浄水器があれば、いつでも安全でおいしい水が手に入ります。大きさや性能の違いを押さえて、自宅のキッチンに最適な浄水器を選びましょう。浄水器の上手な選び方と、子どもの飲み物や料理の下ごしらえにも使いやすいおすすめ商品を紹介します。
目次
浄水器を使うメリットとは?
日本の水道水は世界的に見ても、安全でおいしいといわれています。安全な水が飲めるのに、わざわざ浄水器を使うメリットはどこにあるのでしょうか。浄水器のメリットを具体的に見ていきましょう。
不純物を除去できる
日本の水道水は、大変厳しい基準の元で管理されています。そのため、浄水場で作られたばかりの水道水は、とてもきれいで安全です。
しかし、水道管を通って家庭の蛇口に届くまでの間に、サビやゴミ、微生物などの不純物が混入する可能性が大いにあります。特に、築年数が古い建物は水道管が老朽化しており、サビのリスクが高いとされています。
また、貯水タンクから取水するタイプのアパートやマンションでは、タンク内のゴミや微生物に注意が必要です。
浄水器は家庭に届くまでの間に蓄積された水道水の不純物を除去して、きれいな水に戻す働きを担っているのです。
気になるニオイがクリアになる
水道水には独特のニオイがあります。ニオイの元は殺菌用の塩素や、「ジェオスミン」「2-MIB」など「カビ臭さ」の原因となる物質です。
特に、夏はジェオスミンなどの物質が発生しやすいため、水をまずく感じるケースがあります。
いやなニオイがする水道水は味が悪い上に、調理に使うと料理の味にも影響します。塩素やカビ臭の原因物質を除去して、ニオイのないおいしい水を作れることも、浄水器のメリットです。
浄水器の代表的な4種類
浄水器には主に、「蛇口直結型」「据え置き型」「ポット型」「ビルトイン型」の4種類があります。それぞれの特徴やおすすめの使い方を見ていきましょう。
1.蛇口直結型浄水器
蛇口に直接取り付ける「蛇口直結型」は、手頃な価格とコンパクトなサイズがメリットです。取り付け・取り外しが簡単なので、賃貸住宅でも気兼ねなく使えるでしょう。
ただし、カートリッジが小さいため、浄水性能は他の種類に比べると見劣りします。カートリッジ交換のサイクルが短く、買い忘れによって浄水効果を得られない期間が発生する可能性もあります。
また、一度にろ過できる水量が少ないため、毎日たくさんの浄水を使いたい人には物足りないかもしれません。狭いシンクに取り付けると、本体が邪魔に感じることもあります。
2.据え置き型浄水器
「据え置き型」はシンクの横に本体を置き、水栓につないで使う浄水器です。
本体が大きい分、浄水性能が高く、アルカリイオン水や料理用の軟水、洗顔に適した弱酸性水を作れるタイプも人気です。
設置やカートリッジの交換は簡単ですが、取り付けできる場所や水栓の種類が限られているため、購入前にしっかり確かめる必要があります。
また、置き場所を取るため、狭いキッチンには向いていません。オープンタイプのキッチンでは、浄水器本体や配管が丸見えになってしまうのもデメリットです。
3.ポット型浄水器
「ポット型」はカートリッジ付きのポットに水道水を入れておくだけの、簡単な浄水器です。
冷蔵庫のドアポケットに収まるようにデザインされており、よく冷えたおいしい水を飲みたいときに重宝します。
商品によってはろ過に時間がかかり、すぐに浄水が欲しいときや、料理用にたくさん使いたいときには不便に感じるかもしれません。
また、ろ過後の水は傷みやすいので、早めに飲み切る必要があります。
4.ビルトイン型浄水器
「ビルトイン型」は本体やホースがシンクの下に隠れており、キッチンをすっきりと見せられるのがメリットです。
カートリッジの浄水性能が高い上に交換サイクルも長く、普通の蛇口のような感覚でたっぷりと使えます。専用蛇口を使うため既存の蛇口から分岐させずに済み、見た目もスタイリッシュです。
ただし、ビルトイン型は後から取り付けできなかったり、高い工事費用がかかったりする可能性があります。
このため、キッチンのリフォーム時や、家を新築するときなどに導入するのが一般的です。シンクの下ではなく、蛇口の一部に浄水カートリッジを付けた「蛇口一体型浄水器」もあります。
