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目次
驚きの語彙力とユーモア、その源は「家族の会話」
――動画を拝見すると、小学生とは思えないほど語彙力が豊富でお話が上手ですよね。その源は何だと思いますか?
佳寿美さん:うちは家族の会話がすごく多いので、それがいちばん大きいのかなと思います。日常的にずっとしゃべっているというか、家の中がにぎやかで。娘もその会話の中で使われている言葉を、自然と吸収している気がします。
――ご夫婦の会話をよく聞いているな、と思うことは?
佳寿美さん:かなり聞いてると思います(笑)。夫婦で話している内容や言い回しもよく真似していますし、私以上にパパにツッコミを入れていることもよくあります。
――動画では、仕事のできる女性上司のような大人っぽい口調で話す場面もありますが…(笑)。
佳寿美さん:それも、私と夫の会話がもとだと思います。二人とも同じ会社で働いているので、会社での出来事をものまねを交えながら話すことがあるんです。「こんな言い方された」とか「こういう上司、おるよね」とか。そういう会話を一緒に聞いているので、「あのときのエピソードから取ったな」と思うときもあります(笑)。

――パパとの漫才のようなやり取りも人気ですね。
佳寿美さん:二人はずっとあんな感じです(笑)。夫は「のれんに腕押し」というか、打っても響かないタイプで。娘が何を言っても「てへっ」という感じなんですけど、それも含めて動画のまま。
娘はパパのことがすごく好きなんだなと思います。つらい胸のうちを話すのは私に対してですが、普段の楽しい時間を共有したいのはパパなのかな、と感じます。
――家庭の会話以外で、「これは言葉の力につながっているかも」と感じる習慣があれば教えてください。
佳寿美さん:読書は好きだと思います。本はかなり読むほうですね。うちは本屋さんに連れて行くことが多く、実際に手に取って「これが読みたい」と自分で選べるようにしています。漫画を小説にしたような読みやすい作品や、少し高学年向けのシリーズものが好きで、短編集などもよく読んでいます。

「動けない時間」が、観察力と言葉を育てたのかもしれない
――理央奈ちゃんの言葉や考えに驚いたエピソードはありますか?
佳寿美さん:先日、授業参観があったんですが、参観に向けて授業でグループ学習をしていたみたいで。誰かが意地悪をしたとか、ちょっといろいろあったらしくて「〇〇くんにこう言われた」って話してきたんです。
それで私が「先生に言ったらいいんじゃない?」と言ったら、「でもそれをしたら〇〇くんが悪者になるし、先生の手も煩わせてしまう」って。そんなふうに返ってくると思わなくて、びっくりしましたね。私よりも大人だなと思いました。

――理央奈ちゃんは、相手の気持ちを想像したり、状況を整理したりするのが上手な印象があります。
佳寿美さん:私もそう思うことがあります。娘は車いすで、どうしても“座っている時間”が長いんですよね。例えば家の中でも、本を読み終わって次の本を取りたいと思っても、誰かが取ってくれるまで動けない。そういう時間がたくさんあるから、周りの人をよく見ているのかもしれないです。
私が夫に直接言わないようなことも、理央奈はよく見ていて、夫に対して「それはあかんで」と言ってくれることもあって。なんでこんなに私の気持ちが分かるんだろう、と感心することがあります。
ハングルへの興味は「文字の面白さ」から始まった
――昨年はハングル能力検定3級の合格も話題になりましたね。当時、率直にどんなお気持ちでしたか?
佳寿美さん:素直に「すごいな」と思いました。本人もめちゃくちゃ喜んでいましたね。試験の内容が難しくてはじめは「落ちたかも」と思っていたようで、なおさらうれしかったみたいです。
試験の内容を後から翻訳アプリで見てみたら、読解問題が「少子化対策」のようなテーマで、日本語で聞かれても答えるのが難しそうな内容でした。「これを読むのか…」と、驚きました。
――それはすごい(笑)。ハングルに興味を持ったきっかけは何だったのでしょう?
佳寿美さん:きっかけはK-POPの曲でした。リハビリで長距離移動することが多く、移動中によく音楽を聴いているんです。Apple Musicで歌詞が表示されたときに、漢字でもアルファベットでもないハングル文字を目にして、「この記号みたいな文字は何だろう」と興味を持ったようでした。そこから「読めるようになりたい」と言い出したのが、学び始めたきっかけです。
勉強は“毎日15〜30分”。強制はしないけど「環境は用意する」
――学びはじめはどのような形で進めていったのでしょうか?
佳寿美さん:最初はテキストを買って、一緒に文字の仕組みを覚えました。母音と子音の組み合わせで文字ができている、というところですね。私は途中で脱落したんですけど(笑)、娘はどんどん覚えて、単語にして読めるようになっていきました。韓国ドラマを見て、言葉を耳で聞いて確認したりもしていましたね。
――検定に挑戦するきっかけは?
佳寿美さん:検定そのものは私が調べて、「こういうのがあるよ」と伝えました。内容を説明すると、「やってみたい!」と本人が前向きに反応して、挑戦することになりました。自分なりに将来への不安も感じている中で、「これから役立つかもしれない」という視点も持っているのだと思います。

