ファン待望「チ。 ―地球の運動について―」がTVアニメで遂に放送！本作の魅力と初回放送を最速レビュー【ネタバレあり】

「葬送のフリーレン」のマッドハウス制作のTVアニメに期待

地動説を証明することに自らの信念と命を懸けた者たちを描く熱き物語「チ。 ―地球の運動について―」。子どもから大人まで、幅広い世代を魅了してきた同作のTVアニメが、10月5日（土）よりNHK総合テレビ（毎週土曜午後11時45分）にて放送されます。

今や誰もが知る地動説とは、宇宙の中心は太陽であり、地球は他の惑星と共に太陽の周りを自転しながら公転しているという学説のこと。ところが古き時代は、地球が宇宙の中心であるとする天動説（地球中心説）が正しいとされ、地動説を探求する者は恐ろしい刑罰に処せられていたようです。そんな知られざる物語に興味津々！

TVアニメを手掛けたのは、人気アニメ「葬送のフリーレン」や、同じく10月からスタートする「トリリオンゲーム」などを手掛けるスタジオ・マッドハウスということで、クオリティーはお墨付き。国内最大級のエンタメ系レビューサービス「Filmarks」の2024年秋アニメ期待度ランキングでは、堂々1位をマークしています。

坂本真綾ら人気声優陣や主題歌、エンディング曲のアーティストまで豪華な布陣に

舞台は15世紀のヨーロッパ某国で、地球が宇宙の中心であり、その周りを惑星が動いているとする“天動説”こそがこの世の真理だとされていた時代です。その理を覆すようなことを信じたり、研究したりすること自体が重罪とされている中、謎めいた学者フベルトとの出会いで地動説の可能性を知った神童ラファウは、強烈な知的好奇心に駆り立てられます！

周囲から天才だともてはやされ、自分でもそのことを確信し、常に合理的な行動をとってきたラファウ。将来を嘱望され、大学進学も決まっていたはずなのに、フベルトとのやりとりを経て人生の歯車が狂いだします！ラファウを突き動かしたのは、もっと地動説を知りたいというひたむきな情熱でした。人生において、一番大切なものを見つけてしまったラファウの運命はいかに!?

まずは、物語に息吹を注いだ人気声優陣に注目。主人公のラファウ役を「黒執事」のシエル・ファントムハイヴ役などの人気声優で、女優、アーティストとして活躍する坂本真綾が、異端審査官ノヴァクを「呪術廻戦」の七海建人役などで知られる津田健次郎が、謎の学者フベルトを「グレンダイザーU」の弓弦之助役などを務めた速水奨が演じています。

オープニング主題歌は、サカナクションの２年ぶりとなった新曲「怪獣」で、初めて手掛けたTVアニメ主題歌となりました。また、エンディグ曲はヨルシカの歌う「アポリア」。両曲とも本作の世界観とマッチしたドラマチックなナンバーに仕上がっています。

アニメ作品ならではの美しい夜空や豊かなキャラクターが心を鷲づかみ

いち早くTVアニメの2話分を拝見しましたが、原作の世界が細部に至るまでちゃんと具現化されている印象を受けました。主人公役の坂本さんは、「好青年」という仮面を被った自信家である一面と、純粋な研究者としての崇高な一面の両方を余すことなく体現。最初は鼻につく生意気な少年だったラファウですが、見ていくうちにこの上ない魅力を放っていくというグラデーションのあるキャラクターになっています。

また、とてもフレンドリーでユーモラスな一面と、容赦なく人を拷問できる残忍さをあわせ持つヒール、ノヴァク役を演じる津田さんのイケボも最高です。そして、ラファウに多大な影響を与えていく学者フベルトの空恐ろしさと、ラファウと同じく優れた研究者ならではの情熱を、重厚な声で表現する速水さんと、それぞれにキャスティングがハマっています。

そして特筆すべきは、本作で間違いなく肝となる、美しい星空のシーンです。ラファウが地動説の可能性を見出す夜空にふさわしいビジュアル表現になっていて、物語に説得力を与えているかと。画面いっぱいに広がる宇宙につながる広い空は、まさに人生を捧ぐに値するきらめきを放っています。

きっと大人たちは、激しく心を揺さぶられ、命まで懸けられるほど夢中になれるものと出会ったラファウを、羨望の眼差しで見てしまうことでしょう。また、子どもたちも、いつかそういうものに遭遇することへの憧れを抱くのではないかと。人が生きていく上で、そういうものとの出会いが、どれくらい人生を輝かせるか、また心を豊かにしてくれるのかを、改めて再認識させられる気がします。

とにかく本作の1話、2話を見れば、なぜ原作コミックがここまで高い評価を受けているのか、納得させられると思います。ぜひ、親子でご覧いただき、アフタートークも含めて楽しんでいただきたいです。

©魚豊／小学館／チ。 ―地球の運動について—製作委員会

文／山崎伸子