【双子の中学受験記】双子でも違うことだらけ!塾選びや勉強方法を試行錯誤した日々をふり返って、母親がいま思うこと

Hugkumでは、中学受験に取り組んだ親子を取材し、本音の体験談をお届けしています。
今回、お話してくれたのは、現在、中学生の双子のお母さんであるWさん(東京都在住)。性格も、得意科目・不得意科目も、勉強スタイルも違う、志望校も違う、双子ちゃんのぺーくん(仮名/公立中学3年/男子)&パー子ちゃん(仮名/都立中高一貫校3年生/女子)のリアルな受験(受検)体験記をお届けします。

 双子それぞれの受験がスタート

娘は塾へ、息子は通信教育を選択

―中学受験を考えた時期はいつ頃ですか?

親のほうは、小4のときです。娘は5年生の終わり頃ですね。後でお話しますが、娘が本気になるまで、けっこう、いろいろあったのです。最初は、都立の中高一貫校の文化祭を見に行き、娘がそのA校(後に進学)を気に入りました。それで、「A校に行きたいなら、塾に通わなくちゃね」ということで、都立の中高一貫校向けのコースがある塾に通い始めました。一方、息子のほうは、サッカーと柔道をやっていたので、塾より通信教材がいいということで、通信教材で勉強を始めました。

―勉強は順調でしたか?

娘は、塾に通い始めた途端、生活のリズムが狂い、学校の宿題もできなくなりました。塾の授業で夜遅くに帰宅したり、疲れがたまってイライラしたり…。うまく自分のペースに乗れず、結局、一年足らずで塾をやめました。

―受験もやめることにしたのでしょうか?

父親が強制的に止めさせた形になりました。娘に対して、「塾の宿題も、学校の宿題もやっていないよね。中途半端だよね。だったら、塾に行く意味ある? 無理に受験しなくてもいいのでは?」と言ったんです。親の気持ちとしては、勉強していないテキストやノートを見て、「月に何万円もお金を捨てているのと同じ。それはおかしい」という思いだったんだと思います。

―いったん塾をやめたのですね。

はい。5年生の間は、娘の好きにさせていました。このまま、受験しないだろうな~と思っていたんです。それでも、その年もA校の文化祭は見に行きました。すると、5年生の12月になって、突然、娘が「受験する」と言い出したんです。親としては、正直、「え!今から?? もう遅いのでは…」と思いましたが、本人が「どうしても受ける」と言うので、それならば、と…。

―また新たに塾に入り直したのですか?

前に通っていた塾には通いづらいだろうと思ったので、「同じ塾だけど、A校対策に特化したコースが別の校舎があるから、そこへ行く?」と言ったら、本人は、「いや、友達もいるし、元の校舎がいい」と言い張るんです。そこで、元の塾に再度行くことになりました。

―娘さんは自分なりに、しっかり考えていたのですね。

まあ、いろいろ考えたのでしょうが、親としては、半分ダメかもしれないと思っていました。

―息子さんのほうはどうでしたか?

母 息子は成績も割とよく、サッカーも柔道も続けていたので、5年生の間は、通信教材を使ってマイペースで勉強を続けていました。通塾したのは、6年生からです。

コロナに見舞われた6年生で課題が浮き彫りに

自宅学習ではメリハリのある過ごし方が大切。

自宅学習ではチャイムを鳴らして

―塾に再入塾し、6年生を迎えて「さあ、がんばろう!」となった矢先に、コロナ禍が起きました。

どうなることかと思いましたが、でも、学校が休校になっている期間、塾の復習に集中できたのは、結果的には良かったのかも…。よくよく見返してみると、娘は塾の勉強にまったくついていけてないことが分かりました。

―自主勉強が必要でしたね。

6年生ともなると、塾で教わるべきところは、すでに教わっている状態です。それが完璧に理解できていない状態で、実際の試験問題ができるわけはありません。ですから、息子の通信教材の5年生の分から全部コピーしました。通信教材だったので、丁寧な解説があるので助かりました。解説をヒントに、一つひとつ理解しながら勉強できますから。娘には「これからやりなさい」と言いました。

―自宅勉強のコツはつかめましたか?

学校の授業と同じようなペースで勉強しました。スマートフォンで時間を区切って、キンコンカンコンとチャイムを鳴らして…。1時間目、2時間目、3時間目…と規則正しく勉強させました。社会と理科は後で追い込みが効きますから、まずは算数と国語を初歩的なところから勉強していきました。

―二人は部屋で勉強しましたか? それともリビング学習でしたか?

