【自由研究】美しい「ウニ殻」に魅せられ採集・漂白して一冊の図鑑にした小学5年生の舘 賢聖さん。「興味があることにとことん真っ直ぐ!」世界でひとつだけのウニ殻図鑑で魅力を伝えたい

皆さんは「ウニ殻」を知っていますか? ウニ殻とは、ウニのトゲと中身を取り除いて残った球形の骨格です。2025年に「小学館の図鑑NEO」と「HugKum」が開催した「自由研究コンクール」では、小学5年生(当時)の舘 賢聖さんによる「ぼくの集めたウニ殻図鑑」が、小学館の図鑑NEO賞を受賞しました。今回は賢聖さんとお母さまにこの自由研究についてはもちろん、普段どんなふうにウニ殻と触れ合い楽しんでいるかを教えてもらいました。

種類がたくさんあってキレイ! ウニ殻の魅力を知ってほしかった

――ウニ殻を好きになったのはいつですか? 何がきっかけでどんなところを好きになりましたか?

賢聖さん 4年生のときに和田長浜海岸(神奈川県)に貝拾いに行って、初めて「ニッポンコシダカウニ」の殻を拾いました。それまではウニ殻に興味がなかったけど、すごくキレイだったのでウニの本を読むようになって、だんだん好きになった感じです。

――自由研究で「ウニ殻の図鑑」を作ろうと思った理由を教えてください。

賢聖さん こんなに種類があってキレイなんだっていう、ウニの魅力を他のみんなに知ってもらいたかったからです。

賢聖さん作成の「ウニ殻図鑑」

――まるで売っている図鑑のように内容が充実していて見やすかったです。特に工夫したのはどんなところですか?

賢聖さん ウニ殻を目盛りつきのカッターマットに乗せて写真を撮り、大きさをわかりやすくしました。特にお気に入りのページは、「ベンテンウニ」のページ。ウニ殻がキレイだからです。トゲのイラストも描きました。

――採集地が書いてあるのもわかりやすくてよかったです。購入品もあるんですね。

賢聖さん 「ベンテンウニ」も購入品で「海からの贈りもの展 -UMIOKU-」で買いました。ほかにも、標本を販売している「ウサギノネドコ」というお店に行って買うこともあります。

所有するウニ殻を見せてくれました。この日のTシャツもウニ殻です。

イベントに参加し専門家に話を聞くことも。

――いちばん好きなウニ殻も「ベンテンウニ」ですか?

賢聖さん 正形類だとそうです。不正形類だと「ライオンブンブク」が好きで、花紋が大きいところが好きです。殻も大きいから拾えたらなぁって思っています。

――採集したものもたくさんありましたが、見つけて、採るのは大変でしたか?

賢聖さん ウニの種類によって違って、「ムラサキウニ」だったらその辺の岩場に普通に落ちているけど、「カシパン」だと砂地のあたりにいるから珍しいし、「ブンブク」は殻自体がもろいから見つけるのは大変です。

仮に欠けなしのウニ殻が見つかったとしても、そのあとの漂白中に割れたりします。

――賢聖さんの自由研究で知りましたが、殻は採った後に漂白するのですね。『ウニハンドブック』の著者である幸塚久典さんに話を聞いたとありましたが、どういうつながりで話を聞けることになったんですか。

賢聖さん 東京大学三崎臨海実験所の「自然観察会」に行ったときに会って、写真を撮って話をできたので、聞きました。

――普段からアンテナを張ってると、イベントや専門家に会える機会はたくさんあるんですね。

賢聖さんのお母さん そうですね。興味を持ちそうなイベントの情報は常に探して、本人に「これはどう?」と聞いています。「自然観察会」は、幸塚先生が指導補助という形でいらっしゃることがわかったので、「聞きたいことあったら聞こうか」と言って、参加しました。

賢聖さん 自分では「コシダカウニ」かどうかがわからないウニがあって、それを持って行って同定(対象が何であるかを他と区別して特定・識別すること)してもらいました。いろいろ聞いたおかげで、最近は自分でも同定できるぐらいわかってきました。

自然観察会に参加した際、東京大学三崎臨海実験所にてウニ標本を真剣に見つめている賢聖くん。写真:お母さまご提供

――自分で図鑑で見るのもいいけれど、人に会って聞いてみるといろいろなことがわかるんですね。では、自由研究でいちばん大変だったのはどんなところでしたか?

