5〜6年生向け夏休みの本は『自由を求めて冒険へ!』読書が苦手という子こそ読んで【子どもの本のみせナルニア国のおすすめ】

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5~6年生のおすすめの夏休みの1冊は、若き冒険家のノンフィクション。リアルなRPGを本で体験してもらいたい、と銀座の子どもの本の専門店「ナルニア国」の菅原幸子さんがセレクトしてくれました。

動物たちと旅する冒険家の「リアルRPG」

現在は筑波大生としてロボット工学を学んでいる冒険家・春間豪太郎さんが、2016年から2020年までに訪れた、モロッコ、チュニジア、キルギスを様々な動物を相棒にして旅した波瀾の旅行記。

少年時代、学校も休みがちで成績も振るわず、自分に自信がなかった春間さん。実は、高いIQをもっているギフテッドであることがわかるのは成人してからのこと。

海外にも興味がなかったそうですが、20歳の時に、行方不明になった親友を探しに、彼の半年前の滞在場所と写真のみを手がかりにフィリピンに渡ります。これが海外や冒険に興味を持つ最初のきっかけになり、主に発展途上国で動物と共に歩くスタイルの冒険の旅にたびたび出かけるようになります。

様々な語学を学び、ラクダ用の発信機や地図アプリを自作し、プログラミングスキルを身に着け、護身用にキックボクシングの技術を磨くなど、困難がつきものの冒険に必要なスキルを身に付けていきながら、「リアルRPG(ロールプレイングゲーム)」と名付けた旅を重ねていきます。

さあ、ワクワクドキドキの冒険の世界にようこそ!「読み物」が苦手というお子さんにこそ読んでほしい

ラクダのシャムスとチュニジアの砂漠を歩く著者

とにかく、突拍子もないことの連続でハラハラドキドキ。ページをめくる手が止まらないくらい面白かった!

子どものころは、自分に自信がなかったという著者ですが、大人になって、外国語を早く習得できること、動物と仲良くなって乗りこなす才能があることに気づきます。冒険家の素養があったのですね!

モロッコでは、暴れん坊のロバと1000キロの冒険

キルギスでは、羊と犬と一緒にマイナス14度の山で野宿

チュニジアで、ラクダと渡る灼熱の砂漠で見たものとは?

旅の様子が伝わってくる口絵写真もたっぷり。そして、国ごとに旅のお供となる「冒険の装備品」としてイラストで紹介されているページが、旅のリアル感を醸し出しています。タブレットや大容量バッテリー、ドローンなどは「現代の冒険」の必需品ですね。

モロッコでの「冒険の装備品」 イラスト/山部天資

著者自身が「リアルRPG」と名付けているように、インディ・ジョーンズを思わせるような出来事やトラブルに遭遇する様、そして、こんな面白い人がいるんだ!という驚きを、ぜひ、子どもたちに体感してほしいと思いました。

様々な動物が常に旅の相棒になっているので、動物好きのお子さんには、とても楽しめる要素だと思います。そして、「文学もの」が苦手、というお子さんにこそ、手に取って欲しい1冊です。

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『自由を求めて冒険へ!』

春間豪太郎/著 日本標準

教えてくれたのは

菅原幸子さん|教文館「ナルニア国」
「ナルニア国」は、1996年に開店した東京・銀座の子どもの本の専門店。1891(明治24)年に銀座で創業した老舗書店・出版社の「教文館」が子どもの本に特化した書店として開業。
ロングセラーから新刊書まで約15,000冊を取り揃え、絵本の原画展やイベントも定期開催している。
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構成/Hugkum編集部 写真提供/春間豪太郎

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