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子どもがお手伝いに興味を示さないときには?
これまでさまざまなお手伝いのお話をしてきました。「お手伝いしてくれる?」という誘いに応えて、張り切ってお手伝いをするようになった子がいる一方で、一向にお手伝いに興味を示さない子もいるのではないでしょうか。
「簡単だよ」「一緒にする?」「すぐ終わるよ」などと言ってみても、一向に興味を持たず、動こうとしない。こんな時にはどうしたらいいでしょうか?
報酬系機能の障害があることも
お手伝いをやらない原因としては「提案された家事に魅力を感じない」「疲れていたりストレスがある」「お手伝いを提案してくる親との関係が良好でない」などが考えられます。
その場合は「本人が興味が持てるお手伝いを探す」「疲れやストレスの原因を探して対策する」「親子関係の改善を図る」など、それぞれの原因に応じた対応を試みましょう。
ただ、これといった原因がないのに、誘ってもどうしてもお手伝いに向かわない場合、報酬系機能の障害があることがあります。
報酬系機能の障害とは?
報酬系機能の障害は遅延報酬障害とも言われ「これを頑張れば褒めてもらえる」「これができたら達成感を得られる」など、少し後に得られる報酬のために我慢したり頑張ったりする力が低いというもので、発達障害の特性のある子には往々にして見られます。
報酬系機能の障害がある子どもは、直ぐ得られる報酬ばかりに行動が傾きがちです。つまり「楽しい」という報酬がすぐに得られるゲームやおもちゃで遊びたくて「ゲームばかりで宿題をしない」「食事中におもちゃで遊びだす」というようなことになるのです。

報酬系機能の障害がある子どもたちをお手伝いに誘うための工夫
これまでにもお話してきたように、お手伝いは子どもの成長において大きな意義があります。ですから報酬系機能の障害のある子にもぜひお手伝いをしてほしいのです。それにはどうしたらいいのでしょうか。
パッと見ておもしろそうなお手伝いを選ぶ
彼らは、遠くの報酬を得るために頑張ることや我慢をすることは苦手です。しかし、パッと見ておもしろそうな活動であれば、活動自体の楽しさやおもしろさが報酬となって取り組めるかもしれません。
そこで、そのような活動から始めることを考えます。例えば、晴れた日に布団叩きで布団を叩く、じょうろで植木に水やりをする、などです。

ご褒美をあげる
もう一つは、ご褒美をあげる方法です。例えば、お手伝いをしたらポイントをゲットできることにして、一定のポイントがたまったらご褒美をあげるようにします。靴を揃えたら1ポイント、風呂掃除は3ポイントなど、お手伝いごとにポイント数を決め、20ポイントたまったらご褒美をあげるというようにします。
ご褒美は、夕食のおかずをその子のリクエストで決める、その子のリクエストするところに遊びに行くなどもいいでしょう。お手伝いする子もうれしいご褒美ですし、下の子がいれば「お兄ちゃんがお手伝いしてくれたからお出かけできるね」と喜んでくれるかもしれません。
ご褒美には社会的称賛を添える
大切なのは、最初のうちはお手伝いの仕事量を少なめにすること、そして、ご褒美には褒める、感謝するなど、社会的賞賛を必ず添えることです。
「ご褒美をもらえるからやる」から「みんなが喜んでくれるからやる」に行動のモチベーションが変わることを願って、社会的賞賛を忘れずに添えましょう。

