毎日、元気に特別支援学校に登校
以前、インタビューしたときは「特別支援学校に通い始めることに不安もあります」と語っていた、島村毅さん・由子さんご夫婦。しかし学校生活は順調なようです。
「夏斗は小学2年生になりましたが、特別支援学校が大好きです。朝、いつも僕が夏斗と下の子を連れて、夏斗を特別支援学校の送迎バス乗り場まで送るのですが、元気に笑顔で登校してくれます。バス停が下の子が通う保育園の近くなんです。そのまま下の子を保育園に送るのが日課です」(毅さん)
入学前は、特別支援学校でよいのか悩んだ時期も
「最初は、特別支援学校ってどんなところなんだろう? 夏斗が馴染めるかな?って不安でした。また夏斗は発語がなく、着替えなどは自分でできませんが、歩くことはできるので、本当に特別支援学校でよいのかわからなかったんです。でも実際に通ってみたら、先生が1対1でついてくれて、丁寧に見てくれます。先生をはじめ、事務の人たちも子どもたちを温かく見守ってくれていて、可愛がってくれるんです。今では特別支援学校を選んでよかったと思っています」(由子さん)
医師からは「一生、歩けないかもしれない」と言われたのに…
夏斗くんは、元気で活発なタイプです。取材中も、ママ・パパに甘えて抱きついたりしていました。
「アンジェルマン症候群と診断されたのは2歳3カ月のときです。アンジェルマン症候群は重度の発達の遅れが特徴の1つで、医師には『一生、歩けないかもしれません』と言われ、帰り道、妻と泣きました。しかし今では目が離せないぐらいです。
リビングのドアは、夏斗が1人で外に出ないようにダブルロックにしているのですが、うっかりカギを閉め忘れると玄関のほうに出て行ってしまうんです。夏斗の姿が見えなくてヒヤッとしたこともあります。知恵もついてきて、カギの開け方も覚え始めたようなので何か対策を考えないと…と思っています」(毅さん)
体育の授業にも参加
夏斗くんは特別支援学校で、体育の授業などを受けています。
「体育の授業では、カニ歩きや後ろ歩きなどをしているようです。給食もあるのですが、夏斗は離乳食後期ぐらいの硬さのメニューを食べています。家では、小さく切ったりはしますが、離乳食後期を目安にはしていません。誤嚥しないように注意してくれていることがわかります」(由子さん)
小児ぜんそくで、今年は2回入院
発語がないため、由子さんは「より注意しなくては!」と思ったことがあるそうです。
「夏斗は小児ぜんそくで、今年2回入院しています。日中は元気で、食欲もあるので親は気づきにくいのですが、夜中になると息苦しくなって受診するとすぐに入院という感じです。普段は、水を飲みたいときは自分からコップを持ってきたりしますが、不調はうまく伝えられないので、よく見てあげないといけないと思っています」(由子さん)
1年生の秋には、文化祭で劇『大きなかぶ』を発表
昨年の秋は、文化祭で劇『大きなかぶ』を発表しました。長時間にわたる発表は難しいので、事前に先生たちが演じている子どもたちの様子を撮影して、当日は、その映像を流してクライマックスの大きなかぶを引き抜くシーンだけ舞台で発表する構成です。
「夏斗はしっぽをつけた虎役でしたね。僕は現役時代『湘南乃虎』って呼ばれていて、それとかけてくれたみたいです(笑)。忙しい中、舞台構成を先生たちが子どものために熟考してくれていること、子どもたちの演技すべてに感動しました。」(毅さん)
保護者席から、立ちあがれない夏斗くんを応援するエールが
「夏斗は立ち上がるシーンで、なかなかうまくできなくて…。そのとき保護者席から『がんばれ~』って声が上がり、立ちあがることができたんです。みんなが応援してくれて本当にうれしかったです。この学校に通わせてよかったと思っています」(由子さん)
こちらの記事では、由子さんの仕事復帰や妹さんの夢について、語っていただいています。
夏斗くんが生まれて病気がわかるまでのインタビューはこちら
撮影/五十嵐美弥 取材・文/麻生珠恵