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8月29日は「ケーブルカーの日」
毎年8月29日が「ケーブルカーの日」であることをご存じでしょうか。これは、1927年(昭和2年)のこの日に、奈良県の生駒山で日本初のケーブルカー「生駒鋼索鉄道(現在の近鉄生駒鋼索線)」が開業したことに由来した記念日です。
このケーブルカーは古くから信仰を集める宝山寺への参拝客を運ぶために、ふもとの鳥居を始発駅として作られました。

Photo by Kansai explorer, CC 表示-継承 3.0, wikimedia commons
ケーブルカーのしくみ
ケーブルカーが急な斜面をスムーズに登れるのは、山の上にある巻き上げ機の強力なモーターでケーブルを引っ張っているためです。多くのケーブルカーでは、山の上と下の車両が井戸の「つるべ」のように、片方が上がるともう片方が下りてくるというしくみで動いています。
ちなみに、ケーブルカーは線路の上を走るため、法律上は「鉄道」の仲間に分類されます。空中に吊るされたゴンドラが移動するロープウェイとはこの点が大きく異なります。こうした豆知識を知ると、子どもとの会話も弾んで移動が楽しくなりますよ。
家族でケーブルカー&ロープウェイに乗りに行くメリット

ケーブルカーやロープウェイでのおでかけは、家族にとってうれしいことが盛りだくさん。どんな楽しみがあるのか、具体的に見ていきましょう。
メリット1:手軽に楽しめる絶景と自然
ケーブルカーやロープウェイは、小さな子ども連れや体力に自信がない方でも、気軽に高い場所の目的地へと向かえる便利な乗り物です。
険しい山道を歩かずにすむだけでなく、車窓に広がる雄大な景色や季節によって移り変わる自然の美しさに触れることもできます。
メリット2:アトラクションのような非日常体験
急な斜面を登っていくケーブルカーや、空中を散歩するように進むロープウェイは、乗ること自体が非日常の体験になります。
いつもと違う高さから見る景色や心地よい揺れは、子どもたちにとって新鮮な刺激です。遊園地のアトラクションともひと味違う、雄大な自然に包まれる特別な時間となるでしょう。
メリット3:子どもの知的好奇心を刺激
普段と違う乗り物は、子どもの知的好奇心の宝庫です。「あの川はどこから来るの?」「どうしてケーブルカーは急な坂を登れるの?」といった素朴な疑問も、学びへの大切な入り口になります。見える景色や街並みから地理への関心を深めたり、乗り物が動くしくみから科学の面白さに気付いたり。
その場で答えられなくても「家に帰ったら一緒に調べてみよう」と会話を続けることが、子どもの探求心を育むきっかけとなるでしょう。
メリット4:おでかけの計画が立てやすい
ケーブルカーやロープウェイは基本的に運行時刻が決まっているため、移動時間が明確で、旅行全体のスケジュールに組み込みやすいという利点があります。さらに展望台や食事処、ふもとのお土産店といった観光施設が併設されている場合も多く、乗り物に乗ることとあわせて周辺を楽しむ計画が立てやすいのも魅力です。
子どもと一緒にケーブルカー&ロープウェイに乗るときの注意点

ケーブルカーやロープウェイを利用して楽しいおでかけにするために、いくつか知っておきたい注意点があります。子どもと一緒に乗車する前にぜひ確認しておきましょう。
注意点1:天候・運行状況の確認
ケーブルカーやロープウェイは強風や大雨、積雪などの悪天候によって運休することがあります。おでかけの前日や当日の朝には、必ず公式サイトや電話で運行状況を確認しましょう。
また山の天気は変わりやすいため、現地周辺の天気予報もあわせてチェックしておくと安心です。
注意点2:服装と持ち物の準備
山の上はふもとよりも気温が低いことがほとんどです。特に夏場でも、標高が100m上がるごとに気温は約0.6℃下がるといわれています。夏でも上から羽織るものを一枚多く持っていく、冬は防寒対策をしっかりするなど、季節と標高に合わせた服装を心がけましょう。
