娘と一緒にお風呂に入るのはいつまで? シングルファーザーになって変化した気持ちを振り返る【シングルファーザーのひとりごと】

HugKumの好評連載【シングルファーザー奮闘記】のライターが紡ぐ、父と子のひだまり日常エッセイ。今回は「娘との入浴」について、当時を振り返って綴ります。
(執筆/ひまわりひであき)

娘が3歳のときに妻が大腸癌とわかってから1ヶ月で他界。僕は突然シングルファーザーになってしまいました。娘と共に戸惑い先が見えない状態でしたが、たくさんの方が支えてくれたおかげで、娘は順調に成長することができました。

その過程の中で、娘のお弁当作りなど、妻の他界後に僕が初めて挑戦しなければならないことがたくさんあったのですが、以前から僕が担当していたこともありました。

そのひとつが娘をお風呂に入れることでした。今回はそのことについてお話しさせてください。

娘とのお風呂は毎日の癒し

妻が生きていた頃、娘のお世話のほとんどを専業主婦として頑張ってくれていた妻が行っていたので、僕はお手伝いをすることはあっても、常に僕が担当していることはあまりありませんでした。

でも、その中で娘をお風呂に入れることは、ほぼ毎日僕が担当していました。担当していたというより、僕がそうしたくて、本当は妻と入りたい娘をいつも説得しながら一緒に入っていました。

それは僕にとって、娘を独り占めできる貴重な時間だったし、仕事の疲れを吹き飛ばしてくれる毎日の癒しでした。

だから妻が娘と僕に「パパといつまで一緒に入るのかな?」と問いかけてきたときは、「小学校6年生まで一緒に入るよね」などと僕は娘に同意を促しながら答えていたのをよく覚えています。

妻の他界後、僕の気持ちに変化が…

しかし、妻が他界してからは、娘と一緒にお風呂に入ることを億劫に感じる日が…。

自分本位な僕の本当に恥ずかしい話ですが、仕事している時間以外のほとんどを娘と一緒に過ごすようになった僕は、お風呂はひとりで湯船に浸かりリラックスしたいと思うようになっていました。

その気持ちは娘が成長するたびに強くなっていき、娘が小学生になると同時にひとりでお風呂に入ってもらおうと考えはじめたのです。

その第一歩として、水や泡が顔にかかることを非常に怖がって、自分で髪をしっかりと洗えない娘の課題解消に取り組み始めました。

はじめは、洗い方を教えてもやろうとしなかったし、娘の顔に水がかかることを気にせずに髪を洗ったりしていたので、慣れるどころか大泣きして上手くいかなかったのですが、家の近所にあったプールへ遊びにいくようになってから、娘は水が怖くなくなったようです。

自身から「パパ、もう顔に水がかかっても怖くないよ」と言いながら水が出ているシャワーを顔に向けて見せてくれたときの感動は今でも忘れられません。当然、髪も自分で洗えるようになりました。

娘からの思わぬ抵抗

これで、娘が小学校に入学すると同時に僕はひとりでお風呂に入れるだろうと考えていたのですが、そう簡単にはいきませんでした。

理由は、僕とお風呂に入って遊ぶことが娘の毎日の楽しみのひとつになっていて、「パパと入れないなら、もうお風呂に入らない」と思いもよらない抵抗を受けたのです。

髪を自分で洗えるようになったし「もうひとりで入ってくれー」という気持ちはありましたが、そんな娘の気持ちがうれしくもあり、小学校に入学後も一緒に入ることをやめられませんでした。

妻が生きていた頃は、僕のほうが娘と一緒に入りたくて仕方がなかったのに、いつの間にか僕と娘の気持ちが反対になっているのがおかしいですよね…(笑)。

以前は、「小学校6年生まで一緒に入るよね」と娘に同意を促していたくせに、都合のいい父親だと自分でも思います…。

結局、娘が4年生に上がるころまで一緒に入りましたが、娘の身体が成長していることを感じるたびに僕は照れ臭くなっていき、最後は値段が高めでいい香りのするボディソープやシャンプーを娘専用で購入してあげることで、ひとりで入ることに納得してもらいました。

期間限定でかけがえのない時間

妻が他界する前後で、娘と一緒にお風呂に入ることに対する僕の思いは変化していきましたが、今振り返ると、娘と一緒にお風呂に入って過ごした時間のすべてが本当に貴重なものでした。

湯船に浸かりながらたくさんの曲を歌ったこと、人形や船のおもちゃなどを使っていろんなストーリーを創って遊んだこと、せっかくの温泉で湯船が熱すぎてふたりとも入れなかったことなど、思い出を挙げればきりがありません。僕と娘にとっては最高の宝物の一つです。

いつまで子どもと一緒にお風呂に入るかは、それぞれの親子によって考え方が違って当然ですし、正解はわかりません。また、子どもが異性の場合は、本人の気持ちを尊重することはもちろん、精神的な自立や、健全な性意識を育てるうえでも議論されるべきと思います。

さらに、公衆浴場で混浴が可能な年齢は、2020年、厚生労働省によって「10歳以上」から「7歳以上」に改正されました。このことから近年の性に関する国内外の捉え方が伺えます。

それらを考慮すると、親子での入浴はできるだけ早くやめたほうがいいと思う方が多いかもしれませんが、僕はそれぞれの親子の気持ちを優先して決めることが大切だと思います。なぜなら、親子でお風呂に入る時間は、どの親子にとっても永遠ではなく期間限定だからです。だからこそ、一般的な傾向だけに捉われず、それぞれの親子にとってベストだと考えた期間こそが、その親子にとっての正解だと思います。

なにはともあれ、親子一緒に現在お風呂に入っている皆さんには、そんな期間限定でかけがえのない今を思いっきり楽しんでほしいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。すべての親子が幸せになりますように!

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文・構成/ひまわりひであき

※写真はイメージです。

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