【忙しいママパパ必見】「鉄鍋の味噌汁で鉄分40倍」「カット&下味のスーパー冷凍術」フードコーディネーター長藤由理花さん直伝〝栄養も時短も〟の工夫がすごい

5年間にわたるがん治療を乗り越え、現在は母となったフードコーディネーターの長藤由理花さん。闘病を経験したことで、「健康こそがお金には代えられない最大の財産」と強く感じるようになったといいます。
そんな長藤さんが日々心がけているのは、無理なく続けられ、しかも栄養バランスのとれた食卓づくり。鉄分を効率よくとる工夫や、毎日の味噌汁にひと工夫を加えるアイデア、冷凍ストックを活用した時短の工夫など――。今日から取り入れたくなる実践的なヒントを、たっぷりと伺いました。

卵巣がんの経験からみえた「健康はお金に代えられない財産」

――27歳のときに卵巣がんを経験されたそうですね。

長藤 由理花さん(以下、長藤さん):先日、治療から5年が経ち、ようやく「完治」という診断をいただきました。病院で検査を受けて、医師から完治のハンコを押してもらった瞬間は、本当に感慨深かったです。

もともと私は、がんになる前からフードコーディネーターとして副業をしており、日頃から食生活には気を配っていました。栄養バランスにも注意していたのに、それでも病気になってしまった…。その経験を通して、「どんなに健康に気をつけていても、病気になることはある」という現実を痛感しました。

――がんのご経験があったことで、「日頃の食生活」についてあらためて考えることはありましたか?

長藤さん:病気を経験したからこそ、「毎日の食事を大切にしてきて本当によかった」と心から思うようになりました。

治療の段階では、「卵巣がん=両方全摘」が一般的でしたが、私はリスクを承知のうえで片方だけを残す決断をしました。ところが治療後に検査を受けてみると、抗がん剤の影響で卵子はほとんど残っていなかったんです。妊娠はもちろん、妊活も難しいだろう――そう告げられました。

それでも寛解し奇跡的に妊娠・出産できたのは、バランスのよい食生活が身についていたことで、自然と栄養の土台が整った身体になっていたからかもと感じています。もちろん運の要素も大きかったと思いますが、今はあらためて、健康な身体は「何ものにも代えがたい財産」だと思いますね。

HugKum編集部でインタビューに答える長藤さん

献立づくりは“まごわやさしい”でセルフチェック!

――現在、4歳の娘さんがいらっしゃるそうですが、毎日の献立づくりで意識していることはありますか?

長藤さん:大切にしているのはバランスのよさです。親として食事のバランスを整えるのはもちろんですが、いずれは娘自身が「今日はちょっと偏っているな」「もう少し野菜を足そうかな」と気づけるようになってほしいと思っています。

そのための合言葉が「まごわやさしい」。豆・ごま・わかめ(海藻)・野菜・魚(肉)・しいたけ(きのこ)・いも(お米なども)ーー。この7つを思い返しながら「今日はタンパク質(魚や肉)が足りないな」「野菜をプラスしよう」と、献立を考えるときにも役立てています。

わが家では手軽に常備できる、わかめやひじき、しらす、ごまを常備しています。味噌汁にひとつ加えたり、仕上げにふりかけたりするだけで、栄養バランスがぐっと底上げされます。小さな工夫ですが、いそがしい日の心強い味方です。

彩りと栄養ゆたかな「まごわやさしい」ごはん<写真提供:長藤さん>

鉄鍋ひとつで鉄分40倍! 味噌汁は“家族の栄養を守る万能ごはん”

朝晩の栄養アップに、まずは「お味噌汁」を!

――毎日の食事で欠かさず取り入れているものはありますか?

長藤さん:かならず作るのがお味噌汁です。とにかく万能で、野菜はなにを入れてもおいしくなるし、豚肉や鶏肉を加えれば、タンパク質まで一緒にとれるんです。

わが家は朝ごはんも和食なので、朝に作って冷蔵庫に入れておけば、夜ごはんに温めてすぐに出せるのも便利なポイント。また、汁物なら子どもも飲みやすいので、「野菜を食べてほしい」と思ったらまずは味噌汁に入れます。にんじんや玉ねぎ、大根はもちろん、冷蔵庫に残った野菜もムダなく活用できるんです。

鉄鍋でお味噌汁をつくるだけで、子どもや女性にうれしい“鉄分アップ”

――栄養を意識して工夫しているポイントはありますか?