また飲み物や軽食、念のための酔い止め薬なども準備しておくと便利です。
注意点3:乗車中の安全
乗り物の中では、窓から手や顔を出したり立ち歩いたりしないように、子どもと一緒にルールを確認しておきましょう。
ホームでの乗り降りの際も足元に注意し、子どもの手をしっかりつなぐことが大切です。特に混雑時は、はぐれないように注意が必要です。

注意点4:乗り物酔いや体調変化への備え
普段は車に酔わない方でも、ケーブルカーやロープウェイ特有の揺れや高さで気分が悪くなることがあります。心配な場合は、事前に酔い止め薬を飲んでおくとよいでしょう。
また標高が高い場所では、まれに高山病のような症状(頭痛、吐き気など)が出ることがあります。子どもの様子をよく観察し、少しでも体調に変化が見られたら無理せず休憩をとるようにしてください。
注意点5:混雑や待ち時間への対策
観光シーズンの週末や連休は、ケーブルカーやロープウェイ乗り場が普段以上に混雑することがあります。長い待ち時間で子どもが飽きてしまわないように、お気に入りのおもちゃや絵本、お菓子など、時間をつぶせるアイテムがあると役立ちます。
可能であれば、比較的空いていることが多い午前中の早い時間帯を狙うのもひとつの手段です。
最新イベント情報も! ケーブルカー&ロープウェイに乗れる全国おすすめの駅・観光地15選
日本全国には魅力的なケーブルカーやロープウェイがたくさんあります。ここでは、特に子ども連れの家族におすすめのスポットを厳選してご紹介します。
北海道・東北
函館山ロープウェイ(北海道)
125人乗りの大型ゴンドラで、世界三大夜景のひとつと称される函館の夜景を一望。約3分のスピーディーな空中散歩で、小さな子も退屈せずに山頂の絶景ポイントへ到着します。山頂展望台にはレストランとティーラウンジがあり、ランチタイムも人気です。
蔵王ロープウェイ(山形県)
ふもとの蔵王山麓駅から樹氷高原駅、さらに地蔵山頂駅へと向かう乗りごたえ抜群のロープウェイ。冬の樹氷で有名な蔵王ですが、夏は涼しい高原の散策が楽しめます。地蔵山頂駅の展望台からは、エメラルドグリーンの火口湖へ続くパノラマ遊歩道が人気です。
関東
筑波山ケーブルカー&ロープウェイ(茨城県)
筑波山の観光ではケーブルカーとロープウェイの両方が運行しています。男体山側のケーブルカーでは筑波山神社を出発して本格的なトレッキングコースへ、女体山側のロープウェイでは段差が少なくベビーカーや小さな子を連れて絶景へ向かうことができます。
榛名山ロープウェイ(群馬県)
今日の朝の眺めです。昨日の夜降った雪が残っております。ご来場の際は暖かい服装で。#榛名山 #伊香保温泉 #草津温泉 #四万温泉 #水上温泉 #谷川岳 #渋川市 #高崎市 #群馬 pic.twitter.com/RmeT7WJL7C
— 榛名山ロープウェイ (@haruna1097) December 25, 2021
榛名湖の湖畔から榛名富士の山頂までを一気に登る、2つのゴンドラが並んだ2連式ロープウェイです。山頂からは榛名湖や関東平野を見渡すことができ、晴れた日には富士山が見えることもあります。
大山ケーブルカー(神奈川県)
🐟所長のつぶやき🐟
— 大山(おおやま)ケーブルカー【公式】 (@ooyamacable) June 18, 2025
こんにちは😊18日10時現在、阿夫利神社駅の天候は晴、気温25℃湿度74%です‼️昨日に引き続き、今日もあっついです🥵今日は風もあまりないので皆様熱中症に十分ご注意下さい☺️ pic.twitter.com/5HvQf25mAI
大きな窓の車両で絶景を約6分間楽しめるケーブルカー。秋には沿線が鮮やかな紅葉のトンネルとなり、夜間ライトアップで幻想的に映し出されます。ふもとにはにぎやかな「こま参道」があり、食事やお土産選びにもうってつけです。
宝登山ロープウェイ(埼玉県)