リビング学習です。コロナの影響で、誰も家に遊びには来ないだろうからと、テレビを見るスペースを取り払い、息子と娘の学習机をリビングに置いて、さらに、リモートワークの主人のデスク、末っ子の学習机、合計4つの机を並べて、勉強する環境に模様替えしました。

復習の仕方を試行錯誤した日々

受験中に使った文房具は、本人の気分が上がるものを選んだ。

―成績の推移はどうでしたか?

娘は算数が苦手で、同じところを間違えているんです。単純な計算も苦手でした。㎗とかmlとか、単位も忘れちゃっているし、分数の計算も途中の式を書かないから、必ずと言っていいほど間違えてしまう…。でも、本人は「やり直したもん!」と反抗的な態度。親の言うこと聞かない感じでした。

―どうアドバイスしましたか?

「途中式を省略して最後まで正しく計算できるのは、天才だけだから、あなたはやめなさい」と言いました。コピーは2部ずつ取っていたので、本人が忘れた頃、3週間後くらいにもう一度、問題を解かせました。本人は「復習もした、出来なかった問題は見直した」と言っていましたが、実際には出来ていませんでした。

―問題の解き方が理解できるのと、それをもとに実際に自力で解答できるようになり、点数になるには、時間がかかりますよね。

まず、娘には「答えを写すのは、やめなさい」と言いました。理解して、自分ひとりで解けるようにならなくちゃだめだからと。本人も、「出来なかった問題は、正解を書き込んで、見直しは終わり」と思ってやっていたことが、全然役に立っていなかったことに、ようやく気が付いたようでした。

―本人の気づきは大切ですね。

模試で、苦手だった図形の問題が解けた体験も、娘にとってはターニングポイントになったようです。「扇形の問題、出たよ! できた!」と喜びました。それまでは私の言うことなんて素直に聞いたためしがなかったのですが、「お母さんの言うように、図形の問題を復習したら、模試で得点が取れた。お母さんの言うことを聞いておいてよかったかも…」というふうに気持ちが変化したみたいでした。

 双子それぞれの志望校選び

二人とも別々の都立中高一貫校を志望校に設定。

別々の都立中高一貫校を目指したが…

―夏期講習はどうしましたか?

娘は、都立中高一貫校対策のコースで、ガンガンお世話になりました。息子は、はじめは夏期講習には行かない予定だったのですが、サッカーでケガをしてしまい、1カ月は練習できない状況になったのです。それで、急遽、夏期講習に通うことになりました。

―双子で同じ塾の講習を選びましたか?

同じ塾、同じコースは嫌だということで、別々に通わせました。双子でも、性格も、好きな教科も違いますし、そこは本人の希望を優先しました。

―第一志望は都立中高一貫校ですね。二人とも同じ学校を志望したのでしょうか?

娘はA校が気に入っており、親子ともにA校が第一志望でした。私立校の併願は考えておらず、もし不合格だった場合は、地元の公立中に通わせるつもりでした。
息子のほうは、算数が得意なので、都立中高一貫校の中でも算数の配点が高いB校が向いているなと感じていました。

―確かに、都立中高一貫校と一口に言っても、試験問題の組み合わせや配点、内申点の比率などが学校によって違いますから、そこはわが子の成績や向き不向きと合わせて考える必要がありますね。

親としては息子にはB校が合っていると思っていたのですが、息子は、勉強していくうちに、意外なことを言い出しました。「私立校もいいなあ」と…。「12月や1月に私立校を受験して、受かったら、そっちに行ってもいいな」とまで言ったのです。

―私立校と都立中高一貫校では、試験科目や出題形式が大きく違うため、それぞれに対策が必要ですよね。併願校を探すのは大変ではなかったですか?

たまたま息子はもともと算数が得意で、理科と歴史も好きで、それなりに知識はあったので、私立校受験も可能だと考えました。

―すると、息子さんの第一志望校は?

最終的には、MARCHの大学付属校(C校)になりました。もちろんB校も受けますが、本人は両方受かったら、C校に進学したいようでした。

―息子さんも、自分なりに考えて第一志望校を選び出したのですね。

そうですね。そこまでは良かったのですが…。

―中学受験にはドラマがつきものだと言われますが、やはり波乱があったのですか? 

波乱! そうです。思ってもいなかった結果になりました。実は…。

 

双子ちゃんそれぞれのペースでスタートした都立中高一貫校受験。それぞれの目標に向かって受験に突入したところ、衝撃の展開に!(後編につづく)

 後編はこちら

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取材・文/ひだいますみ

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