そもそも消毒、除菌、殺菌の違いは?【正しい手指消毒】には濃度70%以上のアルコールを「手指が乾いた状態」で

新型コロナウイルス感染症の流行拡大が止まりません。11都府県が再びの緊急事態宣言となりました(1月26日現在)。より一層、感染対策に気を配るようになった方も多いのではないでしょうか。しかしドラッグストアなどに行くと、さまざまな除菌・消毒アイテムがあり「どれを選ぶといいの?」と悩むことも。またアルコール消毒なら、どれも同じと思っていませんか? 新型コロナウイルス対策グッズの選び方の基本をまとめました。

そもそも「消毒」「除菌」「殺菌」の違いは?

「消毒」「除菌」「殺菌」という表示を見ると、どれも新型コロナウイルスの予防に効きそうな感じがしますが、すべての菌やウイルスに効果があるわけではありません。まずは「消毒」「除菌」「殺菌」の違いを覚えておきましょう。

菌やウィルスを無毒化するのが「消毒」

「消毒」とは、菌やウイルスを無毒化すること。薬機法*に基づき、厚生労働大臣が品質・有効性・安全性を確認した医薬品・医薬部外品の製品に記されています。

菌やウィルスの数を減らすのが「除菌」

「除菌」とは、菌やウイルスの数を減らすこと。主に洗剤や漂白剤などの雑貨品に使われます。また「消毒」の記載はなくても、一部の洗剤や漂白剤などは細菌やウイルスを無毒化できる製品もあります。

菌を死滅させるのが「殺菌」

「殺菌」は、菌を殺したり、死滅させたりすること。消毒薬などの医薬品や、医薬部外品の薬用石けん、薬用ハンドソープ、薬用ハミガキなどに使われます。

*薬機法とは、医薬品、医療機器などの品質、有効性及び安全性の確保などに関する法律

新型コロナ対策には、アルコール消毒が効果的

新型コロナウイルス対策には、アルコール消毒が有効と言われています。これはウイルスの特性から、わかっていることです。

ウイルスは、大きく分けると以下のようにエンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスに分類されます。

■エンベロープウイルス(膜あり)

主なウイルス/新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルスなど

■ノンエンベロープウイルス(膜なし)

主なウイルス/ノロウイルス、ロタウイルスなど

 

エンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスの大きな違いは構造です。

新型コロナウィルスのような、エンベロープウイルスは外側に脂質からなる膜があります。この膜は、アルコールや一部の界面活性剤によって壊され、ウイルスにダメージを与えることができます。

そのため新型コロナウイルスには、アルコール消毒が有効とされているのです。またインフルエンザウイルスもエンベロープウイルスなので、アルコール消毒はインフルエンザ対策にも効果的です。

アルコール消毒が効かないノロウィルス、ロタウィルス

一方、ノンエンベロープウイルスは膜がなく、外側が厚みのあるタンパク質の殻で覆われており、アルコールなどの物質の影響を受けにくい特性があります。「ノロウイルスやロタウイルスの感染性胃腸炎には、アルコール消毒が効かない」と言われるのはそのためです。

アルコール消毒が有効なのは、濃度70%以上のものを乾いた状態で使ったとき

新型コロナ対策にアルコール消毒は有効ですが、アルコール消毒液にはさまざまな種類があります。

厚生労働省のホームページでは、アルコール消毒をするときは濃度70%以上から95%以下を推奨。入手困難なときは濃度60%台でも一定の効果があるとしています。そのため購入するときは、必ずアルコール濃度をチェックしてください。

アルコール消毒は、乾くまで火に注意を

ただし高濃度のアルコール消毒液は引火の危険性があるため、アルコール消毒をした後は、火気の取り扱いには十分注意してください。完全にアルコールが乾くまでは、火気の取り扱いは厳禁です。

手が濡れていると効果なし!

またアルコール消毒は、手を洗った後など、手が濡れているときに使っても効果を発揮しません。

「子どもには、できるだけアルコール消毒はしたくない」と思うときは、手洗いだけでもある程度の効果は得られます。厚生労働省によると、ハンドソープで10秒よくもみ洗いし、流水で15秒すすぐだけでも、新型コロナウイルスは1万分の1に減らせるとしています。

消毒には界面活性剤も効果的! 毎日のお掃除で予防を

前述の通り、新型コロナウイルスはエンベロープウイルスなので、外側の膜を壊すことで感染力が弱まりますが、洗剤などに含まれる一部の界面活性剤でも膜を壊せることがわかっています。

NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)では、新型コロナウイルスに有効な界面活性剤が使われている製品リストを随時更新しています。

たとえば台所用洗剤では「除菌JOYコンパクト」(P&G)、「チャーミーマイルド」(ライオン)など。

また赤ちゃんがいる家庭ではハイハイをして直接、床を触ったり、おもちゃを口に入れたりして感染対策が気になるママもいるでしょうが「かんたんマイペット」や「クイックルJoan除菌スプレー」(ともに花王)なども製品リストに入っています。

アルコール消毒ができないところは、新型コロナウイルス対策に有効なお掃除グッズを使って、こまめにお掃除をしましょう。

そのほかの新型コロナウイルス対策に有効な製品は、NITEのサイトを参考にしてください。

 

*リストの製品は、有効な界面活性剤を含有するものとして製造者(事業者)からNITEに対して自己申告されたものであり、製品中の界面活性剤の含有量をNITEとして保証するものではありません。

キッチン用塩素系漂白剤を使っても。ただし、金属製には不向き

厚生労働省のホームページによると、テーブルやドアノブ、便座などの消毒には、次亜塩素酸ナトリウム(キッチン用塩素系漂白剤)も有効としています。使うときは、水で濃度0.05%(水500mlに対して、塩素系漂白剤キャップ1杯・5ml/原液濃度5~6%)に薄めてから拭き、その後、必ず水拭きをしてください。

次亜塩素酸ナトリウムは、金属製のものに使うと錆びるので注意を。また手指消毒には、絶対、使わないでください。効果が薄れるので、消毒液の作り置きもやめましょう。

 

参考:厚生労働省ホームページ「新型コロナウィルスの消毒・除菌方法について」

 

構成/麻生珠恵

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