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アメリカがイランを攻撃し、中東での争いが激しくなっている
2月末から中東という地域の争いがとても激しくなっていることをみなさんも知っているかと思います。これは、イランという国に対して、アメリカやイスラエルが激しい攻撃を始めたことが大きなきっかけです。特に、イランの「最高指導者」という一番えらいリーダーが亡くなったというニュースは、世界中に衝撃を与えました。
現在、イランはこれに強く反発し、ホルムズ海峡という「石油を運ぶ大切な海の道」を事実上封鎖しています。もしここが完全に通れなくなると、日本に届くガソリンや電気の値段も上がり、私たちの生活にも大きな影響が及びます。
「スンニ派」と「シーア派」って?
こうした中東の争いをニュースで詳しく見ていると、「スンニ派」や「シーア派」という言葉がよく出てきます。どちらもイスラム教という同じ神様を信じているグループなのですが、大昔から考え方の違いで、ときどき激しくぶつかってしまうことがあるのです。
創始者「ムハンマド」の死をきっかけに意見が分かれた
今から1400年くらい前、イスラム教を始めた「ムハンマド」というリーダーが亡くなりました。そのとき、残された弟子たちは、次にみんなを引っ張っていくリーダー(後継者)を誰にするかで悩みました。ここで意見が2つに分かれたのが、2つの派閥の始まりです。

多数派の「スンニ派」は、統率力を重視
まず、今日のイスラム教で多数派である「スンニ派」の人たちは、「リーダーは、ムハンマドさまの教えを一番よく理解していて、実力がある人がみんなの相談や選挙で選ばれるべきだ」と考えました。
創始者と血がつながっていなくても、ルールをしっかり守り、みんなをまとめる力がある人がふさわしいという考え方です。今の世界では、イスラム教を信じる人の約9割がこの「スンニ派」で、サウジアラビアという国がその代表的な存在です。
少数派の「シーア派」は、血のつながりを大切にする
一方で、今回のニュースの中心になっているイランに多い「シーア派」の人たちは、「リーダーは、ムハンマドさまと血がつながっている家族でなければいけない」と考えました。
ムハンマドの親戚である「アリー」という人と、その子どもたちこそが、神様から選ばれた特別な力を持つリーダーだという考え方です。血筋、つまり「家族のつながり」を何よりも大切にしているグループなのです。

「シーア派」のイランと「スンニ派」のサウジアラビアは長年対立している
この「誰がリーダーにふさわしいか」という昔からの考え方の違いが、長い時間をかけて、国同士の場所取りや政治の主導権争いにつながってしまいました。
現在、「スンニ派」のリーダーであるサウジアラビアと、「シーア派」のリーダーであるイランは、長年周りの国々を巻き込んで「どちらが中東で強い影響力を持つか」を競い合っています。

同じ神様を信じ、平和を願っているはずなのに、リーダーの選び方や歴史の捉え方の違いで対立してしまうのは、とても悲しいことですね。
今、世界中の大人たちが、この難しい対立を乗り越えて、一日も早く中東に平和な日常が戻り、人々が安心して暮らせるように話し合いを続けています。
みなさんも、遠い国の出来事だと思わずに、まずは「どうして怒っているのかな?」と興味を持つことから始めてみてください。
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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教壇に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。
