【赤ちゃんの頭のゆがみ】「ヘルメット治療」かぶるだけでゆがみを改善できると話題!始めるのにベストな時期や費用、体験者のビフォーアフターまで紹介【専門医監修】

赤ちゃんの頭がゆがんでいるのは気になるもの。軽度なら寝かせ方などで自然に変わっていくことを期待しますが、中等度・重度の場合は「ヘルメット治療」という方法があるそうです。赤ちゃんにほぼ1日中、ヘルメットをかぶせるなんて、それで本当に変わるの? 痛くないの? 蒸れないの? さまざまな疑問を、けやき脳神経リハビリクリニックの林祥史院長に聞いてみました。

ゆがみが大きいと、メガネをかけにくい、短髪になったときも気になる

――前編では、赤ちゃんの頭のゆがみに病気が関与していないかよく調べること、そうでなくて軽度なら後頭部を押しつけず縦抱っこやうつぶせ遊びをすると改善しやすいことを知りました。中等度や重度の場合は、ヘルメット治療という方法があるそうですね。

林先生 赤ちゃんの頭のゆがみがある程度大きい場合は、縦抱っこやうつぶせ遊びでは十分に改善しないというデータがあります。

頭蓋縫合早期癒合症(ずがいほうごうそうきゆごうしょう)という病気でない場合なら、多くは見た目の問題だけともいえます。頭のゆがみは、通常、脳の機能には影響を与えないと言われています。でも、見た目も大事ですよね。

あまりゆがみが大きいと自転車やスキーのヘルメットがかぶりにくいとか、頭のかたちの左右差が大きいことでメガネがかけにくいということもあります。野球部などで短髪になったときに気になる、将来髪の毛が薄くなったときにゆがみが気にならないか……、ということで、特に男の子の保護者の方は気にするケースがあるようです。

ヘルメットをかぶるだけで頭のかたちが変わっていく

林先生 そこで、近年はヘルメット治療という選択肢があります。治療のメカニズムは下の図を見てわかるように、頭が大きくなることを利用してかたちを整える、というようなイメージです。ですから、赤ちゃんに適したヘルメットを作り、それをかぶることが治療になるわけです。

『ベビーバンド』HPより

かぶるだけで、赤ちゃんの頭のゆがみが改善されていくケースが多いです。当院では日本製の頭蓋形状矯正ヘルメット『ベビーバンド』を導入しています。ベビーバンドは、多くの医療機関で実績があり、赤ちゃんの頭のかたちを優しく整えることで知られています。ほかにも定評のある製品もあり、病院によっても扱うブランドが違うため、価格も異なります。

生後3ヶ月から遅くとも8ヶ月の間に実施したい

林先生 治療の流れは以下のようになります。まずは頭蓋縫合早期癒合症でないことを確認した上で行います。スタートは3-4ヶ月がおすすめです。タイミングを逃しても8ヶ月くらいまでにやるのが理想的といえます。

けやき脳神経リハビリクリニックの治療プロセス

赤ちゃんのあたまが急に大きくなるのが3~4ヶ月。大きくなるタイミングのときにヘルメット治療を始めるとよいのです。

8ヶ月を超えるとだんだんあたまが大きくなるスピードが落ちていきます。大きくなるスピードが落ちてしまうと、治療効果もあまり望めません。また、この月齢だと赤ちゃんも嫌がって、自分の手でとりたくなってしまいます。

自由診療なので病院によって幅があり費用は30~60万円

林先生 ヘルメットは手作業で作成する場合もありますが、『ベビーバンド』の場合は3Dカメラで計測したデータから3Dプリンターでヘルメットを作成します。比較的安価に作成できるのはその理由です。とはいえ、自由診療で、健康保険がきかないのでそれなりの費用が必要です。

医療機関によって費用は異なり、当院の場合は初回3D撮影費用は3,300円(税込)になります。ヘルメット療法による治療費用は、330,000円(税込)になります。治療を行う場合は、治療費用に初回の3D撮影費用が含まれます。

また、軽度の場合の理学療法士・作業療法士による理学療法(体位変換やタミータイム)の指導は、30分5,000円(税込)になります。

通常、ヘルメット治療は30~60万円程度とも言われます。

硬さもメーカーによってそれぞれ違います。多くは外のシェルの内側にクッションがあります。ある程度 硬いほうがゆがみが改善されやすいですが、硬すぎると皮膚が痛んだり褥瘡ができる心配もあります。硬さや最適なカタチなどは、何万件ものデータの蓄積で決められています。

治療用ヘルメットの構造例(ベビーバンドより)

――ずいぶん価格に開きがありますね。

林先生 自由診療ですから、医療機関ごとに費用を設定します。ヘルメットの作成費用などもメーカーによって異なります。

ただ、自由診療の場合は、厚生労働省のガイドラインで治療の前に費用を明示するよう定められています。知らない間に費用が決まっていた、というようなことはありませんし、「費用を尋ねにくい」ということもあってはなりません。医療機関のホームページにも普通は明示されます。必ず費用の確認をしてから始めてください。まだ医療保険対象ではないのですが、医療機器としては認可されていますので、医療費控除の対象にはなります。

1日23時間かぶる。でも赤ちゃんは意外にも早く慣れていく

林先生 治療をするとなったら1日23時間かぶったままで過ごしていただきます。外すのはできれば1時間以内に。入浴などの時間を除いて、眠っている間もつけたままで過ごします。

比較的軽い素材。かぶっていることを気にせず遊んでいる赤ちゃん

――23時間つけっぱなしなのですね。特に寝るときなどに赤ちゃんが嫌がったりしませんか? 夏場は蒸れたりしないのでしょうか?