ただ、中には、社会的賞賛が全然モチベーションにならない子どももいます。その場合は、徹底して「パッと見ておもしろそうで活動的なお手伝い」を提案する、お手伝いをしたら大好きな動画を見れるようにして本人だけの喜びを補償するなどしてみましょう。
大人がきっかけを作り、やってみたらお手伝いの内容がわかり、やるのが嫌ではない、面倒ではない、そして当たり前になることはよくあります。工夫してきっかけをつくり、無理のない範囲で少しずつ、お手伝いに取り組むように応援してあげてください。
第9回 ポテトサラダづくりのお手伝い
子どもは、崩す、壊すが大好きです。崩す、壊す、混ぜるなどの過程があるポテトサラダは、なかなかお手伝いに向かえない子どもも喜んで取り組むので、お手伝いのきっかけになり得る料理です。
対象:2歳から
期待できる効果:
・崩してOK、壊してOKなので、他のお手伝いに気が向かない子が、お手伝いを始めるきっかけになる
・実体験で温度や時間を感じることができる
・人からの依頼を受ける対応力
・家族に喜ばれることで勤労意欲が育つ
・仕事を任せられることで責任感が育つ
・家族の役に立つ経験ができる
僕の私の「ポテトサラダ」 (2人前)
材料
じゃがいも 2個
ハム 適量
胡瓜や人参、玉ねぎなどの野菜
マヨネーズ 大さじ2
塩 小さじ1/4
胡椒 少量
用意するもの
調理用ボウル
マッシャー(棒タイプ、特にY字型は底面が大きく、たくさんの量を素早くつぶせる)や、めん棒など
ラップ
調理用温度計(必要に応じて)
準備
1.じゃがいもは泥をきれいに洗い落とす
子どもがやりたがったらやらせる
2.胡瓜は、食感を楽しめる2~3mmがオススメ
塩もみしない場合:しゃきしゃきした食感
塩もみした場合 :やわらかい食感になり、ポテトサラダになじみやすくなる
どちらにするか、子どもと相談するのもよい
3.玉ねぎと人参はスライスして耐熱皿に乗せ、レンジ600W で1分半程度加熱
玉ねぎから水分が出るので絞る
※玉ねぎは加熱すると甘みが出る
4.ハムは短冊切り
※たんぱく質が入ることでアミノ酸のうまみを加える。見た目も華やかになる。
調理
1.じゃがいもは皮ごとラップで包んで数か所穴をあけ、レンジ600W約4分加熱
上下をひっくり返して、さらに約4分加熱。
※サイズによって加熱時間が変わるので、竹串で刺してみて火の通りを確認する
2.じゃがいもが熱いうちに皮をむく
※とても熱いのでここは大人がする
3.じゃがいもをボウルに入れて、子どもにマッシャーやめん棒などでつぶしてもらう
4.40℃(手をかざしてほんのりと温かいくらい)になったらマヨネーズを入れる
※粗熱をとることでマヨネーズが分離しないし、じゃがいもに味がなじみやすい
※細かくマッシュした時には、マヨネーズをたくさん入れるとおいしい。
※じゃがいもに酢やフレンチドレッシング等を混ぜて下味をつけると、マヨネーズも馴染みやすくなり、おいしくなるが、酸味が苦手なお子さんには控える
5.全体が混ざったら野菜を加えてよく混ぜる
6.塩と胡椒で味を整える
発達障害の特性のある子どもの場合の注意
じゃがいもをつぶす作業や混ぜる作業はふざけてもそれほど問題は生じませんが、調味料を入れるときには配慮が必要です。例えば、塩や胡椒をふざけて大量に入れてしまうと大変です。せっかくの楽しいお手伝いの時間が、叱り、叱られる時間になってしまいます。
ところが、困ったことに遅延報酬系の障害のあるお子さんは、ここで塩や胡椒をドバっと入れるのを我慢できないことが多いのです。ではどうするか。
適量の調味料を小皿などに分けて入れておきましょう。その上で「マヨネーズを全部入れてちょうだい。味見して足りなかったら言ってね」と言い、足りないと言ったら、またマヨネーズを小皿に足すようにします。
お子さんが調味料を慎重に入れていたら「慎重にやってるね」「かっこいい」「素敵」などの言葉をかけましょう。
もし、小皿の調味料を一度にバッと入れてしまっても、怒らずに、味が整ったら「いいね」「できたね。ありがとう」と言って終わりにしましょう。
つぶしたり混ぜたり! 楽しくポテトサラダをつくりましょう
ポテトサラダが大好きな子どもはたくさんいます。子どもはつぶすのも混ぜるのも大好きです。ポテトサラダづくりがきっかけになってお手伝いに興味を持ってくれるかもしれません。
親子で相談しながら、どうしたらもっと美味しくなるか、材料や調味料、調理方法を工夫して、我が家のポテトサラダのブラッシュアップするのも楽しそうです。
ぜひ、お子さんと一緒にポテトサラダを作ってみてください。
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