「ばんび号」と「もんきー号」の2台のゴンドラで宝登山の山頂へ。山頂には小動物公園があり、ゴンドラの名前にもなっているシカやサルなどの動物と出会えます。2025年に新設された「SUSABINOテラス」は、壮大な景色はもちろん、自然をモチーフにしたオリジナルドリンクでも早くも話題の展望スポットです。
中部
立山ケーブルカー&黒部ケーブルカー&立山ロープウェイ(富山県)
立山黒部アルペンルートには、いろいろな乗り物があります。その中でも代表的な「立山ケーブルカー」や、景観を守るため全線トンネル内を走る「黒部ケーブルカー」、支柱のない絶景が楽しめる「立山ロープウェイ」などを乗り継いで、雄大な自然を満喫できます。
富士山パノラマロープウェイ(山梨県)
カチカチ山の舞台ともいわれる天上山。その頂上を目指しながら、富士山、そして河口湖の絶景を間近に楽しめるロープウェイです。頂上にはうさぎ神社にたぬき茶屋、絶景パノラマ回廊と写真映えする人気スポットが揃っています。
竜王ロープウェイ SORA terrace(長野県)
竜王マウンテンリゾートの絶景テラス「SORA terrace」へ向かうのは世界最大級166人乗りのロープウェイ。雲海を望む幻想的な体験ができ、併設のカフェで休憩も可能です。2025年にオープンしたばかりのらせん階段で、展望台よりさらに14メートルの高さからの眺望を体験できます。
近畿・中国
坂本ケーブル(滋賀県)
比叡山延暦寺へ向かう参拝ルートで、日本一長い距離を走るケーブルカーです。レトロな車両や途中のトンネル、橋梁などの見どころが多く、乗り物好きにはたまりません。
生駒ケーブル(奈良県)
日本で最初に開業した歴史あるケーブルカーで、犬や猫の形をしたかわいい車両が人気です。山の上には遊園地もあり、子ども連れにぴったりの観光スポット。日本では珍しいケーブルカーの踏切もチェックポイントです。
尾道 千光寺山ロープウェイ(広島県)
尾道の市街地と千光寺公園を結ぶロープウェイで、尾道の景観やしまなみの島々を一望できます。文学のこみちや猫の細道など、周辺の散策も楽しいエリアです。
四国・九州
雲辺寺ロープウェイ(徳島県・香川県)
四国霊場の最高峰、雲辺寺山頂へ約7分間の空中散歩。ロープウェイで向かう山頂公園には絶景を味わえる「天空のブランコ」や、カラフルでフォトジェニックなベンチが設置されており、親子で楽しめます。
別府ラクテンチケーブル線(大分県)
ラクテンチのケーブルカーは昭和4年開通🚃
— 別府ケーブルラクテンチ (@beppurakutenchi) June 26, 2025
勾配が30度👀日本屈指の急勾配を誇るケーブルカーです❣️
山頂には運転手が手動で動かしています🫡
国道交通省に認められている『鉄道』です🚃
山頂にある、日本唯一ここだけにしかない二重式観覧車『フラワーかんらん車』から見える絶景もオススメです🎡✨ pic.twitter.com/cJFOZHng6R
別府湾を見下ろす遊園地「ラクテンチ」への専用ケーブルカー。頂上の観覧車が見えるケーブルカーで、30度の急勾配をのぼって園内への期待感を盛り上げます。
雲仙ロープウェイ(長崎県)
雲仙地獄で知られる仁田峠から、妙見岳の山頂近くまでを結ぶロープウェイ。夏の行楽シーズンはもちろん、春のミヤマキリシマや秋の紅葉、冬の霧氷など、四季折々の絶景が魅力です。
絶景を目指す、空と山の旅へ
8月29日の「ケーブルカーの日」にちなんで、家族で楽しめるケーブルカーとロープウェイの魅力を紹介しました。急な斜面を力強く登ったり空中を散歩したりする乗り物の体験は、子どもたちの心に強く残ることでしょう。
山頂の絶景、季節の自然、そして乗り物そのものの楽しさ。これらを気軽に味わえるのが、ケーブルカーやロープウェイの魅力です。おでかけの際は服装や運行状況などの注意点も確認しつつ、ぜひ家族での快適旅を計画してみてください。
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文・編集/HugKum編集部
