ギフテッドと発達障害は分けて考えて!ASD、ADHDとはどう違う?3つのチェックポイントに沿って解説

ギフテッドとは、知能の高さを持つゆえに日常生活で生きづらさを抱えている子どものことをいいます。「発達障害」と混在されることもあるようですが、ギフテッドと発達障害の子どもでは、支援ニーズが違うため、分けて考える必要があります。今回は、「ギフテッド」と「発達障害」の違いをポイントに沿って解説します。

※ここからは『ギフテッド応援ブック』(小学館)の一部から引用・再構成しています。
ギフテッド研究者・当事者・保護者に繰り返し取材をした著者と、取材データを結晶させて生まれた架空のキャラクターとのQ&A形式で進みます。

「ギフテッド」と「発達障害」は分けて考える

『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』(片桐正敏編著/小学館刊)を発表後、幾度となく「ギフテッドというのは、発達障害なのでは?」といった質問を受けました。「なるほど。そこが伝わりづらいのか」と、大きな学びになりました。

一 伝わりづらい部分とは?

知的能力の高い子どもを理解していく上で、「『ギフテッド』と『発達障害』は、分けて考えることが重要」ということです。

一 なぜ、発達障害と分けて考える必要があるのですか?

ギフテッドへの支援は、ギフテッドの特性を理解した上で、その子が置かれている状況への慰労が必要です。また、ギフテッドの特性と発達障害が併存する子どもに対しては、2つの視点から見ていく必要があります。

この前段階として、とても大切なのは、「この子は、なぜ、生きづらいのだろうか? ギフテッドの特性があるからなのか? それとも発達障害の特性があるからなのか?」という問いです。

たとえば、ASD(自閉スペクトラム症)の特性の1つ、「こだわり」がある子は、興味関心のある分野についてかなり深い知識を持っているため、それを他者に滔々と話すことがあります。これはギフテッドに見られる知性過度激動の「知的好奇心が強く、言語発達も早熟。時として、周囲と話が合わずに困る」という状態と、一見すれば似たように見えることも多いでしょう。

ギフテッドは、総合的な学習の時間などの話し合いのある場面では、イニシアチブを発揮しながら、友達の意見を交えつつ問題解決に向けて学習を進めていくことが可能です。

ASDがないギフテッドの場合は、「話題がかみ合っていないな」と感じることもできますし、話をしている相手の感情なども感じ取ることができます。

もっとも、ギフテッドはクリティカルシンキング(批判的思考)を身に付けているので、話を聞くことができても「それが当たり前」という理由だけでは、納得はしません。

この場合、ギフテッドに対する関わりのポイントとしては、クリティカルシンキングができる力を活かして、丁寧に論理的な議論を重ねることで、お互いに納得できる折り合い地点を見つけていくことです。

大人としては、非常にしんどい関わりですが…。

ASDがあるギフテッド(2E)の場合は、意思伝達の方法や他者の感情、非言語的なサインの読み取りなど、対人コミュニケーションについての支援を行う必要があります。

診断には至らないまでも、ASDの特性をある程度持っているギフテッドの場合、どちらの支援も必要(特に対人コミュニケーションの支援)な場合もあります。

【発達障害を併せ持つギフテッドもいる】

ギフテッドの中には発達障害もある人がいて、このような人を2E(ツーイー)といいます。英語のTwice-Exceptional(二重に特別な支援を要する)からきています。

 

時々発達障害を否定したいがためにギフテッドであることを強調する人がいますが、発達障害は発達障害で、ギフテッドとは異なる支援ニーズがあり、アプローチも異なります。

 

両者をしっかり分けて考え、両方の特性がある場合は、発達障害に対する配慮や支援と、ギフテッドに対する配慮と支援、両方を考える必要があります。

このように、「ギフテッド」と「発達障害」は、支援ニーズが異なります。その子その子の支援ニーズを検討するために、ギフテッドという概念を、まずは知ってほしいというのが私の主張です。

ギフテッドとADHD

ギフテッドの行動の中には、「ADHD(注意欠如・多動症)の不注意特性や多動・衝動性の特性のように見えるものがあるが、質的には異なる可能性がある」と、複数の研究から示唆されています。

