1・2・3歳の時期は、日々成長を感じるとともに、心配事も増えるもの。さらに、今年は新型コロナウイルスで、生活が変化したことによる影響も気になります。不安を安心に変える、1・2・3歳の発達のお話をお届けします。
コロナ禍の新しい生活でも子どもは育つ
新型コロナウイルス感染予防のため、子どもとの生活も変化したという方が多いのではないでしょうか。人に会えない、遊びに行きづらいなどの新しい生活が子どもの発達に影響を及ぼすのではないかと心配される方も多いようです。
しかし、子どもには、どんな環境でも育っていく力があるので、それを信じることも大切です。発達のために大切なのは、おうちの人の精神状態が安定していること。「コロナ禍だからできないこと」を考えると、不安になりがちです。それよりも、今でもできることに目を向けて、ささやかなことでも親子で楽しむ時間を大切にしましょう。
他の子と比べるのではなくその子の中で伸びているか
日々目覚ましく成長する子どもの姿に驚かされる一方で、「うちの子、大丈夫かな」と心配になることもあるかもしれません。同じくらいの年齢の子はもう歩いている、しゃべっているなど、わが子ができないことが既にできている姿を見ると、発達に遅れがあるのではと心配してしまうかもしれません。
しかし、大切なのは、その子自身の中で伸びているかどうか、です。1週間前、1か月前、3か月前よりもできていることが増えていれば、それは立派な発達なのです。
気になることがあれば公的機関に相談を
その子が年齢・月齢に沿った発達ができているかどうかを、1歳6か月児健診と3歳児健診の、2回の集団健診(自治体によって、1歳8か月、3歳6か月、など時期が異なる場合あり)できちんとチェックしています。健診で発達についての指摘がなければ、その時点での発達に問題はないので、心配は無用です。
それでも気になることがあれば、保健センターなど公的機関に相談したり、普段受診しているかかりつけの小児科医に相談したりするといいでしょう。
【ベビーブック読者アンケート】コロナ禍の子育て、ここが気になる!
人との接触を避ける必要があるため、子どもにいろんな体験をさせられないことを悩む方が多いようです。
また、病院に行きづらいという回答も目立ちました。
1・2・3歳発達の目安カレンダー
1歳ってこんな時期
歩けるようになって世界が広がる
1歳6か月ごろまでに歩行が安定し、自分の意思で自由に動ける範囲が増えることでどんどん世界が広がります。
器に物を入れる、積み木を積む、道具を使ってすくうなど、手指を使ってできることも増えていきます。
コミュニケーションが指さしで始まる
欲しいものやいいと思ったものを誰かに伝えたいという気持ちが芽生え、それを指さしすることから、コミュニケーションが始まります。次第に、「ワンワンどれ?」など聞かれたことに対しても指さしで答えるようになります。
おすすめ発達遊び「スプーン遊び」
ボールやおはじき、積み木などを器に入れて、スプーンやスコップを使って混ぜたり、別の器に移したり。手指の発達だけでなくコミュニケーション能力の発達にもつながります。
※この表はだいたいの目安です。発達には個人差があるので、この通りではないこともあります。
2歳ってこんな時期
走る、跳ぶなど運動能力が発達する
走ったり段差を上ったり、その場でジャンプしたり、段差から飛び降りるなど、活発な動きができるようになります。少し難しい動きを繰り返し行うことを好み、それによってさらに複雑な運動能力を獲得していきます。
自己主張が激しくなる
何でも自分でしようとする意思が強くなり、自己主張が激しくなります。語彙が増え、少しずつ言葉を話すようになりますが、まだ自分の気持ちを言語で表現する力が足りず、「イヤ!」という言葉を使うことが増えます。
おすすめ発達遊び「ねんど遊び」
見立て遊びが盛んになるこの時期は、いろいろなものに形が変化するねんど遊びがおすすめ。丸めたり伸ばしたりしながら、「ヘビ、にょろにょろ~」「リンゴ、おいしい」など会話も楽しみましょう。
※この表はだいたいの目安です。発達には個人差があるので、この通りではないこともあります。
3歳ってこんな時期
動作をコントロールできるようになる
手と足を別々に動かしたり、右手と左手で別の動きをしたりするなど、全身の動作をコントロールできるようになります。はさみを使い始める、丸を描いた中に点を描いて顔が描けるようになるなど、作り出す力も発達します。
チャレンジ精神が旺盛になる
自分でできることが増えて「何でもできる」という自信に満ちあふれている、チャレンジ精神が旺盛な時期。
「お腹が空いたらご飯を食べる」「眠いときは寝る」など、簡単な因果関係が理解できるようになります。
おすすめ発達遊び「おままごと」
ごっこ遊びを楽しめるようになる時期なので、おままごとがおすすめ。料理を作る遊びなどをすることで想像力を育てます。また、役になりきってたくさん会話をすることで表現力が伸び、コミュニケーション能力も育ちます。
1歳6か月児、3歳児健診は、「がんばらなくてOK」!
健診では、その子の姿を見ることで心身の発達や疾患の有無をチェックしているので、「できないといけない」とがんばる必要はありません。ありのままの姿を見せられるよう、親子ともにリラックスして臨みましょう。
「ワンワン」などの幼児語を普段使っていないため理解できなかったり、人見知りで答えられなかったりした場合は、その旨を伝えてもいいでしょう。その子に合わせた方法で健診が行われます。
記事監修
共立女子大学家政学部児童学科教授。博士(教育学)。専門は発達心理学。著書に『0歳~6歳 子どもの発達と保育の本』(学研プラス/共著)など多数。
『ベビーブック』2021年2月号別冊
文/洪 愛舜 構成/童夢 イラスト/とみたみはる