受験前にやるべきこととは? ― やらないことが重要
受験直前に親がやるべき最優先のこととは「変化を避ける」ことです。前日にゲン担ぎで普段食べ慣れない豪華メニュー(うなぎ、カツ丼、脂の多い外食)や刺激物を食べることで、消化に多くのエネルギーを使い、睡眠の質や翌日の集中力を下げる可能性があります。
具体的には、前日は夜10時以降の夜食を避け、夕食は腹七分目を目安にします。試験の1週間前からは、栄養バランスを意識して徐々に整えていくようにしましょう。
注目すべき栄養素と食品例は?
糖質(ご飯、うどん、じゃがいも)は脳の即効性エネルギー源ですが、当日は果糖や砂糖だけに頼らず、緩やかに吸収される主食を中心に。
たんぱく質(鶏肉、白身魚、豆腐、卵)は体温維持と神経伝達物質の材料になります。マグネシウムは神経の興奮を抑え、糖質をエネルギーに変える補酵素としても重要(海藻、ナッツ、豆腐、シラス、小魚、カカオ)です。
ビタミンB群はエネルギー代謝を助け、豚肉、魚、納豆、全粒穀物に豊富です。加えて、体を温める調理(鍋、煮物、味噌汁)を日常に取り入れることで免疫と睡眠の質が上がります。
受験前日と当日の食事の詳細
受験前夜の食事(具体例と分量)
試験前夜は消化に負担をかけず、体を温める食事にすることが最優先です。おすすめメニューは寄せ鍋(鶏肉100〜120g、豆腐半丁、白菜、人参、きのこ、ねぎなど)です。または具だくさんの味噌汁もいいですね。あとは普段食べなれた肉、魚などのおかずと、ご飯(軽めの茶碗1杯=ご飯150g前後)を摂るようにしましょう。

野菜は人参・かぼちゃ・ほうれん草などでなるべくビタミンA・Cを多く摂取。おかずの肉や魚は、油っこい揚げ物は避けましょう。また、刺し身などの生ものは、試験の1週間前からは控えた方が安心です。
鍋の場合は、ポン酢など味の濃い調味液につけて食べるものではなく、昆布や鶏ガラなど子どもに馴染みのある薄味の出汁にすると、つゆまで飲めて栄養をしっかりと摂ることができます。就寝2〜3時間前までに夕食を終え、量は腹七分目を目安にしましょう。
受験当日の朝食内容(具体例とタイミング)

朝は「糖質+たんぱく質+ミネラル」が摂れるシンプルな食事にしましょう。
例:鮭おにぎり(中サイズ1個:鮭フレーク10〜15g、ご飯120〜140g)、と卵の入ったお味噌汁(卵1個、豆腐1/4丁、わかめ少々)があれば十分ですね。あと常温の麦茶または緑茶(コップ1杯)など。これで糖質、良質なたんぱく質、マグネシウム・カルシウムが摂ることができます。
食べる量は腹七分目、出発1〜1.5時間前に食べ終わるのが理想。寝起きで食欲がない子はおにぎりを1/2個にして、補食を持って出かけて調整する方法も有効です。
受験当日の補食内容(具体例と持ち運び)
少食だったり、当日は緊張であまり朝食を摂れなかったりすると、試験終了までの時間が長くなり途中でエネルギー切れになる心配があります。そんなときは、移動中にパクっと簡単に食べられる補食を用意してもいいでしょう。
たとえば、全粒粉クラッカー2〜3枚、ハイカカオチョコレート20g(70%以上)、小魚とチーズのスナック1パック、ナッツ(アーモンド10粒程度)やバナナ(半分)など。複合的な炭水化物+カルシウム・マグネシウムの摂取がポイントです。補食は小分け包装にして少量ずつ食べると血糖の急変を防げます。

学校の最寄り駅から校門に入る前に、子どもの心を落ち着かせる時間を少しだけ持つようにして、そのときにチョコなどを一つ口に入れてもいいですね。最後の一口で脳のエネルギーを補給することができます。ただし食べ過ぎは厳禁。また冷たい飲み物は胃腸を刺激してしまう心配があるため、水分は常温からややぬるめのお茶(麦茶など)がおすすめです。
「いつものごはん」で栄養と安心とパワーを贈ろう
パパママはこれまでもさまざまな形でサポートをしてきたと思いますが、本番直前となる試験前日から当日に親としてできるサポートは、栄養補給と睡眠環境を整えて、当日の持ち物・移動ルートを確認することだけしかありません。
試験当日の飲み物の用意、小分けの補食など、細かい配慮は栄養だけでなく安心感にもつながります。受験はお子さんにとっても親にとっても緊張の連続ですが、「いつものごはん」で元気に送り出しましょう。そしてお子さんがいつもの力を存分に発揮できますように!
お話を伺ったのは…
管理栄養士。適食アドバイザーⓇ。総合病院で管理栄養士として勤務し、栄養指導やがん治療・研究に携わる。その後、マクロビオティックに出合い、メニュー開発、料理教室での指導、料理番組制作、企業講演などを行う。産後の不調がきっかけで分子栄養学を学び、「分子栄養学×マクロビオティック×基礎栄養学×臨床栄養学」という独自の食事法を編み出し、適食アドバイザーとして活動している。2児の母。著書に『これを食べれば勝手にキレイになる 「甘いもの欲」が消えて身体の中から輝く食事術』(KADOKAWA)、『おいしく食べて、体ととのう まいにちの栄養学』(ナツメ社)。
YouTube チャンネル「あこの栄養学」は登録者数25.9万人、「あこの栄養学kids」は3.9 万人を突破(2025年5月現在)
「偏食が気になる」「身長を伸ばしてあげたい」「栄養バランスってこれでいいの?」「必要な量を食べているのかな」……、わが子には健康な体と心を手に入れて、自分の好きな運動や勉強を思いっきりやってほしい……。親の願いはそこに尽きます。子どもに幸せな人生を歩んでほしいからこそ、子どもの食事や栄養のことで悩んだり不安になったりするものですよね。ただ、普段の食事で子どもに良かれと思ってやっていることが、実は栄養不足の原因になっていることも!さらに、「朝、起きられない」「癇癪がひどい」などの原因に、実は栄養不足が隠れていることもあります。自身も二児の母、管理栄養士で適食アドバイザーのあこさんが、親御さんたちの不安や悩みをまるっと引き受け、最新の栄養学のエビデンスに基づいて、食事や栄養についてアドバイスします。
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取材・文/HugKum編集部