林先生 当初の数日は就寝時に少し慣れないかもしれませんが、そのうち慣れてぐっすり眠れるようになる子がほとんどです。

蒸れの問題はどうしてもありますね。穴があいていて蒸れ防止の工夫はされていますが、汗をかいて、あせもができるリスクもあります。特に夏場の炎天下などは10分、15分はずして汗をふき、また室内に戻ってからつけるなど、お子さんの状態によって工夫してみてほしいです。『ベビーバンド』の場合は外側のシェルも中のマットも洗えます。衛生面は問題ないのですが、皮膚が荒れるような場合にはご相談ください。

―――治療後のリバウンドなどはないですか?

林先生 少なくともうちの患者さんでは1例もないです。ヘルメットを外す頃は6ヶ月を過ぎ、7~8ヶ月になっている場合もあります。寝返りもしっかりできるようになっていて、頭の骨も硬くなっているので、そこから圧迫されて再度ゆがむことは考えにくいです。

ヘルメットをかぶったまま保育園に通う子もいる

――終了までの期間はどれくらいですか? 保育園入園前に終わってほしいと思う保護者も多いと思います。

林先生 期間はゆがみの大きさや治療の推移によっても変わります。2~6ヶ月が目安です。途中で計測をしながら終了の時期を決定していきます。最近では、保育園入園後もヘルメットをしているお子さんがいますし、保育園のほうでも慣れている場合もあります。説明をすれば対応をしてくれると思いますので、あまり心配しなくて大丈夫ですよ。

実際にヘルメット治療をしたお子さんの保護者の方に話を聞いてみました。治療の参考にしてみてください。

【体験談】治療終了後、道行く人に「頭のかたちがいいわね!」と言われるまでに

R・Nくん(5ヶ月半からヘルメット治療、2ヶ月で終了)のママに聞きました

Before

生後3ヶ月頃。右上が尖っているのが気になっていた

生まれたときにすでに頭のかたちにゆがみがあり、右上にひっぱられているような斜頭症でした。

出産した病院での健診では「時間がたてばよくなる可能性もある」と言われ、ドーナツ枕を使ったり、寝ているときに向き癖がつかないように頭の位置を変えたりしていましたが、やはり変化がなくて。5ヶ月を過ぎてから、夫と「やはりヘルメット治療をやってみようか」と話し合って決めました。もっと早く決断すればよかったのですが、今からでも効果はあると言われてほっとしました。

受診予約をし、頭の計測をした結果、「軽度に近い中等度」と言われました。「治療の対象ではあるけれど、気にしなければこのままでもいい」とのこと。でも、物心つく前の時期だし、「いやな経験にはならないだろう、やらなかったことで後悔したくない、将来子どもが悩むことがないようにしたい」と思ってお願いしました。ヘルメットは色柄が豊富で、好きなものを選べるのがよかったです。

できあがったヘルメットをかぶせると、意外にゆとりがあるのだな、と思いました。きつい感じはないです。このゆとりがあることでかたちが整うと説明をいただきました。

かぶった当初は頭を振ってはずしたいようなそぶりを見せましたし、夜中も何度か起きてぐっすり眠れないようでした。「やっぱりかわいそうだったかな……」と思いましたが、4日目からは慣れて、かぶっていることを気にすることはありませんでした。冬だったので蒸れなかったのは幸いでした。替えのクッションがあったので、洗って清潔に使えたのも助かりました。

つけているのが「当たり前」になり、どこでもぐっすり眠っていた

周囲の人から何か言われるかなと思いましたが、意外にも批判的な意見はなく、通りすがりの人に「そのヘルメットは何のため?」などと聞かれても、説明すれば、「そうなの、今どきはいろんな治療があるのね」と感心されたり。

うちの子の治療は思いのほか早く終わり、2ヶ月程度でした。終わってからヘルメットなしで街を歩いていると、「頭のかたちがきれいなお子さんねぇ」と話しかけられることもあって、やはりやってよかったな、と思いました。

After

1歳4ヶ月。頭のかたちはすっかりよくなった

ベビーバンドで治療をしている医療機関はこちらでチェックできます>>

前編はこちら

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お話を聞いたのは

林 祥史さん けやき脳神経リハビリクリニック院長

脳神経外科専門医。1999年灘高校卒2005年東京大学医学部医学科卒。カンボジアのSunrise Japan Hospital Phnom Penhで院長、脳神経外科部長、総合診療部長。帰国して北原国際病院院長となるも、自らの理念の体現として2024年けやき脳神経リハビリクリニックを開院、院長に。脳の病気の予防や罹患後の適切な理学療法、作業療法、言語療法による機能回復に尽力する。同時にたとえ障がいがあってもその人らしさを大切に、幸せな人生を歩んでいく支援に注力。コミック『宇宙兄弟』の医療監修も行った。同院「赤ちゃんの頭のかたち外来」では開院後140名を診療。子育て経験豊富なスタッフが診療をサポート。https://keyaki-nrc.com/

取材・文/三輪 泉

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