アイスが溶けないってホント?
見た目が同じ2つのアイスがあります。
30分室温に置いておくと…
左のアイスは溶けたけれど、右のアイスは形が残ったまま!
空調の効いた室温といえど、26度はあります。本来なら、右のアイスも溶けてしまいそうですよね。
まずご紹介するのは、右側の「溶けない!?アイス」。
ある素材が一役買っています。
溶ける・溶けないの不思議
このテーマでポイントとなるのは、「溶ける」という状態変化を知ること。
身の回りには、”夏場のアイスは溶ける”、”お風呂に入っても人は溶けない”、”手の上のチョコレートは溶ける”、”ケーキ型をオーブンに入れても溶けない”…というように、溶ける・溶けないということを自然と認識しています。普段は当たり前だと思い込んでいることも、なぜ?と思うアンテナを身につけると面白い発見があります。
「溶けないアイス」では、
●氷の溶ける温度 0度
が基準となります。これに対して、「溶けないアイス」には”ある素材”が加わることで溶ける温度が変化しているのです。
その素材がこちら、「粉寒天」です。粉寒天を煮溶かした液体は、70度にならないと溶けないという性質があるのです。氷の溶ける温度とだいぶ違うことに気づくと思います。
●氷の溶ける温度 0度
●寒天の溶ける温度 70度
夏場の室温でも、溶けないということが一目瞭然ですね。これを知ると、他にも鉄の溶ける温度、アルミの溶ける温度など、素材ごとに溶ける温度があるということを理解していけるでしょう。
「溶けないアイス」レシピ
夏に嬉しい「溶けないアイス」レシピを紹介します。製氷器や紙コップできる簡単レシピです。
①ブルーベリーの溶けないアイスキューブ
材料
牛乳 100ml
粉寒天 2g
グラニュー糖 20g
ブルーベリー 適量
作り方
1. 鍋に牛乳と粉寒天を入れ中火にかける。沸騰したら弱火にし、約1分ほど煮詰めてグラニュー糖を加え、グラニュー糖が溶けたら火を止める。
2. 製氷器に1を流し入れ、ブルーベリーを加える。冷凍庫で4時間冷やし固める。
②メロン風味の溶けないアイス
材料
牛乳 100ml
粉寒天 2g
グラニュー糖 20g
かき氷シロップ(メロン) 10ml
作り方
1. 鍋に牛乳と粉寒天を入れ中火にかける。沸騰したら弱火にし、約1分ほど煮詰めてグラニュー糖を加え、グラニュー糖が溶けたら火を止める。かき氷シロップを加えてゴムベラで混ぜる。
2. 耐熱紙コップに1を流し、アイス棒を置く。冷凍庫で4時間冷やし固める。
アイスが3分でできる?!
続いて、真夏日に“速攻!”でアイスをつくるレシピです。3分で作るには、「アイス液を急速に冷やして凍らせる」必要があります。
そこでポイントとなるのが、「凝固点降下(ぎょうこてんこうか)」。
氷に塩をかけると、氷が溶けて水になるとき、そして塩が氷水に溶け込むときに、周囲から素早く熱を奪うためアイスクリーム液はどんどん冷やされていくことになります。例えば氷と塩の比率が3対1の場合、凝固点はマイナス21℃まで降下します。
この冷凍庫と同程度の低温環境で、たった3分でアイスを作ることができるのです。
「3分でできるアイス」レシピ
酷暑は、一刻も早くアイスを食べたいですよね。2種類のレシピを紹介します。
①レモン香る3分でできるアイス
材料
生クリーム 100ml
グラニュー糖 10g
レモン表皮 1/4個分
作り方
1. 小さなジップ付きプラスチックバッグに、アイスの材料を全て入れる。
2. 1より大きなジップ付きプラスチックバッグに、氷300gと塩30gを入れる。
3. 2に1をいれて封をし、タオルを巻く。タオルの両端を持って、上下に3分振る。
4. アイス液の袋を取り出し、ディッシャーで盛り付ける。
②3分でできるいちごアイス
材料
生クリーム 100ml
グラニュー糖 10g
いちごジャム 20g
作り方
1. 小さなジップ付きプラスチックバッグに、アイスの材料を全て入れる。
2. 1より大きなジップ付きプラスチックバッグに、氷300gと塩30gを入れる。
3. 2に1をいれて封をし、タオルを巻く。タオルの両端を持って、上下に3分振る。
4. アイス液の袋を取り出し、ディッシャーで盛り付ける。
夏の名物「アイス」から、サイエンスの世界へ
好きなもの、興味、好奇心が学びにつながると、世界はぐんぐんと広がっていきます。夏の名物「アイス」から、サイエンスの世界の扉を開いてみてはいかがでしょうか。
自由研究に応用したい方は、レポートに「研究テーマ」や「テーマを選んだ理由」「調べたこと」「分かったこと」「感想」「味や見た目、食感、色、形など五感で感じたこと」を書いてまとめてみるといいでしょう。特にサイエンススイーツでは、食べた時の味わい、香り、食感といった五感に耳を澄ますことが、そのお子さんの個性にもつながる醍醐味です。
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記事執筆
- ケーキデザイナー、芸術教育士。フランスと日本で製菓を、京都芸術大学大学院で芸術を学ぶ。子どもとママのための製菓クラスやワークショップ「My little days」を主宰。子どもたちの興味や感性に寄り添う独自の世界観から提案している。かたわら、ウェディングやパーティ用のお菓子制作、雑誌やテレビ、Webなどで幅広く活躍。著書に「メレンゲのお菓子 パプロバ」(立東舎)「不思議なお菓子レシピ サイエンススイーツ」(マイルスタッフ)「太田さちかのサイエンススイーツ 魔法のおやつをめしあがれ」(文化出版局)などがある。