本項では、ギフテッド研究者のリンドがあげたチェック項目をもとに、考えていきましょう。

1.不注意や多動・衝動性が一貫して見られるか

基本的な考え方は、ASDと同じです。不注意や多動・衝動性が人や場所は関係なく一貫して見られるか?を観察します。ポイントとしては、本人が制御できるか・できないか、だと思います

ADHDがある場合にしばしば見られる過集中を取り上げて、ADHDとギフテッドの類似性を指摘する人もいますが、「ADHDの過集中」と「ギフテッドの過集中」は、厳密にはメカニズムが異なります。ここでの観察ポイントも、本人が自分の意思で注意を制御できているかどうかです。

ゲームをする子供
ギフテッドの場合、ゲームに熱中していても納得すれば中断できる

テレビゲームで、何時間も集中して遊ぶ場面を考えてみましょう。ゲームでは、魅力的な刺激が次から次へと飛び込んできて、退屈させずに報酬系を働かせる工夫が随所に施されています。

ADHDがある場合は、こういった魅力的で強い刺激を好みますし、刺激に引っ張られる形で、ゲームに注意を向け続けます。

ギフテッドの場合は、自分の興味関心の激しさから来る過集中です。自ら考えて解かなければいけない複雑で時間のかかるパズルなど、能動的に働きかける必要がある刺激に対して強い集中力を示します。ADHDの場合は、「難しくて、とても自分ではできない」と思われる課題では、注意の維持が難しく、すぐに別な刺激に注意を移すことが多いように思います。

ギフテッドの場合、「本人が納得すれば」やめられたりします。ある子は、保護者が「約束の時間だからやめなさい」と言ったところ、「あともう少しでセーブポイントだから、そこでやめる」と言って、少しプレイした後に実際にやめることができました。ADHDがある場合、見通しを示せず、わかっているけれどもやめられなくて、ズルズルやり続けることが多いようです。

2.「違い」を、課題別に考える

ADHDがあると、「宿題をしない」「忘れ物をする」「授業を聞いていない」「物事をやり遂げられない」といった課題を抱えがちです。同様の行動は、ギフテッドにも見られます。どう違うのかを課題別に具体的に考えてみましょう。

【課題①】 宿題をしない

宿題が好きな子の方が、珍しいでしょう。ギフテッドは、とりわけ書くことに対する拒否感が強い印象です。

宿題をやらない子供
ギフテッドの場合、すでにできることを繰り返し書くなどの意味が見いだせない場合が多い

ギフテッドの子どもたちは、「同じ文字を何回も書いて覚える」といった宿題を出されると、「できることを繰り返す意味が見出せない」と、ボヤきます。一方で、難解な課題に対しては、モチベーションが高まり、熟考を重ねます。だからこそ、ギフテッドへの宿題は、行動を引き出すような工夫が有効だと考えます。

【課題②】 忘れ物をする

ADHDがあると、不注意で聞いていない、聞いていても一部分しか聞いておらず、言われたことを全ては覚えていないので、忘れ物をします。ギフテッドも、指示を聞いていないことがあります。

どちらの場合も、指示を出す側が、子どもが聞いているかどうかを確認する必要があります。

学校の道具
ギフテッドの場合は、学校に持って行かなければならない理由に納得した場合は忘れ物をしない

ギフテッドは、話を聞いていたかどうかを確認し、「本人が納得した」指示であれば、守ってくれます。もっとも、「学校のルールだから」という理由だけでは、ギフテッドは納得しない場合もあります。ある時、忘れ物について話をしたことがあります。彼らにとって、「学校で使う道具」は大きな意味をなさないようで、「忘れるのが、当たり前だ」と、説明していました。

【課題③】 授業を聞いていない

ギフテッドの場合は、注意が逸れたのではなく、授業で気になったことをずっと考えている

ADHDがある子やギフテッドには、マインドワンダリングが存在することがあります。マインドワンダリングとは、注意すべき作業から注意がそれて、作業とは別のことを考えてしまう状態です。