浄水器選びのポイント
浄水器を選ぶ際は、カートリッジに使われているフィルターの性能も見逃せません。高性能なフィルターほど、除去できる汚れの種類が多くなります。
しかし、フィルターは目詰まりすると使えなくなるため、交換にかかるコストとのバランスに注意が必要です。
高価なフィルターを選んだために経済的な負担が大きくなり、交換をためらうようでは浄水器を使う意味がありません。
性能とコストのバランスがよく、無理なく使えるものを選びましょう。フィルターの種類とランニングコストについて解説します。
フィルターで選ぶ
浄水器のフィルターには、主に「活性炭」「中空糸膜」などが使われています。
家庭用浄水器のフィルターは、「活性炭のみ」または「活性炭と中空糸膜を組み合わせたもの」がほとんどです。
活性炭には塩素を分解する性質がある他、表面に開いた無数の穴で一部の不純物を吸着する作用もあります。粒状・球状・繊維状などさまざまなタイプがありますが、家庭用浄水器には「粒状活性炭」を使うことが多いようです。
「中空糸膜」はストローのように、中が空洞になっている繊維の束で作られた素材です。繊維には細かな穴がたくさん開いていて、活性炭では取り切れない小さな粒子や雑菌、サビなどの不純物をろ過できます。
ランニングコストで選ぶ
カートリッジの交換サイクルは、総浄水量と使用期間のどちらかで決まります。一般的には大きなカートリッジの方が浄水量は多く、使用期間も長めです。
浄水をたくさん使いたい人は、多少高価でも交換サイクルが長いタイプを選ぶほうが、ランニングコストを抑えられるでしょう。
蛇口直結型のようにカートリッジの交換サイクルが短い製品を使う場合は、セールを狙ったりまとめ買いしたりして、少しでも安く入手できる方法を調べておくのも有効です。
蛇口直結型浄水器のおすすめ2選
蛇口直結型の浄水器は手軽な反面、カートリッジの寿命が短く交換の手間がかかります。交換のタイミングをお知らせしてくれるタイプや、カートリッジの寿命が長いタイプを選ぶとよいでしょう。
蛇口直結型のおすすめ商品を2点紹介します。
交換時期が一目で分かる「三菱ケミカルクリンスイ クリンスイ CSP801」
カートリッジの交換時期が一目で分かる浄水器です。本体のLEDランプにより、カートリッジ残量がカウントダウン形式で表示され、交換時期が来るとランプが点滅して教えてくれます。
浄水機能の使用中は、適切な水量で浄水されていることを示す「しっかり浄水サイン」が点灯し、カートリッジの浄水能力を最大限引き出せます。
野菜を洗ったり米を研いだりするときに便利な「シャワーモード」では、従来品と比べて約30%の節水が可能です。
カートリッジが長持ち「パナソニック 浄水器 TK-CJ23」
蛇口直結型の中でもカートリッジの寿命が長く、ランニングコストを抑えられる浄水器です。浄水・原水・シャワーをレバーで切り替えて使用します。
カートリッジ交換の目安は、約6カ月または約2000l浄水時となっており、残量は液晶ディスプレイで表示されます。
シャワー部分を取り外して水垢などの掃除もできるため、いつでも清潔に使えます。
据え置き型・ビルトイン型浄水器のおすすめ3選
一度にたくさんの浄水を作れる据え置き型やビルトイン型は、料理やスキンケアなど、飲用以外にも惜しみなく使えるのが魅力です。
コンパクトタイプやアルカリイオン水が作れるタイプ、設置が楽なビルトインタイプを紹介します。
コンパクトボディー「日本ガイシ C1 スリムタイプ CW-401」
2~3人家族におすすめの、スリムな据え置き型浄水器です。底の幅が約9cm、高さが28cmと水筒程度のサイズなので、狭いキッチンでも取り入れやすいでしょう。
浄水口が左右に動く仕様で、シンクのどちら側に置いても使えます。
コンパクトながら通水量は十分で、カートリッジも18カ月と長持ちします。期間が過ぎると本体のLEDランプが点滅するので、交換を忘れる心配もありません。
操作が簡単「パナソニック アルカリイオン整水器 TK-AS30」
アルカリイオン整水器は、浄水をさらに電気分解して「アルカリイオン水」と「弱酸性水」など、用途に合わせて5種類の水が作れる高機能な浄水器です。
