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なぜ、きのこが嫌いなの?
「食育に関する意識調査」や民間のアンケートなどでは、子どもの野菜・きのこ嫌いの傾向が挙げられています。理由としては、「見た目」「食感」「におい」が苦手と答える子が多いようです。

子どもたちにとっては、未知なる食材への遭遇は恐怖に近いものがあるのかもしれませんね。親御さんが、無理に食べさせて嫌いになってしまうケースも多く見受けられます。
きのこのサイズに関する基準
幼稚園や保育所の給食では、きのこは一般的に「長さ3㎝以内」にカットして提供されています。これは、誤嚥防止や安全性の観点から定められているものです。特にきのこ類は繊維質で噛みにくく、誤嚥のリスクが高いため安全を考慮した切り方や調理法がルール化されているのです。
各ご家庭のきのこ料理を振り返ってみて、「やや大きかったかな?」という方は参考にしてみてください。
きのこの栄養素とは
食物繊維が多いといわれていますが、他にはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。きのこ類には、食物繊維以外に、ビタミンD・ビタミンB1、B2、カリウムが含まれています。
中でも、まいたけはビタミンDが多く(生まいたけ100gあたり、ビタミンDは4.9㎍)、しいたけは食物繊維が豊富です(生しいたけ100gあたり、4.6g)。食物繊維は、腸内環境の改善や免疫力向上。ビタミンDは、骨の健康維持やカルシウム吸収促進。ビタミンB群は、疲労回復効果。カリウムは、塩分調整や血圧の調整などに期待ができ、それぞれ子どもの成長には欠かせない栄養素がたっぷり含まれています。
「気が付いたら食べていた!」が理想的
子どもが苦手なきのこを無理に食べさせる必要はありませんが、工夫をしながら食べるチャンスを作ってあげるのもいいですね。先ほどの給食調理のルールでもあるように、食べやすいサイズ感はとても大切です。まずは、子どもたちが好きな食材との組み合わせから始めてみましょう。

子どもが好きな料理ランキングでは、ハンバーグやから揚げ、餃子などが上位に。中でもハンバーグや餃子は味という面で選ばれるところもありますが、比較的ひき肉は食べやすく、刻んだきのこをそっと忍ばせるのに便利です。
きのこが好きになるレシピ2選
前述の通り、きのこ嫌いのお子さんは、「見た目」「食感」「におい」が苦手というシンプルな理由が多いです。それをクリアするためには、“細かく刻む”というのが大きなポイント。刻むことで、「見た目」と「食感」の2つをクリアすることができます。あとは、「におい」の問題。これは、少し濃いめの味付けや風味をプラスすることで解決!
子どもの好きなひき肉と混ぜ合わせて、“嫌い”を“好き”に変えるレシピを2つ厳選してご紹介します。
【レシピ①】照り焼き鶏つくね
えのきだけでふんわり。肉と同系色なので子どもにバレずに食べてもらえるレシピです。

材料(2~3人分)
鶏ムネひき肉…200g
えのきだけ…1/2袋分
玉ねぎ(小)…1/2個分
おろししょうが…1/2かけ分
片栗粉…大さじ1
<A>
しょうゆ、酒、みりん…各大さじ1
水溶き片栗粉(片栗粉小さじ1+水大さじ1)…全量
油…適量
卵黄(あれば)…1個分
作り方

1. えのきだけは5㎜長さに切り、玉ねぎはみじん切りにする。

2. ボウルに鶏ひき肉と①、おろししょうが、片栗粉を入れて粘りが出るまでよく混ぜて8等分にし、小判型にする。

3. フライパンに油をひき、②を並べて中火で両面焼く。串で刺してみて透明の肉汁が出てきたら焼き上がり。Aを入れてふつふつとしてきたら水溶き片栗粉を加えてとろみがついたら完成。

好みで卵黄をつけながら召し上がれ♪
【レシピ②】カレー風味の一口焼き餃子
子どもの好きなカレー味できのこの香りを隠す裏技です!

材料(2~3人分)
餃子の皮…20枚
豚ひき肉…200g
まいたけ…30g
ニラ…1/2束
おろししょうが…1かけ分
<A>
酒…大さじ1
ごま油…大さじ1/2
しょうゆ…小さじ1
塩…小さじ1/4
カレー粉…少々
ごま油…適量
作り方

1. まいたけ、ニラはみじん切りにする。

2. ボウルに豚ひき肉と①、しょうが、Aを入れて粘りが出るまで混ぜる。

3. ②を等分にして餃子の皮で包む。皮の中央に餡をのせたら縁に水少々をつけて半分に折り、両端を合わせて水少々をつけて留める。残りも同様に作る。

4. フライパンに油をひき、③を並べたら中火で軽く餃子の底を焼きつけ水50mlを加えて蓋をし、2~3分ほど蒸し焼きにする(水分があれば蓋をとって、水気がなくなるまで強火で焼く)。油を足して焼き目がつくまで中火で加熱する。フライパンの上に皿を置いてひっくり返し、盛りつける。

好みのたれで、どうぞ!
いかがでしたか? 子どもの苦手を克服させつつ、大人も楽しめるレシピです。ぜひ、秋のきのこを満喫してくださいね。
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記事監修
出版社で編集を経験後、独立。食を通した環境問題、農業などに関心が高くフリー編集者兼ライターとして活動中。著者本に日本の食文化を守るべく企画した「おにぎり」(グラフィック社)がある。NHKやラジオ番組J-Waveロハスモーニングなど多数のメディアに出演し、全国のおにぎり文化を語る。両親を病気で亡くしたことをきっかけに、“人は、食べるもので体がつくられている”ということを改めて実感。食の大切さに目覚め、管理栄養士を目指すべく大学へ進学。2023年春、国家試験に合格し、管理栄養士となる。
【参考資料】
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
保育所における食事の提供ガイドライン 全体版
厚生労働省「食品衛生管理マニュアル」