長藤さん:じつは、毎日のお味噌汁づくりに、鉄鍋を愛用しています。小さめのミルクパンのような鍋ですが、これで調理するだけで、鉄分がなんと約40倍もとれるんです。

鉄分は女性も子どもも不足しがちな栄養素。鉄鍋で煮るだけで鉄分がしっかり加わるので、毎日の調理で自然に栄養をプラスできるのが魅力です。

小さめサイズの鉄鍋で作る、毎日のお味噌汁 <写真提供:長藤さん>

野菜はカットして、肉や魚は味付け冷凍! 「週末仕込み」で平日がぐっとラクに

野菜は“切って小分け冷凍”が基本

――平日の食事づくりをラクにするために、どのように工夫されていますか?

長藤さん:私は週末にまとめて買いものをして、野菜やきのこ類などを全部洗ってカットし、小分けにして保存しています。すぐに使う分は冷蔵、そのほかは冷凍、と分けておくんです。こうしておくだけで、包丁やまな板を出したり、洗ったりする手間がぐっと減ります。

朝のいそがしい時間や、仕事で疲れてクタクタなときでも、冷凍庫や冷蔵庫からパッと取り出して、鍋やフライパンに入れるだけ。だから、平日でも野菜を欠かさず食卓に取り入れられるのかもしれません。

週末に野菜をカットして保存しておくことで、平日の時短になるそう <写真提供:長藤さん>

また、平日は仕事や育児でお買いものをする時間がないこともありますよね。そんなときは、できるだけ週末に買いものをしたり、ネットスーパーを活用したりしています。重いものを家まで届けてもらえるのでとても助かっています。

お肉や魚は“味付け冷凍”で焼くだけで一品に

――メインのおかずになる肉や魚は、どのように準備していますか?

長藤さん:お肉や魚は、パックのまま冷蔵庫に入れるのではなく、味付けし下ごしらえをしてから冷凍しています。

わが家では肉と魚をできるだけ交互におかずにするようにしているのですが、事前に調味料をからめてジッパー付保存袋に入れて冷凍しておくと、解凍したときにはしっかり味が染みていて、焼くだけですむのでオススメです。

下味冷凍で、いそがしい日でもすぐに調理できる<写真提供:長藤さん>

――妊娠・出産のときにも冷凍ストックを活用されたそうですね。

じつは出産前にも冷凍保存をたくさん取り入れていました。当時、今よりも時間があったので、産後の自分や夫のために、鶏のからあげやキーマカレー、サバの味噌煮などを大量に仕込んで冷凍しておいたんです。

自宅での産後1ヵ月間、里帰りをせずにすごしていたので、このストックに本当に助けられました。ごはんを炊くだけで主菜・副菜がそろう状態にしておいたおかげで「食事をどうしよう」という不安がなく、まさに心のお守りになっていたと思います。

約1ヵ月分のごはんとおかずをストックしていたときのお写真 <写真提供:長藤さん>

時間があれば、こうした「調理された状態」での冷凍もオススメですが、作りおきをする時間すらない、という方もいらっしゃると思います。そのような場合には、野菜を切っておくだけ、肉や魚に味付けして保存しておくだけでも十分です。それぞれのライフスタイルに合わせて準備しておくと、心の拠りどころになるかもしれません。

家族で「おいしいね」と笑い合える食卓を

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

長藤さん:日々子どもに全力で向き合っていると、心にゆとりがない日や、なかなか思うようにいかない日もあるかもしれません。それでも、できるときに少しずつ工夫を重ねながら、家族で「おいしいね」と笑い合える時間を少しずつ積み重ねていってもらえたらうれしいです。

こうしたひとときが、子どもにとって「食べることの楽しさ」を感じる小さなきっかけとなり、すこやかな毎日を支える土台になればうれしいです。

長藤さんの闘病記はこちら

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お話をうかがったのは

長藤 由理花さん フードコーディネーター

1992年生まれ。神奈川県横浜市出身。人材派遣会社で営業職をしていた2020年1月、27歳の時に卵巣がんに罹患。右側の卵巣の摘出と抗がん剤による治療を4か月続け、がんを克服。2021年に結婚・出産を経て一児の母に。現在はフードコーディネーターの資格を活かし、食に関わるプロモーションのプランニングディレクターをしている。

Instagram @yurika_nagafuji

構成・文/牧野 未衣菜

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