清水の舞台から飛び降りる覚悟!「家庭教師選び」の決断で、蓄えの底が尽きる!?【シングルマザーの中学受験奮闘記|全寮制中高一貫校までの道のり】

家庭教師と子供

偏差値30台の息子が志望校に選んだのは、偏差値65の全寮制中学校。家庭教師をつけて勝負に出ることにした母。しかし、選択肢は無数。中途半端な投資をするべきではないと悟り、母が下した最後の決断とは?
親子の葛藤と成長を描く感動の実話、第9話をお届けします。

【前回までの流れ】
●偏差値65の志望校が決まり、息子も徐々にやる気を見せ始める。
●しかし、成績はなかなか伸びず、母は家庭教師をつけることを決断。

前回の記事はこちら
禅寺修行からの…塾&家庭教師 ダブル投資!? 入試まであと半年、母が下した最後の決断は…

家庭教師を頼むことに決めたけど、モヤモヤとした思いが出てくる

息子には「家庭教師をつけて一緒に頑張ろう!」と言ったものの、これから新たにどれほどの学費がかかるのか…。もし受かったとなれば、当然入学金やら支度金やらが必要になるし、蓄えが底をついてしまうことを考えると、正直、不安で仕方がありませんでした。

さりとて、これは親の問題であるので、そんな不安な私の気持ちを、息子には悟られないよう、努めて明るく接していました。

それにしても2年半も塾に通わせて成績は上がらず、さらに家庭教師を頼むことになるなんて。「そもそも塾選びが間違っていたということなのかしら?」などと自問自答もしていました。

思い返してみると、塾選びにしてもかなり適当で「みんなが行くから」と安易に決めてしまいました。ですから、塾の先生たちの教え方が上手とか下手とか、息子に適しているかどうかなんてことは気にも止めなかったのです

しかしながら、今さら過去のことを考えたところで、受験日は目と鼻の先に迫っている。「うだうだと考えるより行動あるのみだ!」と思い直し、家庭教師を派遣してくれるサービスを探し始めました。

手っ取り早いところで、テレビCMでもおなじみのT社に電話をしてみることに。電話に出た営業担当者は、こちらの事情は百も承知と言わんばかりに、「では、明日の午後にでもお宅へ伺わさせていただきます」と提案してきました。私も二つ返事で、提案通りに翌日来てもらうことにしました。

電話

翌日、約束の時間に営業の方が訪ねてこられました。挨拶もそこそこにリビングの椅子に腰掛けるや否や、家庭教師の派遣サービスについて、立板に水のごとくツラツラと説明を始めました。

説明を聞きながら、心の中では(なんとも慣れた感じ)と思ってしまいました。まるで、私たち親子が追い込まれている状況をつぶさに知っているかのように、ツボをついた提案してくることにも驚いてしまいました。

そして、「実は、集合型の塾の教え方が合わないお子さんは意外と多いんですよ。入学試験の半年くらい前になると、お問い合わせやご相談が多くなるんです。ですから、この時期は毎年忙しくなります」と営業さん。そんな話を聞いて(息子が言っていたのは、本当なんだわ…)とあらためて納得しました。教え方にも向き・不向きがあることを痛感したのでした。

私はこれまで、塾の教え方が息子に合っているかどうか疑問にも思わず、ただ息子のやる気のなさを責めるばかりでした。その反省も込めて、家庭教師選びについて慎重に進めることを決意しました。

「先生には4つのレベルがあります。エクセレントコース、ゴールドコース、シルバーコース、そして大学生家庭教師です。どのレベルをご希望されますか?」という営業さんの問いに、内心では(エクセレントコースをお願いしたい)と思いましたが、その金額を聞いて息をのみました。

懐具合と先生のレベルをはかりながら、ゴールドコースでスタートすることにしました。

ゴールドコースの授業、そして新たな提案

コースが決まったことで、早速翌日から、ゴールドコースの30代後半の有名国立大学を卒業した先生が来てくれました。物腰が柔らかく、期待できそうな先生だと思いました。初回の授業を終えた後、息子に感想を聞きました。

「ママ、正直に言っていい? 今日来てもらった先生は塾の先生と変わらない気がした。それに、先生は終了時間を気にして、10分前には日誌を書き始めていたよ」と息子が言うので、「あらそうなの!?」と意外な感じがいたしました。見かけだけでは、わからないものです。

このとき、「お金のことを気にしながら先生を選ぶことは、塾選びの失敗を繰り返すだけなのでは?」という思いが頭をよぎりました。

思い切ってT社に電話をし、先生の変更ができるかどうかを確認しました。担当者は間髪入れずに、「この地域には第一志望校合格率98%の合格請負人と呼ばれる先生がいます。ただし、料金は張ります」と提案してきました。

お金

息子と一緒に「清水の舞台」から飛び降りることを決意

あまりの金額に即決はできませんでしたが、「一両日中には返事をします…」とだけ告げ、電話を切りました。息子のためには合格請負人に依頼したいとこなれど、料金的なところでなかなか決断ができませんでした。それで、会社の同僚、河田さんに相談をしました。

納得の行かない家庭教師にお願いするくらいなら、やめたほうがいいんじゃないですか? 息子さんを支援すると決めたんでしょ? だったら、後悔しないように合格請負人と呼ばれる人にお願いしたほうがいいと私は思いますけど」という河田さんの言葉が胸に響きました。

その言葉を聞いて、息子のやる気にかけることにしました。お金はなんとかするとして、清水の舞台から飛び降りたつもりで、合格請負人の先生にお願いする決意をしたのです。

握る手

今回の学びと葛藤《まとめ》

●家庭教師選びは、金額以上に覚悟が試される

●迷ったときは、後悔しない選択をすることが大切

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執筆/清宮ゆう子

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