アルカリイオン水は、飲むだけで胃腸の調子を整える効果が期待できる他、野菜のあく抜きや炊飯、お茶やコーヒーなどさまざまな用途に使えます。
弱酸性水は飲用には不向きですが、肌に優しく洗顔におすすめです。
操作パネルの文字が大きく見やすいので、小さな子どもや高齢者でも簡単に操作できます。
奥行きが9.5cmとスリムで、キッチンに置きやすいのもポイントです。カートリッジの交換時期は、操作パネル上部のランプが点滅して教えてくれます。
シンクまわりがすっきり「TOTO ビルトイン浄水器」
本体をシンクの下に置けるビルトイン浄水器なら、キッチンを広々と使えます。カートリッジが大きいのでたっぷりと浄水でき、交換の手間も少なめです。
「浄水器専用の自在水栓」と「浄水器本体」「止水栓」のセット商品です。実際に購入する際は、水栓が自宅のキッチンに合うかどうかをよく確認しましょう。
なお、カートリッジを固定するために、浄水器カートリッジホルダー(別売り)を使うことが推奨されています。
横置き用・縦置き用があるので、スペースなどを確認した上で、あわせて購入するのがおすすめです。
ポット型浄水器のおすすめ2選
冷蔵庫で冷やしておけるポット型浄水器は、子どもの飲み物作りにも大活躍です。食事中はそのままテーブルに出しておけば、わざわざキッチンに浄水を汲みに行く必要もありません。
浄水器を取り付ける場所がない狭いキッチンや、いつもペットボトルの水を冷やして使っている人にもおすすめです。
世界で愛用されている「ブリタ マレーラ」
一度に1.4lの浄水を作れるポット型浄水器です。フタが「フリップトップ式」になっており、コップや水筒に片手で楽に浄水を注げます。
フタとカートリッジ以外は丸洗い可能で、食洗機にも対応しています。
フタに付いている液晶メモが、カートリッジの交換時期を教えてくれるのもうれしいポイントです。カートリッジは1日3.5l浄水した場合、約2カ月使用できます。
スピード浄水が魅力「東レ トレビーノ PT302SV」
ポット型の浄水器は、水道接続型に比べるとろ過に時間がかかるのが難点でした。
しかし、「トレビーノ PT302SV」は東レの従来品に比べて浄水スピードが速く、朝食や弁当作り、料理の下ごしらえなどで、たくさん水を使いたいときにも待たずに済みます。
カートリッジは200l浄水が終わった時点で交換となり、1日3l使用では2カ月、2l使用だと3カ月ほど使えます。
交換の日付は、フタ裏側のダイヤルを回して自分で設定する仕組みです。1日の浄水使用量に合わせて決められるので無駄がありません。パーツは全て取り外して、丸洗いできます。
蛇口一体型浄水器のおすすめ
蛇口一体型はビルトイン型と同じように、キッチンをすっきりと見せられるのがメリットです。今使っている蛇口を取り替えるだけでよく、工事の必要もありません。
蛇口一体型のおすすめ商品を見ていきましょう。
料理の下ごしらえに「タカギ キッチン用 蛇口一体型浄水器 JL357MN」
蛇口と一体になった浄水器です。水流は、原水・浄水それぞれで、ストレート・シャワー・クリーンシャワーの3段階に切り替えができます。
浄水を水道水と同じようにたっぷりのシャワーで出せるので、野菜の洗浄や米研ぎなど料理の下ごしらえにも余裕があります。
カートリッジの寿命は、1日10l使った場合で約4カ月です。家族の人数や浄水の使用量に合わせて交換サイクルを選ぶことができ、ユーザー登録しておけば定期的に自宅まで届きます。
汚れの除去能力に応じて3種類のカートリッジが用意されているため、手軽に使いたい人も徹底的に浄水したい人も満足できるでしょう。
浄水器を取り入れてきれいな水を飲もう
水道水に含まれる塩素は、水の安全性を高める代わりに風味を損ないます。最初はきれいでも、水道管や貯水タンクを通るときに汚れ、有害物質が混じることもあるでしょう。
浄水器を使えば、気になる塩素のニオイや体に有害な物質を取り除いた、安全でおいしい水が手に入ります。ペットボトルの水を買うよりも安く、ゴミが減って環境に優しいのもポイントです。
キッチンの形状や家族の人数に適した浄水器を取り入れて、きれいな水のある暮らしを始めましょう。
構成・文/HugKum編集部