賢聖さん P19の「磯焼け対策で採ったムラサキウニ活用法」のページです。今回の自由研究はパソコンのExcelで作ったんですが、細かくて、パソコンで打つのも慣れていないから、たくさん書くのが大変でした。

左が、いちばん苦労した「磯焼け対策で採ったムラサキウニ活用法」のページ。写真:作品データより
難しい内容もイラストを使ってわかりやすくまとめられています。写真:作品データより

――構成は自分で考えたんですか?

賢聖さん だいたいはそうです。4年生のときの自由研究は昆虫がテーマで、そのときもパソコンを使ったけど、ここまでたくさん使うのは初めてだから大変で、1か月くらいかかりました。

賢聖さんのお母さん レイアウトについては、どう書きたいか、写真をどう配置したいかを本人が紙に手書きして、それをもとに私がパソコンでレイアウトの下地を作って、写真を取り込むサポートをしました。切り抜きもExcelで写真を貼って、ツールで切り抜いています。パソコン操作を教えたり、写真も一緒に撮影したりしました。

――作業量が多いですが、賢聖さん自身は途中で嫌になることはなかったですか?

賢聖さん ちょっとずつ進めて、自分で「今日はここまで」と決めてやりました。面倒になって1日中やらなかったこともあります。次は「ウニ図鑑2」をやろうと思っていて、またパソコンで頑張りたいと思います。

大潮の日を狙って海へ! ウニ殻をいちばん拾える時期は冬

――イベントに参加するほかは、普段はどんなことをして遊んでいますか? どこに行くのが好きですか

賢聖さん 普段は家で「マインクラフト」をやっています。「あつまれ どうぶつの森」でウニとかタカラガイがとれると聞いて、現実ではなかなか採れないから、やってみたいと思っています。

水族館ならウニがいるところに行っていて、「あわしまマリンパーク」はウニのえさやり体験ができるので好きです。

あとは大潮の日に海に行っています。大潮の日に行く理由は、潮が大きく引くことで普段歩けない砂浜や岩場を探索することができるからです。神奈川県の三浦半島が多くて、千葉県の館山あたりに行くこともあります。三浦半島はウニ殻、館山は貝殻を見つけるときに行きます。

――お出かけするときは基本的に海に行っているんですね。

賢聖さん 冬はよく行くけど、最近は暑くなってきたから行きません。冬は海水温の低下で弱った貝やウニが海岸に打ち上がりやすくなるから、いちばん拾える時期です。

砂浜で、マメウニという米粒サイズのウニ殻を探しているときのお写真。 写真:お母さまご提供

――海では同じようにウニを探している人に出会いますか?

賢聖さん はい。小学4年生の子と友だちになりました。ウニを見つけるときは、狙っていた殻を先に採られてしまうこともあってライバルでもあるけど、ウニの話ができてうれしいです。

――ウニ殻を採れる場所などの情報は、何をつかって調べていますか? 図鑑やYouTube、ホームページなどですか?

賢聖さん 図鑑とホームページ、あとはウニ殻のことを好きな人が書いているブログもいろいろ見て勉強しています。

――なるほど。自分でもブログを書いてみようと思いますか?

賢聖さん Instagramを開設して、1つ投稿をアップしたところです。

――ウニにとても詳しいですが、その前は何か好きなものはありましたか?

賢聖さん 昆虫が好きだったけど、今はウニを見すぎて昆虫は怖くなっちゃった。昆虫が好きだったときはタマムシのきれいなところが好きでした。

――そうなんですね(笑)。最後に行ってみたい場所やなりたい職業を教えてください。

賢聖さん ガンガゼモドキを探しに奄美大島に行ってみたいです。将来なりたいのはやっぱりウニの研究者です。

賢聖さんに「ウニを食べるのは好き?」と聞くと「悲しすぎるから食べません。食べている場所は生殖巣なので、ウニが生まれなくなっちゃうのも嫌だなって」と教えてくれました。

賢聖さんは「興味があることに真っ直ぐでとことん! 観察眼が鋭い!」

――続いてはお母さまにお話を伺います。賢聖さんはどんなお子さんですか。性格や得意なことを教えてください。

賢聖さんのお母さん ウニや昆虫もそうですが、興味があるものに真っ直ぐで、とことん追求し、やりたがります。あとは観察眼が鋭いです。生き物のことだけでなく、例えばトイレの水の出が昨日より悪いとか、いつもと違うことによく気が付きます。

工作活動、特に細かい作業が好きで手先も器用なので、ミニチュアハウスやジオラマづくり、ペーパークラフトをやっています。

――やりたいことは自分で見つけてきますか?

