしたね。

 両校の試験スタイルは対極的で、A校の試験は娘向きではないと思いました。娘の学習のしかたや、テストの結果などを見ているうちに、高度な処理能力をひたすら磨くより、思考力を必要とする勉強のほうが得意だと気付いたんです。苦手な勉強を無理して頑張るより、思考力を伸ばす勉強のほうが、結果的に娘の学力が総合的に上がるだろうと考えました。それで、パパや塾の先生とも相談して、思考力を問う試験問題を出す共学のB校と御三家のC校を目指すことにしました。

―お子さんの反応はどうでしたか?

 A校に憧れていたものの、共学への思いも強く、最後は自分で決めました。ただし、その時点で本人が志望したB校(のちに進学)は、自分の校舎に日曜特訓の講座がなく、似たような傾向の試験問題を出す学校(C校)の講座を取ることになりました。

 

成績が上がって志望校が徐々に絞れ、勉強にも力が入ってきたタイミングで、秋~直前期に突入。果たして受験の結果は!? 親子ビックリのまさかの展開に!!

 後編はこちら

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 文・構成/ひだいますみ

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