どちらも授業を聞いていないように見えますが、質的には違います。ADHDのある子は、一言で言えば、気がそれているのです。「今、最も注目すべき事柄に注意を向ける力」を選択的注意といいますが、この力が弱いのです。ギフテッドは、授業がつまらなくて思考が離れる場合と、聞いていて気になったことが頭から離れず、そのことをひたすら考え続けてしまう場合があります。

たとえば、黒板の数式を見て、「違う解き方があるかも」と、それを考えることに没頭して、授業「には」集中していないといった感じです。この状態を「気になったことは、明らかにしたい特性」と解釈すると、ギフテッドの実情に近いです。

【課題④】 物事をやり遂げられない

ギフテッドは難しいものでも自分の興味関心さえあれば飽きずに没頭する

ADHDがあると、すぐに結果が見えない事柄には飽きてしまいます。外から得られる魅力的な外発的動機づけがないと行動の維持、持続が難しいからです。

ギフテッドは、自分の興味関心のあるものであれば、難しいものでもスイッチが入り、何時間でも没頭して取り組みます。これには、難しいものをやり遂げる達成感を味わいたいという内発的な動機づけが関係しています。

3.自分が納得すれば、行動できる

ギフテッドとADHDの違いを、課題ごとに考えてみました。ここまでの話を整理してみると、一貫して言えることは、ギフテッドは、自分で考えて、納得できない行動はしないということです。

その一方で、自分が納得したり、必要だと思う行動はかなりの割合で自発的にやることができるのです。

なぜなら、彼らは、自分が納得した事柄に対しては、きちんと行動の制御ができるからです。

学校のルール
ギフテッドは学校のルールではなく、自分の納得したルールに従う

「学校という場のルール」としてみれば、これらは課題なのかもしれません。けれども、大人の考えや学校の中での価値観を超え、自分で目標を決めて取り組んでいるギフテッドも数多くいます。

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※ここまでは『ギフテッド応援ブック』(小学館)の一部から引用・再構成しました。

「ASD」「LD」との違いは著書をチェック

監/片桐正敏  著/楢戸ひかる  監/小泉雅彦  マンガ/黒川清作小学館1760円(税込)

ギフテッド親子に贈る応援の書
幼児期から高い知能を示し、絵にも突出した才能を示していた少女、小川結衣。彼女はその能力と発達のアンバランスさゆえ、徐々に学校生活に適応できなくなり、小学5年生の春、ついに不登校になってしまう。困り果てた結衣とその母・さやかだったが、ある日、ギフテッドの子供たちのために居場所を提供している人物と出会う。その出会いが結衣の人生を大きく変えることになろうとは、その時の彼女は思いもしなかったーー。
本書は、こんなストーリーのマンガで始まります。
その後の解説本文では、最新の研究成果と知見を踏まえ、ギフテッドを理解するための基礎知識を専門用語を避けてわかりやすく解説。さらに、当事者たちの「生きづらさ」を「らしさ」に変えるために必要なサポートのあり方についても提案します。
マンガのストーリー後半、結衣とその仲間たちの成長を支えたものは、一体、何か?
最強の制作チームがお届けする最強の「ギフテッド理解&支援入門書」です。

著書では、ギフテッドの子どもの実例も数多く掲載

ここまで、ギフテッドと発達障害はどう違うかを、「マンガ&イラスト解説 ギフテッド応援ブック 生きづらさを「らしさ」に変える本」の内容に沿ってご説明しました

著書内では、さらに「ASD」「LD」などの発達障害、発達障害を併せ持つ2Eについてもポイントに沿って深く詳しく解説されています。

また、同書は実際にギフテッドの子どもたちが集まる場所へ取材した実例をもとに綴られており、実在するギフテッドの子どもの特徴もストーリー仕立てで数多く紹介されています。

ギフテッドの子どもたちのストーリーをマンガで読む

第1話は>>こちらから

生きづらさを抱えたお子さんのお悩みを抱えている親御さんの力になる一冊です。ぜひ同書を参考にして、子どもの「らしさ」を伸ばしてくださいね。

構成・文/HugKum編集部

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