意外性のあるテーマや驚きの視点、大人顔負けの取材力など、考え抜かれた内容の作品がこんなに集まりました。子どもたちの「なぜ?」を解き明かす作品は、私たち大人もワクワクさせられるものばかり! どんな作品が受賞したのか、さっそく見ていきましょう。
最優秀賞3作品含む、19作品が入賞!
【最優秀賞】「くいしんぼう博士の大挑戦!! 海の未来をワクワクさせよ」
鹿児島県 小学3年生 今西奏大さん
かごしま環境未来館で参加した講座をきっかけに、自身の住む鹿児島県の海に興味を持った奏大さん。地元の漁業の抱える漁師不足や未利用魚の問題、「鹿児島深海魚研究会」の取り組みを取材してまとめています。さらには深海魚の調理にも挑戦していて、総合的な探究心が実を結びました。
審査員コメント
地元の問題でありSDGsにつながる深海魚の扱いに着目した、奏大君の「見える目」が素晴らしいです。専門の学術畑の先生や、当事者である漁師さんや漁業の方々に直接出向いてインタビューしたり、深海魚の種類ごとの調理法に挑戦したりしてみるなど、行動力も抜群です。このレベルの研究をやり抜くことは最高の主体性に満ちた学びであり、そこで獲得した知識も一生の知的財産となるでしょう。これからも研究を楽しめる素敵な人でいてください。
高濱正伸先生(花まる学習会代表)
【最優秀賞】「どうしてタマゴタケは スーパーで売っていないの?」
東京都 小学6年生 小林蒼空さん
3歳からきのこが好きになり、その生える様子や味、色形などに興味を持ち始めた蒼空さん。中でも図鑑で知った赤くて可愛い「タマゴタケ」が好きになり、山へ探しに行き発見! 大好きなタマゴタケの特徴や美味しい食べ方の紹介から始まり、ついには栽培にもチャレンジし、5年かけて分離培養に成功する様子がレポートされています。
審査員コメント
蒼空さんは大好きになったタマゴタケを栽培しようと取り組み、たくさんの失敗を乗り越えて、5年目にやっと分離培養に成功します。強い気持ちを持続させて真摯に研究に向き合う、一人の科学者としての姿に強く心を打たれました。また、失敗を乗り越えるために適切に専門家の力を借りながら、教わったことをしっかりと自分のものとして取り込み、「移植を繰り返すと成長速度が上がるようだ」という結論に至った点を高く評価します。
白數哲久先生(昭和女子大学准教授・NPO 法人ガリレオ工房理事長・ 「小学館の図鑑 NEO」 監修者)
【最優秀賞】「古代の鍵をつくろう。宝をまもるしくみ」
沖縄県 小学2年生 喜屋武知悠さん
テレビで見たピラミッドの宝物が、どうやって守られていたのかを知りたいと思った知悠さん。古代の鍵=エジプト錠を本やインターネットなどで調べ設計しました。段ボールや木など身近にある素材を使って、試行錯誤を繰り返しながら実際に作る様子がレポートされています。
審査員コメント
大事なものを守るために発明されたエジプト錠ですから、部品や設計図にはかなりの精度が求められたはずです。制作過程で失敗を繰り返しても諦めず、代わりの素材をいくつも取り入れ、部品の細かな調整を何度も行うなど、手間を一切惜しまない前向きな研究姿勢に感動しました。
エジプト錠の発明ポイントをわかりやすく伝えるために、内部構造をシンプルに紹介し、失敗から気づいたことを図や写真で記録している点にも感銘を受けました。
小学館の図鑑NEO編集長・根本徹
「最優秀賞」の賞品はこちら
最優秀賞に選ばれた方には、持ち運べるサイズの『小学館の図鑑ネオぽけっと』全15巻をセットで贈ります。おでかけ先で昆虫や植物を調べたり、リビングなどに置いて読んだり…自主的な調べ学習の心強いお供になってくれます。
【タカラトミー賞 ❶】「パンのふくろについている とめ具について」
千葉県 小学4年生 彦坂悠希さん
パンの袋をとめる留め具がたくさん家にあったので、何かに使えないかと思ったのがテーマの理由だったという悠希さん。正式名称は何なのか、色は水色以外にもあるのか、なぜこの素材なのかなどを検証。
さらに輪ゴムをまとめたり、箸置きにしたり、工作でサソリを作ったりと、様々な新しい使い方を考案し、独創的な工作にも挑戦しています。
【タカラトミー賞 ❶】「弦楽器の謎を解き明かそう!」
山梨県 小学5年生 小松世歩さん
ヴァイオリンの大きさが違っても同じ音が出せるのに、少し大きいヴィオラになると音域が変わることを不思議に思った世歩さん。本やインターネットで調べ、さらに弦楽器工房を訪ねて、弦楽器ができる様子や構造を取材しています。ていねいにまとめられたレポートは読んでいてわかりやすく、とても勉強になります。
「タカラトミー賞❶」の賞品はこちら
タカラトミー賞①は「小学館の図鑑NEO パソコン」。約650種類の生き物データが掲載され、これ1台で調べ物に対応できるほか、ゲームなど豊富なコンテンツがたっぷり!
