下半身まひからの車いす生活。リハビリテーションを頑張る日々
――はじめに、理央奈ちゃんの病気やこれまでの経過について教えてください。
佳寿美さん:娘は、生まれつき骨系統の遺伝子疾患の疑いがあり、あごが後退していて呼吸が苦しかったり、低身長であったり、身体的な特徴があります。5歳のときに背骨が曲がる側弯症という病気の手術を受けました。その影響で胸から下がまひしてしまって、今は車いすで生活しています。
根本的な治療法がある病気ではないため、できることは限られていますが、リハビリを続けながら、娘が自分らしく生活できる形を模索しています。


――どのようなリハビリを行っているのでしょうか?
佳寿美さん:今、娘は9歳で、身長は107cm、体重は17.5kgなのですが、体の状態を少しでもよくするために、様々なリハビリに取り組んでいます。
週に1回は学校をお休みして、午前中は病院で歩行訓練を行い、午後はロボットを使った歩行リハビリを受けています。また、月に1回は愛媛から大阪まで通い、筋力トレーニングに近いリハビリを行っています。そのほかにも、鍼治療や神経整体を取り入れたり、自宅では歩行器を使ったリハビリを続けたりしています。
毎日できる簡単なリハビリとして、四つんばいになってハイハイする動きも日課のひとつです。自宅で使えるリハビリ用のロボットも貸していただいていて、こちらは週に1回ほど取り組んでいます。無理のない範囲で、できることをコツコツ続けることを大切にしています。

――とても頑張っているんですね。リハビリの結果できるようになったことはありますか。
佳寿美さん:手術直後は、座ることも難しく、両手を床について体を支えるのが精いっぱいでした。リハビリを重ねる中で体幹が安定し、今では両手を離して座れるようになっています。
今は着替えや身だしなみなど、自分のことはできる範囲で自分でやっています。一方で、立つことができないため、高い場所にある物を取ることや、腕を長時間上げ続ける動作は難しいですね。
今の目標は「膝立ち」ができるようになること。今は完全に床にお尻をつけた状態で移動する「シャフリングベビー」のような動作が中心なのですが、膝立ちができれば行動範囲も広がります。そのため、本人も前向きに取り組んでいます。

娘との向き合い方と、親としてのサポート
――日常生活の中で、親としてとくに大切にしていることは何でしょうか。
佳寿美さん:できるだけ「本人に任せる」ことを大切にしています。時間はかかりますが、できることは自分でやってもらう。そうした積み重ねが、娘自身の自信にもつながると思っています。
また、ニュースや社会の出来事について親子で話すことも意識しています。「世の中のことを知っておく」ことで、社会とのつながりを感じてほしいという思いがあります。

――理央奈ちゃんご本人は、自身の身体のことをどのように受け止めていますか。
佳寿美さん:普段はあまり話したがりませんが、本当にしんどいときには、「歩けないのがつらい」「この先どうなるのか不安」と気持ちを打ち明けてくれることがあります。そうしたタイミングで、今分かっていることを正直に伝えつつ、リハビリでできることが増える可能性などにも触れながら、必要以上に悲観的にならないよう心がけています。
YouTubeでの発信が家族にもたらしたもの
――理央奈ちゃんが今後少しでも生きやすくなるように“知ってもらう”ことから始めたい、という思いでYouTubeなどでの発信を決めたそうですね。
佳寿美さん:はい。YouTubeは、私たち家族の日常の一部であると同時に、「娘のことを知ってもらうための場所」でもあります。
動画で伝えられるのは、日常のほんの一部分で、実際には1〜2分の短い切り取りに過ぎません。それ以外の時間には、つらいことや悲しいこともありますが、そんなときに視聴者の方からのコメントに励まされることが多く、本当に元気をもらっています。
――発信を続ける中で、「やっていてよかった」と感じた出来事はありますか。
佳寿美さん:YouTubeを始めた当初は、「娘のことを知ってもらいたい」という思いと同時に、同じような経験をしている方から何かヒントやいい治療法を教えてもらえたら、という気持ちもありました。“自分たちが何かを得たい”という気持ちが強かったんです。
今は、「理央奈ちゃんの動画を見て前向きになれました」「同じ境遇で悩んでいましたが、少し気持ちが楽になりました」といった声をいただくことが増え、続けてきてよかったと感じています。
“支えてもらう側”だと思っていた私たちが、いつのまにか誰かの力になれていると感じられるようになったことが、いちばん大きな変化で、いちばんうれしかったことです。

――素敵ですね。反面、発信者として悩んだことはありますか?
佳寿美さん:発信を始めるときに、娘の将来にマイナスになる、いわゆる「デジタルタトゥー」になるようなことはしない、と夫婦で話し合いました。それでも、どんな発信にも賛否はあります。全ての人に理解してもらうのは難しいと分かっていても、否定的な声に心が揺れることもありました。
娘が目にするコメントについては、できるだけフィルターをかけるなど配慮していますが、それでも意図せず否定的な言葉が目に入ってしまったことがあり、親として悩んだ時期も…。
ただ、私は気にしがちなタイプなんですが、夫がすごく楽天的なタイプなので、夫と話しているうちに「まあ、いっか」と思えるようになりました。「みんなに好かれる必要はない」と少しずつ受け止められるようになり、今は必要以上に振り回されないよう心がけています。
理央奈ちゃんの未来と、親としての願い
――この先、理央奈ちゃんをどのように応援していきたいですか。
佳寿美さん:本人が「やりたい」と思うことは、できるだけ尊重したいです。最近は「グローバルに働くこと」に興味を持っていて、「そのためには語学が必要だよね」と自分なりに考えて勉強しています。そうやって未来を思い描けていること自体が、親としてはうれしいですね。
――YouTubeでの発信について、今後の考えを教えてください。
佳寿美さん:YouTubeは、これからも無理のないペースで続けていけたらと思っています。「発信しなきゃ」と気負うよりも、あくまで私たち家族の日常の延長として、できる範囲で続けていきたいですね。

――最後に、HugKum読者にメッセージをお願いします。
佳寿美さん:いつもYouTubeを見てくださっている方には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。子育てって、病気や障がいがある・ないに関わらず、どの家庭でも本当に大変なものだと思います。私自身、娘だけでなく息子の子育てにも向き合う中で、病気や障がいがあるから特別に大変というより、どの子育てもそれぞれに大変さがあるんだなと感じるようになりました。
子どもたちは、親が思っている以上に「お母さん・お父さんには笑顔でいてほしい」と感じているんですよね。だから、頑張りすぎてしまったときには、少し肩の力を抜いてもいいと思うんです。理央奈の動画が、そんなときにほんの少しでも気持ちが緩むきっかけになれたらうれしいです。
【インタビュー後編】では、動画で見せる理央奈ちゃんの語彙力やユーモア、興味のあることを貪欲に学ぶ姿勢について伺いました!
YouTubeチャンネル『ちいりおちゃんねる』もぜひチェックを!
YouTubeチャンネル『ちいりおちゃんねる』は、理央奈ちゃんの率直でユーモアあふれる発言や、家族との笑いをまじえたやり取りが人気。9歳児とは思えない、達者すぎる理央奈ちゃんのトークに、元気や前向きな気持ちをもらえます。
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取材・文/やまさきけいこ