新型コロナの感染拡大防止のため、自粛生活の続く日々。子育て家庭からは、お金にまつわる不安も声も聞こえてきます。
今回は、HugKumでキッズマネー講座を担当してくれているる『キッズ・マネー・ステーション』を主宰する八木陽子さんに、読者から届いたコロナの影響から生じた家計の不安や悩みについて、答えていただきました。
収入が減った現在、見直すべき支出は?
Q1 .子ども3人の5人家族です。百貨店勤務の主人の給与は4割減になりました。仮に半年以上この状況が続くと想定したとき、食費や光熱費は減らせませんが、ほかに節約できる費用や見直すべき支出はありますか。
今の時期は家計が苦しい場合、
(1)支出を減らす
(2)支払の猶予期間でしのぐ
(3)入ってくるお金をつくる
という3策で乗り切りましょう。具体的な3つの策はこちらです。
【1】支出を減らす
兄弟が3人ということですが、習い事は、3人一様ではなく、その子にとって本当に必要かを考えつつ、見直ししましょう。家にいる時間が長いので、家でできることで工夫できることもあるかもしれません。
そのほか、見直しできる支出は、家でのWifi利用が増えているなら、放置していたりするスマホのプラン等、通信費の見直しもできるかもしれません。また、食費・光熱費は増えても、レジャー費・交際費・洋服代など減っている項目も多いので、本来はとんとんでもおかしくないはずです。これを機に家計の点検もおすすめです。食費は週に1回ある程度のまとめ買いをし、家にある食材で作る日も設定すると、抑えられるでしょう。
【2】支出の猶予期間でしのぐ
イデコ(個人型確定拠出年金)に加入しているのなら、金額を下げる変更も可能です。
また生命保険の保険料の支払いは最大6カ月支払を待ってもらえる場合があるので、保険会社に連絡しましょう。また住宅ローンの返済が苦しい場合も、今回の新型コロナウィルスによって、住宅ローンの返済猶予も設けるように、金融庁からの通達があったので、金融機関を問い合わせしてみること。また従来からある制度ですが、住宅確保給付金もあります。税金など猶予期間がありますので、もし支払が苦しいときは、放置せずに検討してください。
【3】入ってくるお金をつくる
子供の絵本やおもちゃの整理をして、ネットフリマで現金を作ることもできるでしょう。
また保険の見直しは慎重にしたいため、現金が必要なら、もし貯蓄型保険に入っている場合(学資保険はここに入るケースがほとんどです)は、保険会社から貸付を受けられます。すぐに解約ではなく、貸付(=保険会社からお金を借りる)か、払済(=今まで払った分を有効にする)にするかを検討してください。
習い事の月謝、継続判断はどうすべき?
Q2.習い事は休会でも半月分の月謝を支払う必要があります。このまま休会費を払うべきか、一旦退会して、また始められることになったら入会金を支払って再開すべきか迷っています。また教室側からの特別対応がない場合、会の規定通りに、通えなかった3月や4月の月謝も支払う義務はあるのでしょうか。
入会の際に署名した契約内容をもう一度見直してください。基本的には、休会の状況で、退会の手続きをしていないのであれば、月謝の支払い義務はあると思います。
ただし、塾や習い事の運営者も、未曽有の今回の状況で、会員さんに退会されるのを防ぐために、契約になくても、月謝の減額や払い戻しなどに応じてくれることはあります。一度問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
子育て家庭、結局いくらもらえるの?
Q3.子ども手当の上乗せや国民一人当たり一律10万円などが発表されましたが、子育て世帯がコロナ対策でもらえる給付金や支援を合わせると、結局いくらもらえるのか知りたいです。
この質問をした家庭は、東京都在住、子ども2人の4人家族。ママはパート収入あり、パパは会社員、合計世帯収入500万円ほど。
4人家族+子ども2人なら42万円
4月30日現在、特別定額給付金(仮)の手続き方法、給付時期などの詳細は、ほとんどの自治体では、まだはっきりと決まっていないのが現状です。お住まいの市区町村のお知らせを注意してみましょう。すでに、詳細を公表する時期を決めている自治体もあります。
10万円の給付金は、ご相談者は4人家族なので40万円になります。郵送やWebで申請し、早くて5月下旬、6月になる自治体もあるかと思います。児童手当は1万円上乗せで、6月の給付のときに1回限りの予定です。ご相談者のご家庭では、+2万円が支給される予定です。すなわち、42万円がもらえるお金といえます。
ただし、上乗せ給付を公言している自治体がありますので、お住まいのエリアで確認しましょう。
休業手当の可能性
その他、「休業手当」として、会社の指示による休業の場合、賃金の6割以上を支給するものがあります。パートなど非正規労働も含みますが、勤務先に手続きする必要があります。また、小学校や幼稚園などの休校(休園)を理由に休んだ場合の「学校等休業助成金・支援金」もあります。この2つの給付金は、会社を休んで条件を満たす場合に受けられる可能性があります。
感染して働けない場合は傷病手当金も
また、もし今後、万が一新型コロナに感染して働けないことになったら、従来からある制度ですが傷病手当金というものがあり、休んで4日目から標準報酬日額の3分の2が支給され、最長1年6か月支払われます。
不安が募る時期かと思いますが、これを機会に制度の確認、家計の見直しをしっかりしていきましょう。
コロナ禍での 貯金の心構えは?
Q4.先行きが見えない状況で、とにかく貯金をしておかなきゃ、という漠然とした不安があります。貯蓄は必要ですよね? またこれからの貯蓄の心構えを教えてください。
まずは月収×6ヶ月の貯蓄を
まずは、月収×6カ月はいざというときに貯金してください。6カ月の生活資金あれば、今回のコロナのような状況でも安心ですし、今後も会社を辞めても失業給付や転職先が見つかるまで心強いでしょう。
貯金がなかなかできない方にとっては、6カ月分を貯めるのは大変と思いますが、お金が貯まる王道は、意外と地味で、収入―貯金=生活費で暮らすこと。先取貯蓄をすることです。余ったら貯蓄、収入―生活費=貯金では、なかなか貯まりませんので、まずは、先に貯金をする仕組みを作ってみましょう。
人生100年といわれます。今後こういった不測の事態に備えながらも、将来の夢などもあわせて思い描きながら、千里の道も一歩から。今日から始めてみてください!
八木 陽子
記事監修
「見えないお金」が増えている現代社会の子供たち。物やお金の大切さを知り「自立する力」を持つようにという想いで設立。全国に約160名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2018年までに1100件以上の講座実績を持つ。