「見る」「読む」「聞く」に課題のある子におすすめ
令和6年度より、英語はデジタル教科書が使われることになりました。小学5年生から中学3年までと限定的ですが、文部科学省はデジタル教科書の普及に本格的に取り組み始めています。また英語だけではなく、算数・数学も部分的にですが導入されるようになります。
特別支援教育では「手立て」をとても大切にしていますが、デジタル教科書には、「わかった」「できた」を積み重ねるさまざまな手立てが搭載されています。
たとえば、文字や言葉だけでは理解が難しい子でも、絵や写真という手立てを使うことで理解しやすくなります。
教師の説明を聞くだけでは伝わらない子には、動画という手立てがあります。動画なら繰り返し再生したり、説明の速度を調整したりすることもできます。
とくに「見る」「聞く」「読む」「書く」に課題のある子どもたちにとって、デジタル教科書は大変に役立ちます。
また、近年、問題となっている教員の多忙を手助けしてくれるのもデジタル教科書です。教科書会社によって多少違いますが、ほぼ共通している機能をあげてみましょう。
デジタル教科書を使うと、どんなことができるの?
大日本図書を例にとってできることを具体的に紹介します。
すべての漢字にルビ(ふりがな)をつけられる
読めない漢字がなくなることで、教科書へのハードルが下がります。
テキストを読み上げてくれる
読みに困難を抱えたディスレクシアの子でも、音声で理解できます。必要な箇所だけ読み上げたり、聞き取りやすいよう読み上げ速度を変えたりすることもできます。
読みやすい表示にカスタマイズできる。
背景の白がまぶしてく疲れる子のために、画面と文字の色を反転できます。また画面を見やすい色に変更することもできます。イラストや写真が掲載されたページのテキスト部分だけを抜き出して、文字サイズや書体、行間の調整も可能です。
動画でわかりやすく説明してくれる
聞いただけでは理解しづらい指示や手順を、動画でわかりやすく再生できます。
視覚支援に優れているのもデジタル教科書の特徴です。
外国語への翻訳してくれる
教科書会社のサイトでサンプル版が体験できます
デジタル教科書の使用は、まず担任に相談を
デジタル教科書は、原則として個人で購入することはできません。学校が教育委員会に申請をして教科書会社から購入します。デジタル教科書使用にあたっては、まずは担任の先生に相談してみてください。もし担任の先生の理解が得られないようなら、管理職の先生や特別支援コーディネーターに、あるいは校長先生に相談してみるといいと思います。それでも難しいようなら自治体の教育委員会にデジタル教科書を使用したい旨を伝えてみてください。
最初から教育委員会に申し出るのではなく、まずは校内の先生に。先生とのコミュニケーションを円滑にするためにも、順を踏むことをおすすめします。2023年4月1日から義務化される合理的配慮も追い風になるのではないでしょうか。
まずは、お子さんが使っている教科書会社のサンプル版で体験してみてください。
編集部註:教科書会社によって異なりますが、価格は200円〜2000円。費用は教育委員会が負担。
参考資料:文部科学省ホームページ「デジタル教科書に関する制度・現状について」