【タカラトミー賞 ❷】「47都道府県おにぎり」
神奈川県 小学4年生 田邉広大さん
料理好きの広大さんは、47都道府県それぞれにゆかりのある食材を使ったおにぎりを考案し、紹介しています。食材集めにスーパーを巡ったり、素材に迷った時はその地域に住む人に尋ねたりしたそう。
見た目もとても楽しく、美味しいおにぎりをたくさん思いつき家族に喜んでもらえたこと、「研究」「お手伝い」「毎日の食事」に役立ったことが記されています。
【タカラトミー賞 ❷】「ダンボールで作った自動販売機」
東京都 小学5年生 小林路佳さん
遊べる作品なら友だちと一緒に遊ぶこともできて、楽しめるのではないかと思ったという路佳さん。まずは設計図を作り、段ボールで自動販売機を製作。飲み物がきちんと出てくるようにするところが苦労した点だそう。飲み物のデザインや窓部分、取り出し口などの素材を工夫することで、オリジナリティを出しています。
「タカラトミー賞❷」の賞品はこちら
タカラトミー賞②は『小学館の図鑑NEO Pad DX』。知的好奇心を刺激してくれるパッド型のデジタル図鑑は、マイクやカメラ機能も搭載で、遊びながら自然に学ぶことができます。
タカラトミー賞について 審査員コメント
今回のコンクールに応募いただいた小学生の皆様の熱意を感じられ、大変刺激的でした。私はおもちゃ屋さんという立場で審査をしましたが、どういったポイントを重視したかお話しします。『小学館の図鑑NEO』の関連商品を展開させて頂いているので「ビジュアルとしての見やすさ」、そして「着眼点がユニークかどうか」、また自由研究に対する「熱意」を感じるかという点になります。
今回選出された4作品は全てそのポイントが押さえられていて、それに加え「遊び心」を感じる作品でした。本当にご応募ありがとうございました。
株式会社タカラトミー・東 宏幸さん
【審査員特別賞】「赤ちゃんに おくる本」
東京都 小学2年生 佐藤陽輝さん
陽輝さんは、自分のように弟にも「本」を好きになってもらいたい気持ちから、赤ちゃんが気に入る本を考えました。弟の好きな色や形、顔を調べてからそれを元に本を製作。弟の好みにあったものを作ってあげようという気持ちにあふれた「宇宙旅行」の絵本が出来上がりました。
【審査員特別賞】「ぼくだけの スペシャル図鑑」
千葉県 小学2年生 大原恵介さん
生き物が大好きな恵介さん。これまでに訪れた約20の水族館や動物園での体験を元に作られたオリジナル図鑑です。自分なりに選んだそれぞれの生き物の写真やイラスト、特徴とともに、恵介さん独自の好きなポイントが書かれているのも楽しいです。
【審査員特別賞】「わたしとゴッホと いわさきちひろ」
東京都 小学1年生 竹本葵さん
絵を描くのも見るのも好きで、ワクワクドキドキするという葵さん。中でも好きな画家ゴッホの「ひまわり」が7枚あると知り、大きさや描き方の違い、保管場所などを細かく分析しています。
