お菓子づくりは究極の”創作時間”
たっぷり時間がある夏休みだからこそ、どっぷりと創作に身を任せてみるのはいかが。お菓子づくりであれば、材料が手に入りやすいのに仕上がりの満足感が高く、“作り上げる醍醐味”や“作ったあとの達成感”を感じられるものです。
色を学びながらお菓子づくり
今回は、ただお菓子を作るだけではなく、“仕上がりの色”や“配色”にまで思考をめぐらせて「色」を学びながらお菓子を作ることができる、おいしいアートなお菓子レシピの紹介です。

HugKumでもお馴染みサイエンススイーツレシピを提案する太田さちかさんの新刊『おいしいアートなお菓子レシピ ときめくカラースイーツ』。ここで紹介されているレシピから、気軽にトライできるカラフルスイーツを教えてもらいました。

色ってなあに?
そもそも、色とは何でしょうか?
私たちの目に見えている色は、【光がものに反射して目に届く可視光の組成の差によるもの】。難しく聞こえるかもしれませんが、私たちが見ることのできる「虹(にじ)色」のいずれかが反射して見えているんです。そして、色には三要素「色相」「彩度」「明度」があります。
(余談ですが、太陽のおかげで色が見えているのだと考えると、太陽系のそと「宇宙」にはまた違う色の見え方があるのかもしれませんね!)
色の基本「色相」(しきそう)

「色相」は、同じ系統の色味のことを指します。例えば、「赤」「オレンジ」「黄色」は「暖色」と言って”暖かさを感じる色”としてまとめられます。他にも、「青」「青緑」「青紫」は「寒色」と言って”寒さを感じる色”としてまとめられます。
お菓子を作って色合いや配色をまとめるとき、この色相を知っていることで、見た目に美しい仕上がりにしていくことができるのです。
色の基本「彩度」(さいど)

「彩度」は、色の鮮やかさや混じり気のなさを示す度合い。同じ「赤」でも、少し紫色が混ざった「赤」、たっぷり紫色が混ざった「赤」…では、赤の鮮やかさが違ってきます。
鮮やかな色は、明るい印象を作りやすく、彩度が低くなるほど、大人っぽい印象を作りやすくなります。お菓子を作ってあげる相手をイメージしながら、色を組み立てると喜ばれます。
色の基本「明度」(めいど)

「明度」は、色の明るさの度合い。同じ「赤」でも、白に近づくような「赤」と黒に近づくような「赤」では、明るさが違って見えます。
明度が高ければ、元気な印象を作りやすく、明度が低ければ落ち着いた印象を作りやすくなります。お菓子を作るシーンに合わせて、組み合わせるといいでしょう。
同じ明度でパステルカラー「チョコレートバナナ」レシピ

(材料 6本分)
バナナ 3本
ホワイトチョコレート 200g
着色料(赤) ごく少量
着色料(青) ごく少量
スプリンクル 適量
竹串 6本
下準備
バナナは皮を剥き半分に切って竹串に刺す。
作り方
1. ホワイトチョコレートを湯煎にかけ40度まで温めて溶かす。湯煎を外し、25度まで温度を下げたら再び湯煎にかけて28度にする。
2. 容器に3等分し、1つを赤で着色して濃いピンク色に、もう1つを青で着色して、グリーンのチョコレートにする。赤色で着色した濃いピンク色のチョコレートから、スプーン1杯分を残りのチョコレートに入れ薄いピンク色にする。

3. 串に刺したバナナを2に潜らせ、スプリンクルをまぶす。
ホワイトチョコレートの色をベースにした、同じ明度のチョコレートバナナができあがり!
三原色から7色を作る「カラフルグミ」レシピ

(材料 6本分)
水 100ml
グラニュー糖 20g
水飴 40g
顆粒ゼラチン 10g
かき氷シロップ(いちご、レモン、ブルーハワイ) 各大さじ1
下準備
型を水にくぐらせる。
作り方
1. 色を作る。かき氷シロップの3色から青と赤、青と黄色、黄色と赤、青と赤と黄色をスプーン1杯ずつ取って混ぜ、合計7色を作る。
2. 鍋に水とグラニュー糖、水飴を入れて中火にかけ煮立たせてから火を止める。ゼラチンを加えて混ぜ溶かす。
3. 1に、2を等分して加えて混ぜグミ液にする。型に流し、冷蔵庫で20分冷やし固める。

かき氷シロップの鮮やかな色から作る、彩度の高いカラフルグミのできあがり!
色と一緒にアートなお菓子を楽しもう!

本書には、他にも、ゼラチンのpH値によって色が変わるゼリーのお話や酸性とアルカリ性のお話、オシャレな配色や色の組み合わせコラム、お菓子の定番カラー、ビビッドカラー、ペールトーン、ユニコーンカラー、マーメイドカラー、あらかじめ色のついた食材のお話、国によって違う虹色など…、色にまつわるお話がたくさんあります。
お花屋さんで花束を選ぶときのように、お菓子づくりにも色の視点を加えて、おいしいアートなお菓子レシピを楽しんでみましょう。おもてなしや誕生日、推し活にもおすすめです♪
色を学びながらお菓子づくりを楽しめるレシピが満載!
お菓子にカラフルな色をつけたいけど、どうやってやればいいの? そんな声にこたえて、 色の付け方とお菓子の作り方の両方をさちかさんが解説。ワクワクするレシピはどれも作ってみたくなるものばかり!
お誕生日やバレンタイン、クリスマス、ウエディングなど、その人やイベントに合わせて好きなテーマカラーで色んなお菓子を作れたらいいなと思いませんか?この本では、ケーキ、メレンゲ、マカロン、クッキー、チョコレート、アイスクリーム、ゼリー、ババロアなど、さまざまなお菓子で、どうやってその色を作るかなどの解説付きのお菓子のレシピです。
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教えてくれたのは
ケーキデザイナー、芸術教育士。フランスと日本で製菓を、京都芸術大学大学院で芸術を学ぶ。子どもとママのための製菓クラスやワークショップ「My little days」を主宰。子どもたちの興味や感性に寄り添う独自の世界観から提案している。かたわら、ウエディングやパーティ用のお菓子製作、雑誌やテレビ、Webなどで幅広く活躍。著書に「メレンゲのお菓子 パブロバ」(立東舎)「不思議なお菓子レシピ サイエンススイーツ」(マイルスタッフ)「太田さちかのサイエンススイーツ 魔法のおやつをめしあがれ」(文化出版局)などがある。