賢聖さんのお母さん そうですね。私のスマホを使っていろいろなところから情報を得ているのだと思います。

ウニだけの図鑑はなかなかないそうで、大切にしている「ウニハンドブック」と「ウニと共生生物図鑑」

サポートは「私の図鑑になってしまわないように」本人がやりたいかどうかを大事に

――自由研究はレイアウト作りなどをサポートされたとのことで、その際に気をつけていたことはありますか?

賢聖さんのお母さん 私の図鑑になってしまわないよう気をつけていました。できるだけ本人がやりたいようにして、私から見て足りないところがあってもなるべく言わないように、あまり口を出さないということですね。

――好きなこと、やりたいことに対してはどんなサポートをしていますか? 気を付けてることもぜひ教えてください。

賢聖さんのお母さん 本人が好きそうなイベントがないかアンテナを張って調べて、そのうえで本人がやりたいかどうかを大事にしています。

「やりたくない」ってなったらやらない。私がやりたいだろうと思って勧めても、断られるときもあるので尊重しています。

――イベントへの参加や海でのウニ探しなどは家族でやっていますか?

賢聖さんのお母さん 以前は家族みんなで参加していましたが、年度が変わり、下の子がスポーツを始めたことでみんなで一緒に行く機会は減ってしまいました。今はパパに車で連れて行ってもらったり、私と2人で電車で行くこともあります。

なるべく本物を見せ、親も一緒に楽しむ!

――子育てで大切にしてることや実践されてることはどんなことですか?

賢聖さんのお母さん なるべく本物を見せてあげたいと思っています。図鑑も見ますが、実際に触ってみたらどんな感じなのか、どういうところにすんでいるのかは、そこへ行って自分で拾ってみないとわからないですよね。

原体験を積む、と言うんですかね。なるべく海へ出かけたり、昆虫が好きだったときはその昆虫に会えるところに連れて行き、実際に捕まえて観察したりする。大人になる前にいろんな経験、自然の中の体験をさせてあげたいというのは、夫と共通して思っていることです。

あとは一緒に楽しむことです。昆虫に関しては、私は大嫌いだったのですが、一緒に捕まえているうちに楽しくなってきて、子どもそっちのけで自分が採っていたくらい。心がけているというより自然とそうなっている感じですが、親も楽しいほうがいいかなと思っています。

逆にウニを好きになったきっかけは、私の趣味のビーチコーミングに賢聖が来てくれていて、貝を一緒に拾っているときにウニを見つけたことが始まりでした。それからは親子で一緒に楽しんでいます。

親も一緒に楽しむことを大切にしているというお母さまと。

ウニ殻への深い興味と愛情を感じた作品!読むと「ウニ殻」が好きになる

ウニ殻にはたくさんの種類があり、それぞれの名前が独特ですが、賢聖さんはすらすらと名前や特徴を教えてくれ、ウニ殻への深い興味と愛情を感じました。また、その思いが図鑑にも反映されていて、わかりやすい写真と解説文、可愛らしいイラストや漫画も添えられていて、読み終えたころには取材陣も「ウニ殻」に興味津々に。

それには賢聖さんの”好き”に対する探求心はもちろん、どんなシーンでも本人の気持ちを尊重し、一緒に楽しむご両親の姿勢もあるのだと思います。次回作は「ウニ殻図鑑2」を作成予定とのことで、その完成も楽しみです。

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この記事を書いたのは

長南真理恵 ライター

子育てや教育、エンタメにまつわる方々への人物インタビューを多く取材・執筆。大人はもちろん、子どもたちから話を聞くのも好きです。3兄弟を育てる母でもあり、同じように子育てに向き合っている方たちが共感できたり、悩みや困りごとに寄り添えるような記事を発信しています。

写真:五十嵐美弥(インタビュー中のお写真)

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