また、絵本画家いわさきちひろさんの絵の描き方を知りたいと思い、ワークショップに参加して「にじみ」の技法にチャレンジし、そのすごさを実感した様子もまとめられています。
【審査員特別賞】「ぼくのまちと厚木基地」
神奈川県 小学3年生 片山真志さん
自分の住む地域にある厚木基地に興味を持ち、戦争との関係を調べた真志さん。当時の様子に詳しい幼稚園の園長先生にじっくり取材した内容や、お祭りの時に基地内に入って見学した様子などを写真で説明しています。地域のフィールドワークとともに歴史や世界の動きをも探究した姿勢が評価されました。
【審査員特別賞】「はちゅうるい大運動会」
埼玉県 小学3年生 阿部隼汰さん
「爬虫類」をテーマにした自由研究は、3年連続で今年3回目の取り組みだという隼汰さん。自分が飼っている3種類11匹の爬虫類を観察して、一番速く走るのはどれなのかを実験。それぞれの特徴を紹介しながら、同じ条件で個別に走らせて実験する様子が愛情たっぷりにレポートされています。
【審査員特別賞】「じゅぎょう中に おなかが すく子 あつまれ!」
東京都 小学3年生 鴨田夏々海さん
給食時間前にいつもお腹が空いて困ってしまうという夏々海さんが考えたのは、腹持ちする食事。朝ごはんに何を食べればいいのかについてカロリーを調べ、様々な献立メニューを立てて1か月実食。ベスト3、ワースト3が書かれていますが、でも「どんなにたくさん食べても給食まではもたない」ことがわかったそう。
【審査員特別賞】「水をきれいにする仕組みを作ってみよう!」
山形県 小学5年生 木村叶さん
自分が1歳の時に大雨の災害があり、とても大変だったという話を聞き、井戸水が災害時に利用できるのではと考えた叶さん。井戸水をろ過する実験に取り組む様子や、水を大切にするために取り組めることなどが、すっきり整理されたかたちで記されています。
【審査員特別賞】「飾り幕製作(立体刺繍)」
兵庫県 小学6年生 土井奏人さん
山車(屋台、やっさ)が出るお祭りが好きで、その山車に使われる水引幕や飾り幕、提灯などの刺繍に興味を持った奏人さん。龍をモチーフにした立体刺繍の飾り幕を作り、工夫した点や苦労した点を含むその制作過程を、およそ2か月に渡りレポートしています。
【審査員特別賞】「~魚を追いかけた夏~ぼくの住む羽咋の魚図鑑」
石川県 小学6年生 新田和之進さん
魚が大好きで、これまでにも魚をテーマに様々な自由研究を行ってきた和之進さん。6年生になり、総まとめとして魚図鑑を作ろうと考えました。これまでに体験した漁や釣りでとった魚を集め、特徴を掴んで絵を描きまとめました。地引網体験や、定置網漁の見学レポートも記されていて、魚に関する幅広い項目がカバーされています。
「審査員特別賞」の賞品はこちら
審査員特別賞は上記の『小学館の図鑑NEO』の「人間」「星と星座」「魚」「鉄道」「恐竜」(すべてDVD付き)の中からお好きな図鑑1冊をプレゼント!
