※ここからは『障がいのある子どもを育てながらどう生きる?』(WAVE出版)の一部から引用・再構成しています。
まずは子どもの障がいを受け入れ、価値観を変えることから
子どもの成長は予測しない

障がいがある子どもを育てる人は、異なる時間軸においても不安を感じます。
・障がいがあることが判明し、不安が込み上げてきた「過去」
・ほかの子どもより発達が遅れていることを直視せざるを得ない「現在」
・これから成長していくのだろうかという不安が募る「未来」
しかし、本当は将来のことなんて誰にもわかりません。希望が持てないぐらいなら、子どもの将来なんて考えないほうがいいし、安易な予測もしないほうがいい。
どうなるかわからない将来よりも、目の前の子どもにしてあげられることや、自分の生きがいについて考えたほうがよっぽど堅実です。
不確実な将来よりも、目の前の子どもに集中する。
時には自分で育てることを諦める
子育ては諦めることから始まる

諦めることはネガティブなことではありません。それは「叶わなくなったことに見切りをつけ、これからを考えること」であり、「厳しい現実の中でも大切なものを選び取っていく行為」だからです
親には皆「思い描いていた子育て生活」があります。しかし、それにこだわっているままだと、合理的な判断ができなくなってしまいます。
過去に区切りをつけ、目の前の子どもだけに集中すると、長所や伸びしろに気がつきやすくなります。
障がいのある子の子育ては「ない状況」から「あるもの」を見つけ出す行為でもあります。諦めることは生活の中の不要な思考を消し、生活の中に「あるもの」が見えやすくなる意識のフィルターを手に入れることなのです。
最後に諦めなくてはならないのは、「子どもの面倒を見続けること」です。親は子どもより先に亡くなります。子どもの世話をすべて親がしてしまうことは、親亡きあとの子どもの生活のあり方を狭めてしまう可能性もあるのです。
「前向き」に諦めると、本当にやるべきことが見えてくる
自分も子どもも優先する
子育て中に自分のことを後回しにしない

「自分のことを後回しにしてでも、子どものことをしてあげたい」———障がいのある子どもを育てる親は、このような気持ちになることがあります。
しかし子どもを優先するあまり、自分のことを後回しにし続けると、後悔が生まれることもあります。子どもの成長とともに親も年をとり、できることが少なくなっていくからです。
子どもは学校卒業後に就労できなかったりすると、学校に通っていた頃よりも長い時間を家で過ごすようになります。もし、子どもが自分で身のまわりのことができない場合、学校を卒業したあとは、親が個人的な時間を確保することは難しくなるかもしれません。
障がいのある子の子育ては「子どものことと自分のことを両立する」が基本となります。子育てに必要なことに取り組みつつ、自分のやりたいこともある程度やれている、そういう状態を目指すのです。
子育ての時間は、親にとっても貴重な時間になる。
子どものために、あえて「共働き」をする
私たち夫婦は共働きです。私たちが共働きを続けたのは、子どもと過ごす時間が減ることを差し引いても、メリットの方が大きいと感じていたからです。
子どもが幼い頃からサービスを利用しながら共働きをベースにした生活をしていると、子どもが親と離れて過ごす生活の仕組みができ上がります。親に不測の事態が起こっても、子どもの生活スタイルは変わらないため、子どもの安心感を確保することになるのです。
どんなに子どものことで悩んでいても、仕事に集中しているときだけは忘れていられるので、子育てに対する心理的な距離も取りやすくなります。
私は仕事をしているとき、息子に対する自分の言動をふと思い出しては「あれはまずかったな……」と反省することが少なくありませんでした。仕事をすることは、子育てに客観的な視点を持ち込む機会にもなるのです
共働きは親の経済的、心理的リスクを低くする。
最後まで子どもの面倒を見続けられないからこそ
子どもの教育は人にまかせる

教育は、親亡き後の生活に必要な能力を身につけるためのものでもあります。親がいない状況で能力が発揮できるようになることを目標にすると、「成長過程から、親がいない状況で学習や経験を積み重ねる」ことも大切になります。
成長した子どもは、親がいないところで、自分で考えて判断しなければならなくなります。教育のアウトソーシングは、その状況に備えるための準備にもなるのです。
「親だけができること」以外はアウトソーシングする。
※ここまでは『障がいのある子どもを育てながらどう生きる?』(WAVE出版)の一部から引用・再構成しています。
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障がいがある子どもの子育てはいつまで続くかわからない。
育児、教育、仕事、時間、お金、周囲との関係、親亡きあとの子どもの将来、そして自分の人生———
親であるあなたのことを後回しにしないために。
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親の生き方は子どもにも伝わる。まずはあなたが軽やかに生きる。
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構成/kidamaiko