――小学生で「将来に役立つかも」という視点があるのがすごいですね。
佳寿美さん:将来への不安が強いのかなと思います。車いすで働いている人を見る機会もあまりないので、自分は将来働けるのか、ということをすごく気にしていて。何かスキルがないといけない、と思っているところはあると思います。
――勉強の進め方は、独学ですか?
佳寿美さん:独学です。アプリの、AIと会話する機能で簡単なやり取りを練習したりもしています。勉強時間は長くても30分くらい、15〜20分の日も多いと思います。でも、それを毎日続けるんですよね。積み重ねが大きいんだと思います。
――本人が挫折しそうなとき、親として意識している声かけは?
佳寿美さん:「無理しなくていいんじゃない?」と言いつつ、やめるのももったいないかな、という気持ちもあって。「今日は休もうか」「少しだけにしようか」というふうに、追い詰めない声かけを意識しています。
うちは「こうしなさい」と教えこむことはあまりなくて、子どもが興味を持ったら本を用意したり、情報を一緒に調べたり、環境を整えたりするくらいです。
――これから、理央奈ちゃんが挑戦してみたいと話していることはありますか?
佳寿美さん:ハングルについては、準2級があるのでそれをめざしています。アプリの中でほかの言語にも触れられるので、最近はイタリア語などにも興味を持ち始めていますね。「この言葉は音がかわいい」「この文字の形が面白い」といった感じで、言葉そのものへの好奇心が強いみたいです。
――いちばんメジャーな外国語、英語については…?
佳寿美さん:それが、「受験で必要だよ」と伝えても、今のところはあまり興味がわかないみたいです(笑)。でも、興味のスイッチが入ったものには一気にのめり込むタイプなので、これからどんな言語や分野に出合っていくのか、親としても楽しみにしています。
子どもの「好き」を見守ることが、学びの力につながる
――「子どもの“好き”を伸ばすコツ」があれば教えてください。

佳寿美さん:娘が持って生まれたものも大きいですし、正直、特別なテクニックがあるわけじゃないと思っています。ただ、親が必要以上に先回りして「これをやりなさい」「あれをしなさい」と言わない分、子どもは好きなことをのびのびやれているのかもしれない、とは思います。
私たち夫婦が娘の好きなことに詳しいわけでもなくて、「それ何? すごいな、ママやパパは分からんわ~」という感じなので、逆に娘が教えたくなるのかもしれません。
途中で興味が薄れても、それはそれでいいと思っています。また次に「これが好き」というものが出てきたときに、そのタイミングで楽しめたらいいかな、と見守るようにしています。
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理央奈ちゃんの言葉の豊かさや、学びへの前向きな姿勢の背景には、家族との日常的な会話や、子どもの「好き」を尊重する姿勢がありました。「やらせる」のではなく、「興味が芽生えたときにそっと環境を整える」。その積み重ねが、子ども自身の力を育てていくのかもしれません。
YouTubeチャンネル『ちいりおちゃんねる』で垣間見える、理央奈ちゃんの言葉のセンスやお笑い力、学びへの姿勢。その背景にある家族のあり方も含めて、これからの発信にも引き続き注目していきたいですね。
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取材・文/やまさきけいこ