【小学館の図鑑NEO [新版]人間 賞】「いでんは おもしろい」
長崎県 小学1年生 東紗来さん
『小学館の図鑑NEO [新版]人間』にある「親と子が似るわけ」のページがお気に入りだったという紗来さん。長崎大学遺伝公開講座で遺伝について学び、自分の親族の家系図を製作。そして親族について髪の生え際や血液型、指の毛などの「観察ポイント」を取材し、その結果についてまとめています。
「『小学館の図鑑NEO[新版]人間』をテーマにした作品」の賞品はこちら
2023年6月に発刊された『小学館の図鑑NEO [新版]人間』をもとにした作品に授与される賞です。
賞品は上画像の『まだある!ふしぎの図鑑』。機械・生活・体・生き物・空の5章構成で、訊かれると大人も困る子どもの「今どきギモン」にQ&A図説で回答する人気の図鑑が贈られます。
【NEO 月でくらす展賞】「なんどもついてくる!? ぼくの ことが 好きな お月さま 2023 夏 月のなぞを『ツキ』とめる!!」
東京都 小学2年生 名取咲人さん
空を見るのが大好きな咲人さんが疑問に思ったのは「なぜ歩いているときに月を見上げると月がついてくるのか」。月の大きさや月の中はどうなっているのか、なぜ空にあって落ちてこないのかなど、月に関する様々な疑問について調べています。
「NEO 月でくらす展賞」の賞品はこちら
©小学館・牛山俊男
NEO 月でくらす展賞の賞品は、月のかたちをしたふわふわのクッション。表裏に満月と皆既月食がプリントされています。
同賞は、日本科学未来館「NEO 月でくらす展」(2023 年9月3日で終了)での体験をもとに応募した作品の中から、優秀作1名に贈られる賞です。
【小学館の図鑑NEO たんけん昆虫フェス賞】「むしずかん」
千葉県 小学1年生 稲垣諒さん
カブトムシ・クワガタムシが大好きで、自分で昆虫図鑑を作ってみたいと思ったのがきっかけ。「たんけん昆虫フェス」にも出かけ、本物の昆虫を見たり、図鑑を参考にしながら自分で絵を描いてまとめました。苦労したところは、カブトムシ・クワガタムシの色合いを出すところだったそうです。
「小学館の図鑑NEO たんけん昆虫フェス賞」の賞品はこちら
小学館の図鑑NEO たんけん昆虫フェス賞の賞品は、『小学館の図鑑NEOのクラフトぶっくシリーズ』の昆虫関連3冊セットです。
同賞は、千葉県千葉市のイオンモール幕張新都心にて開催された「小学館の図鑑NEO たんけん昆虫フェス」(2023 年8月24日で終了)での体験をもとに応募した作品の中から、優秀作1名に贈られる賞です。
※「ずかんミュージアム銀座賞」は該当作品なし
小学生の斬新な発想に、審査員も驚きの連続!
2023年11月に小学館で行われた「自由研究コンクール」審査会。会議室に並べられた応募作品を、審査員の先生たちが手に取って1つ1つ真剣に論じながら審査を行いました。審査と言いつつも、審査員の皆さんひとりひとりが純粋に作品を楽しんでいる様子が印象的でした。
2023年のコンクールを終えて
今回の自由研究コンクールの審査を行いながら、小学生のみなさんがさまざまな「好き」を見つけ、それを力作に仕上げたパワーに圧倒されました。審査をしながら、笑ったり感動して涙がじわっと溢れたり、感情が忙しかったです。
お子さんたちの探究心を形にする過程で、親御さんのサポートも必須だったと思います。親御さんも、お疲れさまでした!
子どもたちの「好き」は意外に身近なところにもあります。夏に見つけたものを、引き続き追いかけていってくださいね。
HugKum編集長・村上奈穂
【審査員】
高濱正伸先生(花まる学習会代表)
白數哲久先生(昭和女子大学准教授・NPO 法人ガリレオ工房理事長・ 「小学館の図鑑 NEO」 監修者)
小学館の図鑑NEO編集長・根本徹
HugKum編集長・村上奈穂
株式会社タカラトミー・東 宏幸
NEO 月でくらす展製作委員会
ずかんミュージアム銀座
小学館の図鑑NEO たんけん昆虫フェス
【小学館の図鑑NEO×HugKum 自由研究コンクール】2024年の応募について
■応募期間:2024 年8 月1 日~ 10 月31 日(予定)
募集作品の概要
2024年も夏休みの自由研究作品を募集する予定です。
応募の決まりと詳細は、2024年7月頃、HugKumサイト上にて発表予定です。皆さんのたくさんのご応募をお待ちしています。
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構成・文/HugKum編集部